22 / 29
練習合宿開催許可申請
しおりを挟む
夏休みになり、私は実家に帰って来た。
「アイラ!おかえりなさい」
母は私の好物を作って待っていてくれた。
「どう?魔法学校は。大分慣れた?」
魔法学校に通っていた母は、学校での生活を訊きたがった。
「ん~。慣れたけど……まだ発現しなくてね……」
「そう……でも、学校でちゃんと学んでいれば、発現できるわよ。大丈夫」
母は知っているはずだ、魔法実習で発現の見込み無しと判断されれば、普通学校に転校させられてしまうことを。
「でね。学校の友だちが夏休みにね、練習に付き合ってくれるっていうの。10日くらいなんだけど、練習合宿に行ってもいいかな?」
私は母に言ってみた。
もし反対されたら、マイロと練習合宿はできない。
「へ~、友だちが練習合宿をやってくれるの?優しいね~」
「うん。凄く魔法が得意なの。無詠唱で魔法出せるんだよ?凄くない?」
「へ!無詠唱?!それはすごいわ」
「凄いの!2要素持ちなの。しかも」
「うわ~すごい。私の時も、2要素持ちはあまりいなかったわ」
楽しそうに話す母。
これなら許可してくれるかも。
「あのね。そのお友だち、マイロ君って言うの。マイロ・テイラー。でも、ご実家にはご両親とお兄さんと、お姉さんがいらっしゃるから、その……いかがわしいこととかは……」
「マイロ・テイラー?2要素持ちで?」
母は男の子の実家に行くということより、マイロの名前に反応した。
なんで?
「そう。マイロ・テイラー君。お父さんが魔力持ちなんだって」
「そう……で、マイロ君がアイラに魔法の特訓をしてくれるの?」
「うん。そうなの」
母はしばらく考えて、
「アイラ。あなたも自分が女性であることをちゃんと自覚してね。そして、マイロ君が男性であることも」
「うん」
「マイロ君のご実家に10日もお世話になるなら、手ぶらでってわけにはいかないのよ?」
母は真っ直ぐに私を見て
「信頼してるから、許すけど。自覚してね。あなた達はまだ、学生なんだから」
娘のことを心配するのは、当然のことだろう。
友だちとはいえ、異性と10日も一緒に過ごすというのだから。
でも、私を信頼していると言ってくれる母に感謝した。
「ありがとう、お母さん。私、夏休み中に絶対に魔法使えるようになってくるから」
そういう私に、
「頑張ってね。テイラーさんにご迷惑をかけちゃだめよ?」
と言った。
「大丈夫だし!」
「まぁ、寮で暮らしてるんだから、身の回りのことはちゃんとできているんでしょ?そっちも信頼してるわよ?」
「大丈夫だし!ちゃんとやってるし!」
そう言って学校での話、寮生活の話で盛り上がった。
「アイラ!おかえりなさい」
母は私の好物を作って待っていてくれた。
「どう?魔法学校は。大分慣れた?」
魔法学校に通っていた母は、学校での生活を訊きたがった。
「ん~。慣れたけど……まだ発現しなくてね……」
「そう……でも、学校でちゃんと学んでいれば、発現できるわよ。大丈夫」
母は知っているはずだ、魔法実習で発現の見込み無しと判断されれば、普通学校に転校させられてしまうことを。
「でね。学校の友だちが夏休みにね、練習に付き合ってくれるっていうの。10日くらいなんだけど、練習合宿に行ってもいいかな?」
私は母に言ってみた。
もし反対されたら、マイロと練習合宿はできない。
「へ~、友だちが練習合宿をやってくれるの?優しいね~」
「うん。凄く魔法が得意なの。無詠唱で魔法出せるんだよ?凄くない?」
「へ!無詠唱?!それはすごいわ」
「凄いの!2要素持ちなの。しかも」
「うわ~すごい。私の時も、2要素持ちはあまりいなかったわ」
楽しそうに話す母。
これなら許可してくれるかも。
「あのね。そのお友だち、マイロ君って言うの。マイロ・テイラー。でも、ご実家にはご両親とお兄さんと、お姉さんがいらっしゃるから、その……いかがわしいこととかは……」
「マイロ・テイラー?2要素持ちで?」
母は男の子の実家に行くということより、マイロの名前に反応した。
なんで?
「そう。マイロ・テイラー君。お父さんが魔力持ちなんだって」
「そう……で、マイロ君がアイラに魔法の特訓をしてくれるの?」
「うん。そうなの」
母はしばらく考えて、
「アイラ。あなたも自分が女性であることをちゃんと自覚してね。そして、マイロ君が男性であることも」
「うん」
「マイロ君のご実家に10日もお世話になるなら、手ぶらでってわけにはいかないのよ?」
母は真っ直ぐに私を見て
「信頼してるから、許すけど。自覚してね。あなた達はまだ、学生なんだから」
娘のことを心配するのは、当然のことだろう。
友だちとはいえ、異性と10日も一緒に過ごすというのだから。
でも、私を信頼していると言ってくれる母に感謝した。
「ありがとう、お母さん。私、夏休み中に絶対に魔法使えるようになってくるから」
そういう私に、
「頑張ってね。テイラーさんにご迷惑をかけちゃだめよ?」
と言った。
「大丈夫だし!」
「まぁ、寮で暮らしてるんだから、身の回りのことはちゃんとできているんでしょ?そっちも信頼してるわよ?」
「大丈夫だし!ちゃんとやってるし!」
そう言って学校での話、寮生活の話で盛り上がった。
2
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

召喚先は、誰も居ない森でした
みん
恋愛
事故に巻き込まれて行方不明になった母を探す茉白。そんな茉白を側で支えてくれていた留学生のフィンもまた、居なくなってしまい、寂しいながらも毎日を過ごしていた。そんなある日、バイト帰りに名前を呼ばれたかと思った次の瞬間、眩しい程の光に包まれて──
次に目を開けた時、茉白は森の中に居た。そして、そこには誰も居らず──
その先で、茉白が見たモノは──
最初はシリアス展開が続きます。
❋多視点のお話もあります
❋独自設定有り
❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。気付いた時に訂正していきます。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる