【完結】私のことを、愛して

8.思い出の滝で

どれくらいの時間が経ったのか。
彼と妹はなかなか戻ってこない。

もしかして、妹に誘われた彼は……
考えたくない。考えたくないのに。


森の奥から、彼が歩いて来る姿が見えた。
お父様とお兄様が立ち上がって、彼を迎える。
お母様は私の隣に来て、私の手を握った。


「終わりました」
彼がお父様に言うと、お父様は
「ありがとう、ありがとう」
と彼に頭を下げた。
お兄様もお父様の隣で彼に頭を下げている。

お母様は私に抱きついて泣き始めた。


何が起きているの？


彼は私の所にやって来る。
「アニー。終わったよ。辛い思いをさせて、悪かったな」
そう言って、私を抱きしめた。


アニー
彼は私をアニーと呼んだわ。
そうよ！私がアニーなの！


「妹は？妹はどうしたの？」
私は彼に訊いた。

「今頃、滝壺の中だよ」
「滝壺の……」


「さぁ、帰りましょう！」
お母様がお父様に声を掛ける。
お父様が頷き、私たちは馬車に戻った。


「何があったの？どうしたの？説明して……」
彼に問うと、彼は私の頭をポンと叩いて、着いたらなと言った。


馬車が領地に着いた。
私はおばあちゃんの家に走り出した

おばあちゃん！おばあちゃん！

「おばあちゃん！」
家の中に駆け込むと、

あらあら！なんだい？落ち着きがないね？
という、おばあちゃんの声。

笑いながらおばあちゃんが玄関へと出てきた。

「おばあちゃん？」
混乱する私の横で
「終わりました」
と彼が言った。

「そうかい。ご苦労だったね」
とおばあちゃんは言い、遅れてやって来たお父様、お母様、お兄様の顔を見て、大きく頷いた。

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アリー　妹
アニー　姉(主人公)