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五つ目の商店
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そのころ、町の広場では・・・。
「あら、奥様、ドワルゴ商店の噂を聞きました?」
「いいえ、どういった噂ですの?」
「ええ、それが・・・(ゴニョゴニョ)」
「まあ、本当に!?
じゃあ、あれも・・・(ゴニョゴニョ)」
「そうですわね、よかったら、売り切れる前に行きませんこと?」
「1か月も販売期間があるそうですけど、売り切れてしまうとかもあり得ますわね。」
ドワルゴ商店の前には、数え切れないほどの人が押し寄せていた。
ドワルゴ商店は、急遽、作業員を販売要員に回すほどの繁盛ぶりだ。
その理由は・・・。
「ルルジア!
この騒ぎはいったい!?」
長兄のロメオが店を管理していたルルジアの元に駆け寄る。
ルルジアは、ロメオを見つけると、俯くように視線を外す。
「ロメオお兄ちゃん・・・。
ごめんなさい、いまは私を信じて・・・。」
「・
・
・
わかった。話は夜にでも聞くとしよう。」
ロメオは、商品の値札を暫く見つめると、奥の工場へと引き上げていった。
~その夜~
「ルルジア、お前バカになっちまったのかよ!」
次兄のビーノがルルジアを責める。
「違う、違うの、ミラルノさんが赤が出た分は、家具の仕入れで補てんしてくれるって。」
双子の兄、三男ラグルと、四男リグルもルルジアを責める。
「何言ってるんだよ、本当にそんなこと信じたのか?
それになんだよ、まっとうな商売をせずに他の店を潰すって・・・。」
「ルルジア、日用品や冒険の品を扱ってるのは、ハロルド商店だけじゃないんだぜ、他の商店のことを考えたのかよ。
おまえ、インディの教えを忘れちまったのかよ。」
「私は、私は・・・。」
ルルジアは、兄たちに責められて返す言葉を思いつけないようだ。
そこに、ロメオがルルジアを庇うように口を開く。
「なあ、俺たちがルルジアに押し付けすぎた結果じゃないのか・・・。
ルルジアだって、製造の仕事がしたかったんだろ。なのに、一番下だからって、全て押し付けてきた。
ビーノ、ラグル、リグル、俺たちにルルジアを責める資格なんてあるのかよ。」
「だ、だけど・・・。」
「ルルジア、明日は俺が店先に立つ。
そして、価格を適正な値段に戻して販売する。」
「だ、だけど、ロメオお兄ちゃん、そんなことをすれば、ミラルノさんから・・・。」
ルルジアは反論しようとしたが、その先の言葉を口にすることが出来なかった。
ルルジアだけでなく、ビーノ、ラグル、リグルたちも、ロメオの怒りの表情を見て言葉を失っていた。
「ルルジア、ミラルノから手を引くんだ。
あいつは、商売をするうえでの仲間ではない。
むしろ、俺たちに寄生する害虫だ。
真の商人は、俺たち製造者と同じ、人を笑顔にすることに長ける者だ。」
ルルジアは、ロメオの言葉に無言で頷くことしかできなかった。
~翌日~
ドワルゴ商店の噂を聞きつけて、開店まえから通りは人だかりができていた。
店が開き、一斉に客が流れ込むのだが、
「おいおい、なんだ?」
「誰だよ、ドワルゴ商店が破格に安いなんていったのは。」
「普通の値段・・・むしろ高くね?」
「なんだよ、販売期間が1か月もあるんじゃなかったのかよ。」
客の言葉に、店主代行のロメオが説明を始める。
「皆さま、申し訳ございません。
昨日の価格のまま、1か月間もの間、販売することはできません。
皆さまには、当店の適正価格にて・・・。」
「ふざけんな!
こっちは、朝早くから並んでんだぞ!
さっさと安売りを始めろよ!」
客の一人が、大きな声で文句を言い始めた。
その言葉に便乗するように、他の客たちも騒ぎ始める。
しかし、ロメオ店主代行は、意思を曲げない。
「皆さま、申し訳ございません。
昨日の価格のまま、1か月間もの間、販売することはできません。
皆さまには、当店の適正・・・。」
「お前の言い分とかどうでもいいんだよ!
さっさと値下げしろって言ってんだ!」
「皆さま、申し訳ございません。
昨日の・・・。」
「ふざけんな!」
ミラルノやベローチ、ハロルドといった商人であれば、機転を利かせて対応することができただろう。
しかし、長年職人としての道しか歩んでこなかったロメオには、その機転がない。
同じように、育てられてきたルルジアも他の商人のような機転を利かせてとりつくろうことが苦手なようだった。
この事態は収拾するはずもなく、店を閉めたあともドワルゴ商店への嫌がらせは続いた。
更に、ドワルゴ商店に追い打ちをかける事態が起こることを、まだ誰も知らない・・・。
「あら、奥様、ドワルゴ商店の噂を聞きました?」
「いいえ、どういった噂ですの?」
「ええ、それが・・・(ゴニョゴニョ)」
「まあ、本当に!?
