オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

46.かつては毒親だった母

「メニューはマルタンさんに書いて頂きたいのですが」
ロナは食後の緑茶を出した後で、マルタンに頼んだ。

「それは構わんが、ロナさんだって書けるだろうに」

「いえ、マルタンさんに書いていただくことで、村の人々からの信頼を得ることができるのです。かつての私は、その毒親でしたので…」
「…確かに毒親…いや、以前のあなたはだな、今のあなたは、まるで別人のようであるからな」
マルタンは二人の息子をチラリと見ながら言った。

「ロナさんがテオに優しくしてくれるようになって、俺も安心しました」
テオを見てニコリと微笑むジャンは、本当にいい人のようだ。

「分かった。では、メニューは私が責任を持って書こう」
「できれば、一番下に　By Martin　と書いて頂けますか？」
「いいだろう！」
マルタンは笑いながら緑茶をすすった。


音を立ててお茶を飲むマルタンにジャンは眉をひそめたが
「緑茶は音をたてて飲む文化があります。マルタンさんはお上手ですね」
とロナが言うと、

「音をたてなければなりませんか？」
とジャンは困った顔をしたので

「ここでは、たてなくても大丈夫ですよ」とロナは笑った。