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113.隣村にも食堂が欲しい

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「スクール馬車とやらは、便利なものだよな」
「辻馬車は無いんですか?」
「んなもん、高くて乗れっかよ」

イザックは宗長とシモンと昼食を取っていた。

「毎回のこととなると、馬車代だけで生活できなくなっちまうわ」
「他の村に用があるとき、どうしてるんですか?」
イザックはシモンに訊ねた。

「どうしても行かなくちゃダメな時は、馬車代払って乗せてもらうけどよ、安くはねえからな。急ぎじゃねえ時は、歩くのさ」
「拙者の国も、基本的に移動は歩きでござる」
「そうなんですね……」
イザックは、王都での暮らしを思い出し、王都に暮らす平民たちはどのように暮しているのか、考えもしていなかったことに気が付かされた。

「にしてもよ、フォレールはマルタンの会長と、ここの校長が組んでからは、随分豊かじゃねえか」
シモンは焼うどんを食べながら言った。

「ロナ殿は東の国の文化に詳しく、『おにぎり』や『焼き鳥』などを始めて、村に新しい雇用を生み出したのでござる」
「ここの食堂も、ただで食わせてくれるんだから、ありがたいもんだぜ」

「その辺は、ジュール殿が農業ギルドとかと、うまくやっているようでござる。この寺子屋は村営でござるゆえ」
「ウチのリヴァージュにも店出してくれねぇかな?校長」

シモンは食べ終わると、お茶を飲みながら言った。

「シモン殿の村には、食堂は無いのでござるか」
「そうだな。わざわざ金を払って飯を食うようなところはねえな。ウチの村にはよ、小さな湖があってな、なかなな綺麗なところなんだけどよ、職がねえからな。みんな大変だよ」
「職が無いんですか?」

イザックは思わず聞き返した。
職が無いなんてことあるのだろうか。
働かないのは、能力が無いか、怠惰な人間だからなのだと思っていた。


「おうよ。結局、野菜を作ってギルドに売るか、湖で魚を獲ってギルドに売るか、あとは職人になるかくらいの、小さな村だからな」

「シモン殿の村で職を求めている人たちは、スクール馬車に乗って、一緒にフォレールに来たら良いのではござらんか?ロナ殿の鶏レバーペーストとワインの工場は、人が足りないといつも言っているでござるよ。この寺子屋も食堂を含めて、求人しているはずでござる」

「働く場所があるのか?誰に聞けばいいんだ?そりゃ!」
シモンは思わず立ち上がる。

「後で職員室に来られよ。ロナ殿に直接相談してみるのが良かろう」

「そうか!そうだな!ありがとよ!ムネナガ先生」

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