じゃあ、あれも・・・(ゴニョゴニョ)」
「そうですわね、よかったら、売り切れる前に行きませんこと?」
「1か月も販売期間があるそうですけど、売り切れてしまうとかもあり得ますわね。」
ドワルゴ商店の前には、数え切れないほどの人が押し寄せていた。
ドワルゴ商店は、急遽、作業員を販売要員に回すほどの繁盛ぶりだ。
その理由は・・・。
「ルルジア!
この騒ぎはいったい!?」
長兄のロメオが店を管理していたルルジアの元に駆け寄る。
ルルジアは、ロメオを見つけると、俯くように視線を外す。
「ロメオお兄ちゃん・・・。
ごめんなさい、いまは私を信じて・・・。」
「・
・
・
わかった。話は夜にでも聞くとしよう。」
ロメオは、商品の値札を暫く見つめると、奥の工場へと引き上げていった。
~その夜~
「ルルジア、お前バカになっちまったのかよ!」
次兄のビーノがルルジアを責める。
「違う、違うの、ミラルノさんが赤が出た分は、家具の仕入れで補てんしてくれるって。」
双子の兄、三男ラグルと、四男リグルもルルジアを責める。
「何言ってるんだよ、本当にそんなこと信じたのか?
それになんだよ、まっとうな商売をせずに他の店を潰すって・・・。」
「ルルジア、日用品や冒険の品を扱ってるのは、ハロルド商店だけじゃないんだぜ、他の商店のことを考えたのかよ。
おまえ、インディの教えを忘れちまったのかよ。」
「私は、私は・・・。」
ルルジアは、兄たちに責められて返す言葉を思いつけないようだ。
そこに、ロメオがルルジアを庇うように口を開く。
「なあ、俺たちがルルジアに押し付けすぎた結果じゃないのか・・・。
ルルジアだって、製造の仕事がしたかったんだろ。なのに、一番下だからって、全て押し付けてきた。
ビーノ、ラグル、リグル、俺たちにルルジアを責める資格なんてあるのかよ。」
「だ、だけど・・・。」
「ルルジア、明日は俺が店先に立つ。
そして、価格を適正な値段に戻して販売する。」
「だ、だけど、ロメオお兄ちゃん、そんなことをすれば、ミラルノさんから・・・。」
ルルジアは反論しようとしたが、その先の言葉を口にすることが出来なかった。
ルルジアだけでなく、ビーノ、ラグル、リグルたちも、ロメオの怒りの表情を見て言葉を失っていた。
「ルルジア、ミラルノから手を引くんだ。
あいつは、商売をするうえでの仲間ではない。
むしろ、俺たちに寄生する害虫だ。
真の商人は、俺たち製造者と同じ、人を笑顔にすることに長ける者だ。」
ルルジアは、ロメオの言葉に無言で頷くことしかできなかった。
~翌日~
ドワルゴ商店の噂を聞きつけて、開店まえから通りは人だかりができていた。
店が開き、一斉に客が流れ込むのだが、
「おいおい、なんだ?」
「誰だよ、ドワルゴ商店が破格に安いなんていったのは。」
「普通の値段・・・むしろ高くね?」
「なんだよ、販売期間が1か月もあるんじゃなかったのかよ。」
客の言葉に、店主代行のロメオが説明を始める。
「皆さま、申し訳ございません。
昨日の価格のまま、1か月間もの間、販売することはできません。
皆さまには、当店の適正価格にて・・・。」
「ふざけんな!
こっちは、朝早くから並んでんだぞ!
さっさと安売りを始めろよ!」
客の一人が、大きな声で文句を言い始めた。
その言葉に便乗するように、他の客たちも騒ぎ始める。
しかし、ロメオ店主代行は、意思を曲げない。
「皆さま、申し訳ございません。
昨日の価格のまま、1か月間もの間、販売することはできません。
皆さまには、当店の適正・・・。」
「お前の言い分とかどうでもいいんだよ!
さっさと値下げしろって言ってんだ!」
「皆さま、申し訳ございません。
昨日の・・・。」
「ふざけんな!」
ミラルノやベローチ、ハロルドといった商人であれば、機転を利かせて対応することができただろう。
しかし、長年職人としての道しか歩んでこなかったロメオには、その機転がない。
同じように、育てられてきたルルジアも他の商人のような機転を利かせてとりつくろうことが苦手なようだった。
この事態は収拾するはずもなく、店を閉めたあともドワルゴ商店への嫌がらせは続いた。
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