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127.悪役令嬢

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ジュールさんに送られ、家に到着した。

「あー楽しかったわね~」
ロナとリナが馬車から荷物を降ろしていると、家の中からテオが飛び出して来た。


「母さん!やっと帰って来た。遅いよ!」
「何?どうしたのよ」
「いいから、早く中に入ってよ!」

背中を押されて家の中に入るロナ。
ダイニングテーブルにはジャンと、もうひとり座っている。

「誰?」
テオに訊くと
「ジャン兄さんが話すから」
と言った。
遅れて宗長とリナが入って来た。

「ロナ殿、ジュール殿は帰ったでござるよ」
「ジャン兄さんこんばんは……って、誰?」


「ロナさん、リナ、お邪魔してます。突然すみません。他に頼れるところもなくて……」
「別にウチはいつでもウェルカムだけど……説明して?誰?」


「今日、辺境伯領に用事があって行ったんだけど。帰りに、森の出口の所でうずくまっている彼女を見つけたんだよ」
ジャンは、テーブルに座っているもうひとりを見た。


「女の人?」
リナは訊いた。
「そう。王都から連れてこられて、森の中に置いて行かれたらしい」

「「「は?」」」
ロナとリナと宗長は、思わずそう言った。

「森の中に捨てるって……」
「王都追放……」
ロナとリナは顔を見合わせた。


「あの……あなた……学園で、あなたの婚約者に馴れ馴れしく接する、編入してきた女の人を虐めて、婚約者の逆鱗に触れて、身の保身に走った父親に『王都から追放致します!貴族籍も剥奪します!』って言われて、森に捨てられたの?」

「はい……まったくもって、その通りです」
「やっぱり……」

「ちなみに、その編入してきた女の人は、元庶民?」
「はい……」
「やっぱり……」


「ママ!この人、悪役令嬢なんじゃ……」
「間違いないわね。悪役令嬢よ」

「「「悪役令嬢?」」」
ジャンとテオと宗長が訊き返す。


「悪役令嬢とは、悪役に仕立て上げられた令嬢のことよ」
「仕立て上げられた?」
ジャンが訊いた。


「そうよ。だってさ、自分の婚約者に他の女がベタベタしたら、誰だって嫌よ。虐めたのはマズかったかもしれないけど、どっちが悪いかといえば、人の婚約者に手を出した方が悪いじゃない?なのに、その泥棒女はお咎め無しなのよ?あり得ないわ。それで、彼女を悪役に仕立てて、泥棒女と浮気男は障害を乗り越えて結ばれたことになってるのよ?信じられる?」

「なんで……そんなに詳しいんですか?……」
悪役令嬢が呆けた顔で訊く。

「ん?」
「ママ……詳し過ぎ……」
「なぜ、私が詳しいのか。それは、それは……」
皆がロナに注目する。

「それは……」


「こんばんは、ジャンいますか?」
玄関からイザックの声。

「はいはい!!います!いますよ~」
ロナはそそくさと玄関へ急いだ。
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