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166.コラボレーションとは

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「萌?聖地巡礼?」
アリシアは首を傾げてリナに訊いた。


「もし、あの小説の舞台がこの村だったら……あの少年は今頃どうしているだろうか……なんて考えたらどう?ドキドキしない?自分が主人公だったら、あの少年に会えたらなんて言うんだろう……って考えたらどう?」
リナはアリシアに言った。


「もし、私が主人公で、あの少年に会えたとしたら……きっと泣くわ。ずっと会いたかったって言うわ。一緒に過ごしたあの日々があったから、王都でも頑張って生きてこれたんだって伝えたいわ。そして……ありがとうって言いたいわ」
アリシアは胸を押さえ、目を閉じて答えた。


「素敵!素敵ね!あーちゃん」

「えぇ。想像しただけで、胸が痛いわ!苦しいわ!」

「それが『キュン!!』だよ!」

「これが……『キュン!!』なの?」

「そうだよ!それが胸キュンなんだよ!」


女子の会話に入っていけないイザックが、不思議な顔をしてふたりを見ている。


「あーちゃんが、このフォレールの村が小説の中の療養先に感じるように、私たちからすると、王都は小説の舞台だからね~やっぱり憧れがあるよね~」
リナがブンブンと頷いた。

「そうなのね~確かに、小説の舞台だと思うと、王都で過ごした日々もまた違ったように感じられるわね」
アリシアも頷く。


「『この丘からの景色はあの小説の最後クライマックスの主人公が決意したときに見た景色かもしれない!』みたいなね」
リナが言うと、

「ある小説の登場する場所に似た所を選んで、『モデルはここかも?』みたいなのをまとめて、観光コースにするってこと?」
アリシアが声を弾ませる!

「そう!そうよ!お店とコラボして、『あの時のデートで食べた食事を再現!』とか!」
「デートに着た服を紹介するとか!」



盛り上がる二人に対して、一人冷静に話を聞いていたイザックは
「それって、作家に確認してみればいいんじゃないの?『あの丘の景色は』『あの時のデートの食事は』とかさ」
と言った。


「そうね。作者がまだ生きていたら、イメージが違うとか。著作権の侵害だとか言われてしまうかもだものね」
アリシアも同意した。

「作者がもうお亡くなりになっているような作品だとしたら、問題ない?それとも、その作品について権利を相続している人がいて、その人たちの了解が必要なのかしら?」
とリナが質問した。

「そうね……今まで、そういったことを考えた人がいないだろうから……どうかしらねぇ」
アリシアもハッキリとは分からない様子だ。


「いっそさ、今売れている作家さんとコンタクトを取って、ちゃんと趣旨を説明して、コラボして下さいってお願いして、作品使用料をお支払いした方が、お互いに納得できるっていうか、争いにならなそうだよね」

「コラボ???」

「コラボっていうのは……利的協力っていうんだけど、作家さんにしてみれば、自分の作品に登場した食事をモデルとしたメニューがレストランとかで食べられて、それでこの食事のモデルになった小説を読んでみたい!って思われたら、利になるでしょ?レストランもあの小説の食事を再現してくれてるなら食べてみたい!と思う人が沢山来てくれたら利になるでしょ?そんな風に立場が違う人がお互いに協力してものをつくる感じのことをいうのよ」

リナの説明に、イザックは驚いた。

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