4 / 27
理学療法士の朝が来る
しおりを挟む
朝が来て目覚まし時計が鳴った。私はイモムシのようにふとんから這い出て、手動のコーヒーミルでごりごりとコーヒー豆を挽いた。お湯を沸かし、挽いたばかりの粉にゆっくりと円を描きながらお湯を注ぐ。コーヒーの香りが台所いっぱいに広がった。そのあと小さなフライパンで食パンとウインナーを焼き、キャベツを切って簡単なホットドッグを作って食べ、また仕事に向かった。
自転車をこいで10分ほどで働いている施設に到着する。茅ヶ崎の繁華街から離れ、のどかな畑に囲まれたところにある薄い黄色をした3階建ての建物だ。ここで約百人の高齢者が暮らしている。私は施設の裏の駐輪場に自転車をとめ、職員用の入り口から中に入ってタイムカードを押した。時刻は朝の8時過ぎだ。
更衣室でまた制服に着替え、気の抜けた挨拶をしながらリハビリ室へ入った。
「おはようございます……」
先に来ていた二人の女性があいさつを返してくれた。
「おはよう」
「おはようございます」
パートの作業療法士の華原(かはら)さんと柿田(かきた)さんだ。二人とも30代半ばの女性で、もう子供のいるお母さんでもある。華原さんは小柄で、やや童顔の大きな目をしていてセミロングの髪を後ろで束ねている。柿田さんは背が高く、色白で整った顔をしているショートヘアの女性だ。
正社員は私を含めて4人いるがまだ誰も来ていない。私は一応パソコンの前に座ってみたが、まだ眠気も覚めずただ初期画面を見つめていた。後ろでは才華さんと柿田さんが子供たちの話をしていた。
「おはようございまーす……」
8時半の出勤時刻に合わせて人が集まってきた。作業療法士の森内(もりうち)さんと、言語聴覚士の澤田(さわだ)さんだ。森内さんは肉付きは普通だが身長が190センチほどもある20代後半の男性で、少し細い目に前髪が長いショートヘアをしている。澤田さんはメガネをかけたぽっちゃりした短髪の男性で、華原さんたちと同世代だ。高齢者の歯の衛生を管理したり、脳の障害でしゃべりづらくなった患者さんに言葉のリハビリをする。
自転車をこいで10分ほどで働いている施設に到着する。茅ヶ崎の繁華街から離れ、のどかな畑に囲まれたところにある薄い黄色をした3階建ての建物だ。ここで約百人の高齢者が暮らしている。私は施設の裏の駐輪場に自転車をとめ、職員用の入り口から中に入ってタイムカードを押した。時刻は朝の8時過ぎだ。
更衣室でまた制服に着替え、気の抜けた挨拶をしながらリハビリ室へ入った。
「おはようございます……」
先に来ていた二人の女性があいさつを返してくれた。
「おはよう」
「おはようございます」
パートの作業療法士の華原(かはら)さんと柿田(かきた)さんだ。二人とも30代半ばの女性で、もう子供のいるお母さんでもある。華原さんは小柄で、やや童顔の大きな目をしていてセミロングの髪を後ろで束ねている。柿田さんは背が高く、色白で整った顔をしているショートヘアの女性だ。
正社員は私を含めて4人いるがまだ誰も来ていない。私は一応パソコンの前に座ってみたが、まだ眠気も覚めずただ初期画面を見つめていた。後ろでは才華さんと柿田さんが子供たちの話をしていた。
「おはようございまーす……」
8時半の出勤時刻に合わせて人が集まってきた。作業療法士の森内(もりうち)さんと、言語聴覚士の澤田(さわだ)さんだ。森内さんは肉付きは普通だが身長が190センチほどもある20代後半の男性で、少し細い目に前髪が長いショートヘアをしている。澤田さんはメガネをかけたぽっちゃりした短髪の男性で、華原さんたちと同世代だ。高齢者の歯の衛生を管理したり、脳の障害でしゃべりづらくなった患者さんに言葉のリハビリをする。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
真夏の温泉物語
矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる