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練習合宿開催許可申請
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夏休みになり、私は実家に帰って来た。
「アイラ!おかえりなさい」
母は私の好物を作って待っていてくれた。
「どう?魔法学校は。大分慣れた?」
魔法学校に通っていた母は、学校での生活を訊きたがった。
「ん~。慣れたけど……まだ発現しなくてね……」
「そう……でも、学校でちゃんと学んでいれば、発現できるわよ。大丈夫」
母は知っているはずだ、魔法実習で発現の見込み無しと判断されれば、普通学校に転校させられてしまうことを。
「でね。学校の友だちが夏休みにね、練習に付き合ってくれるっていうの。10日くらいなんだけど、練習合宿に行ってもいいかな?」
私は母に言ってみた。
もし反対されたら、マイロと練習合宿はできない。
「へ~、友だちが練習合宿をやってくれるの?優しいね~」
「うん。凄く魔法が得意なの。無詠唱で魔法出せるんだよ?凄くない?」
「へ!無詠唱?!それはすごいわ」
「凄いの!2要素持ちなの。しかも」
「うわ~すごい。私の時も、2要素持ちはあまりいなかったわ」
楽しそうに話す母。
これなら許可してくれるかも。
「あのね。そのお友だち、マイロ君って言うの。マイロ・テイラー。でも、ご実家にはご両親とお兄さんと、お姉さんがいらっしゃるから、その……いかがわしいこととかは……」
「マイロ・テイラー?2要素持ちで?」
母は男の子の実家に行くということより、マイロの名前に反応した。
なんで?
「そう。マイロ・テイラー君。お父さんが魔力持ちなんだって」
「そう……で、マイロ君がアイラに魔法の特訓をしてくれるの?」
「うん。そうなの」
母はしばらく考えて、
「アイラ。あなたも自分が女性であることをちゃんと自覚してね。そして、マイロ君が男性であることも」
「うん」
「マイロ君のご実家に10日もお世話になるなら、手ぶらでってわけにはいかないのよ?」
母は真っ直ぐに私を見て
「信頼してるから、許すけど。自覚してね。あなた達はまだ、学生なんだから」
娘のことを心配するのは、当然のことだろう。
友だちとはいえ、異性と10日も一緒に過ごすというのだから。
でも、私を信頼していると言ってくれる母に感謝した。
「ありがとう、お母さん。私、夏休み中に絶対に魔法使えるようになってくるから」
そういう私に、
「頑張ってね。テイラーさんにご迷惑をかけちゃだめよ?」
と言った。
「大丈夫だし!」
「まぁ、寮で暮らしてるんだから、身の回りのことはちゃんとできているんでしょ?そっちも信頼してるわよ?」
「大丈夫だし!ちゃんとやってるし!」
そう言って学校での話、寮生活の話で盛り上がった。
「アイラ!おかえりなさい」
母は私の好物を作って待っていてくれた。
「どう?魔法学校は。大分慣れた?」
魔法学校に通っていた母は、学校での生活を訊きたがった。
「ん~。慣れたけど……まだ発現しなくてね……」
「そう……でも、学校でちゃんと学んでいれば、発現できるわよ。大丈夫」
母は知っているはずだ、魔法実習で発現の見込み無しと判断されれば、普通学校に転校させられてしまうことを。
「でね。学校の友だちが夏休みにね、練習に付き合ってくれるっていうの。10日くらいなんだけど、練習合宿に行ってもいいかな?」
私は母に言ってみた。
もし反対されたら、マイロと練習合宿はできない。
「へ~、友だちが練習合宿をやってくれるの?優しいね~」
「うん。凄く魔法が得意なの。無詠唱で魔法出せるんだよ?凄くない?」
「へ!無詠唱?!それはすごいわ」
「凄いの!2要素持ちなの。しかも」
「うわ~すごい。私の時も、2要素持ちはあまりいなかったわ」
楽しそうに話す母。
これなら許可してくれるかも。
「あのね。そのお友だち、マイロ君って言うの。マイロ・テイラー。でも、ご実家にはご両親とお兄さんと、お姉さんがいらっしゃるから、その……いかがわしいこととかは……」
「マイロ・テイラー?2要素持ちで?」
母は男の子の実家に行くということより、マイロの名前に反応した。
なんで?
「そう。マイロ・テイラー君。お父さんが魔力持ちなんだって」
「そう……で、マイロ君がアイラに魔法の特訓をしてくれるの?」
「うん。そうなの」
母はしばらく考えて、
「アイラ。あなたも自分が女性であることをちゃんと自覚してね。そして、マイロ君が男性であることも」
「うん」
「マイロ君のご実家に10日もお世話になるなら、手ぶらでってわけにはいかないのよ?」
母は真っ直ぐに私を見て
「信頼してるから、許すけど。自覚してね。あなた達はまだ、学生なんだから」
娘のことを心配するのは、当然のことだろう。
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でも、私を信頼していると言ってくれる母に感謝した。
「ありがとう、お母さん。私、夏休み中に絶対に魔法使えるようになってくるから」
そういう私に、
「頑張ってね。テイラーさんにご迷惑をかけちゃだめよ?」
と言った。
「大丈夫だし!」
「まぁ、寮で暮らしてるんだから、身の回りのことはちゃんとできているんでしょ?そっちも信頼してるわよ?」
「大丈夫だし!ちゃんとやってるし!」
そう言って学校での話、寮生活の話で盛り上がった。
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