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144.アリシア先生です

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アリシアは、イザックと一緒に国語の教室に入った。


「教室から、一緒に勉強することになりました、アリシアさんです」
イザックが生徒たちに紹介した。

アリシアはイザックにすすめられ、一歩前に出て、皆に挨拶をした。

「み、みなさん。初めまして。アリシアです。今日から、みなさんと一緒に国語の勉強をします。ボーヴォ領には初めて来ました。宜しくお願いします」
アリシアが
頭を下げると、パチパチと拍手が聞こえてきた。

顔を上げると、そこには生徒たちの笑顔があった。

6歳のこどもから40歳のおじさんまで一緒に学ぶ寺子屋。
アリシアはニッコリと笑って、もう一度
「宜しくお願いします」
と行った。

そのあまりの美しさに、教室がざわめいた。
ドレスを着ていなくても、化粧をしていなくても、滲み出る品格と美しさが、アリシアにはあるのだ。


「アリシア先生も、王都から来たの?」
マルコが訊いた。

アリシアがイザックを見ると、イザックは頷いて

「アリシア先生は、僕のお友だちです。一緒に勉強したこともあります」
と言った。

「えー!お友だちなの?いいなぁ。アリシア先生みたいな綺麗な人とお友だちで」
とマルコが言って、教室は笑いに包まれた。


「これから、みんなもアリシア先生と仲良くなるんだから、同じだよ」
とイザックが言うと

「そうか!嬉しい!」
と言って、マルコは喜んだ。

「みんなと仲良くしてもらえるように、しっかり頑張ります」
アリシアはマルコに言った。


その後は、イザックが授業をすすめ、アリシアは作文のアドバイスをした。

文字の間違いを直したり、熟語を教えたりした。

例えが、うまく選べなくて困っていると、イザックが村民にも分かる例えを教えてくれたりした。


昼ご飯はみんなで食堂で食べた。
アリシアは、みんながワイワイと食べながらする話を、興味深く聞いていた。


宗長とリナも食堂にやってきて、アリシアの隣に座った。

「どうだった?イザック先生は」
「えっ?そっちかよ?」
イザックはリナに言った。

アリシアは笑って
「学園にいた時より、随分と逞しくなったと思ったわ」
と言った。

「学園では、逞しくなかったの?」
リナはイザックをからかうように訊いた。

「そうね~」
アリシアがイザックを見ると、イザックは首をすくめた。

「大勢の前で話をすることは、あまり得意ではなさそうだったわ」

「へー。でも、そうかもね~最初ライアンさんと来たばっかりの時はねぇ」
とリナが宗長に同意を求めると、

「成長著しいイザック殿でござるな」
と、うどんを食べる手を止めて言った。

「ムネナガさんが食べているのは、何ですか?」
アリシアは訊いた。初めてみる食べ物だ。

「これは、『うどん』でござるな。東の国の食べ物でござる」
と、宗長は啜りながら言った。

「うどん……」
「明日はうどんにすると良いでござる」
「はい。そうします」
アリシアはフワリと笑った。
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