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121.フォレールの森の奥-3
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一行は森の奥へ進む。
「ジュールさん、もう少し?」
「もう少しだよ、リナは足痛くないか?」
「大丈夫」
「ロナさんは?大丈夫?」
「大丈夫だけど、早く着いてほしいわ」
ロナが言うとジュールは笑った。
「もうすぐだから」
ジュールは最後尾を歩く宗長とイザックに声を掛けた。
息があがるイザック
「森を歩くのは、大変なんだな」
「そうでござるな。」
横を歩く宗長も同意する。
しんと静まりかえっている森を進む。
村よりも涼しく、遠くから鳥の鳴き声が聞こえる。
ザァーっと水の流れる音が聞こえてきて、ジュールが
「さぁ、着いたぞ」
と言った。
「うわぁ~!ママ!見て!凄い」
リナは両手を口に当て、青く輝く滝を見つめる。
「これが、フォレールの滝」
イザックも息を弾ませながら見つめる。
かつて、捨鉢になったジュールが迷い込んだ森の奥、静かに輝く青い滝。
「これは、見事でござるな」
宗長も滝を見つめる。
皆、それっきり何も言わずに黙って滝を眺めていた。
しばらくして
「この滝は、このままが良いわね。観光客が踏み荒らしていい場所じゃないわ。このままが良いわ」
ロナが言った。
「そうだね。ママ。ここは、このままでいて欲しい」
リナもそう言って、滝に向かって手を合わせた。
「王都の連中に、こんな素晴らしい場所があることを知らせたい反面、ここを汚されることは許せないと思う」
イザックは静かに言うと、ジュールに頭を下げた。
「ジュールさん、ここに連れてきてくれて、本当にありがとうございます」
ジュールも静かに笑って
「喜んでくれて、嬉しいよ」
と言った。
ジュールはふと、滝壺の反対側を見た。
木々の間から、何か明るい光を感じる。
姿は現さないが、きっとあの時の精霊なのだとジュールは思った。
自分はこの滝に救われた。
父の愛情を感じることが出来た。
今度はイザックが、何かを感じ取り救われて欲しいと思って連れてきた。
「本当に、凄い。時間が止まってるみたいだ」
イザックは吸い込まれるように、滝を見つめている。
「この後は、リヴァージュの湖だな。もうそろそろ行くか」
ジュールが言うと
「私もここで絵を描きたいから、また連れてきてくれる?」
とリナは頼んだ。
「あぁ、いいよ。ちゃんと画材を用意して、絵を描きに来ような」
ジュールはリナの頭をポンと叩いた。
「ジュールさん、ありがとう。本当に素晴らしいわ。そして、ここはこのまま、聖域であるべき場所だわ。訪れる時は、感謝しながら来るべきところね」
ロナはもう一度湖を見て、リナと同じように手を合わせ、お辞儀をした。
ロナを見ていた宗長も湖にお辞儀をして、それを見たイザックが何をしているのかを宗長に訊ねた。
「感謝の意を表しているのでござる」
イザックも湖に手を合わせ、頭を下げた。
「ジュールさん、もう少し?」
「もう少しだよ、リナは足痛くないか?」
「大丈夫」
「ロナさんは?大丈夫?」
「大丈夫だけど、早く着いてほしいわ」
ロナが言うとジュールは笑った。
「もうすぐだから」
ジュールは最後尾を歩く宗長とイザックに声を掛けた。
息があがるイザック
「森を歩くのは、大変なんだな」
「そうでござるな。」
横を歩く宗長も同意する。
しんと静まりかえっている森を進む。
村よりも涼しく、遠くから鳥の鳴き声が聞こえる。
ザァーっと水の流れる音が聞こえてきて、ジュールが
「さぁ、着いたぞ」
と言った。
「うわぁ~!ママ!見て!凄い」
リナは両手を口に当て、青く輝く滝を見つめる。
「これが、フォレールの滝」
イザックも息を弾ませながら見つめる。
かつて、捨鉢になったジュールが迷い込んだ森の奥、静かに輝く青い滝。
「これは、見事でござるな」
宗長も滝を見つめる。
皆、それっきり何も言わずに黙って滝を眺めていた。
しばらくして
「この滝は、このままが良いわね。観光客が踏み荒らしていい場所じゃないわ。このままが良いわ」
ロナが言った。
「そうだね。ママ。ここは、このままでいて欲しい」
リナもそう言って、滝に向かって手を合わせた。
「王都の連中に、こんな素晴らしい場所があることを知らせたい反面、ここを汚されることは許せないと思う」
イザックは静かに言うと、ジュールに頭を下げた。
「ジュールさん、ここに連れてきてくれて、本当にありがとうございます」
ジュールも静かに笑って
「喜んでくれて、嬉しいよ」
と言った。
ジュールはふと、滝壺の反対側を見た。
木々の間から、何か明るい光を感じる。
姿は現さないが、きっとあの時の精霊なのだとジュールは思った。
自分はこの滝に救われた。
父の愛情を感じることが出来た。
今度はイザックが、何かを感じ取り救われて欲しいと思って連れてきた。
「本当に、凄い。時間が止まってるみたいだ」
イザックは吸い込まれるように、滝を見つめている。
「この後は、リヴァージュの湖だな。もうそろそろ行くか」
ジュールが言うと
「私もここで絵を描きたいから、また連れてきてくれる?」
とリナは頼んだ。
「あぁ、いいよ。ちゃんと画材を用意して、絵を描きに来ような」
ジュールはリナの頭をポンと叩いた。
「ジュールさん、ありがとう。本当に素晴らしいわ。そして、ここはこのまま、聖域であるべき場所だわ。訪れる時は、感謝しながら来るべきところね」
ロナはもう一度湖を見て、リナと同じように手を合わせ、お辞儀をした。
ロナを見ていた宗長も湖にお辞儀をして、それを見たイザックが何をしているのかを宗長に訊ねた。
「感謝の意を表しているのでござる」
イザックも湖に手を合わせ、頭を下げた。
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