6 / 10
6.心を決めた
しおりを挟む
「もう少し、もう少しよ」
誰かの声が聴こえて目が覚めた時、私は暖色の部屋にいた。
「目が覚めた?興奮状態になって倒れちゃったから、心配したわ」
「お母様……ごめんなさい……心配させて……」
「今日は食事を部屋に運ばせるから、食べて寝なさいね」
お母様は私の頬を撫でて、出て行った。
食欲なんてない。
このまま、妹として生きていくのは、耐えられない。
もう、おばあちゃんも死んでしまった。
私も、死んでしまおう。
最後に、領地の景色を見て。
運ばれてきた食事を断って、私は眠った。
心を決めてしまったら、苦しさから解放された気がした。
次の日の朝、食事の際に私は言った。
「お父様、アニーの育った領地が見たいです」
「それは構わないが、どうしたんだ?」
「おばあさまの葬儀には参列しないのですか?」
「私と妻だけで参列しようと考えていた。アリーも行くのか?」
「アニーを育ててくれたお礼を言いたいのです」
私とお父様との会話を黙って聞いていた妹がニッコリと笑って
「アリーは優しいのね?会ったことも無いおばあさまの葬儀に参列してくれるなんて。いいじゃないですか、お父様。皆でおばあさまの葬儀に参列しましょう」
と言った。
「そうだな。じゃそうするか」
お父様はそう言って、全員で参列することになった。
おばあちゃんのお墓にお花を供えたら、私も逝くからね。おばあちゃん。
※※※※※※
アリー 妹
アニー 姉(主人公)
誰かの声が聴こえて目が覚めた時、私は暖色の部屋にいた。
「目が覚めた?興奮状態になって倒れちゃったから、心配したわ」
「お母様……ごめんなさい……心配させて……」
「今日は食事を部屋に運ばせるから、食べて寝なさいね」
お母様は私の頬を撫でて、出て行った。
食欲なんてない。
このまま、妹として生きていくのは、耐えられない。
もう、おばあちゃんも死んでしまった。
私も、死んでしまおう。
最後に、領地の景色を見て。
運ばれてきた食事を断って、私は眠った。
心を決めてしまったら、苦しさから解放された気がした。
次の日の朝、食事の際に私は言った。
「お父様、アニーの育った領地が見たいです」
「それは構わないが、どうしたんだ?」
「おばあさまの葬儀には参列しないのですか?」
「私と妻だけで参列しようと考えていた。アリーも行くのか?」
「アニーを育ててくれたお礼を言いたいのです」
私とお父様との会話を黙って聞いていた妹がニッコリと笑って
「アリーは優しいのね?会ったことも無いおばあさまの葬儀に参列してくれるなんて。いいじゃないですか、お父様。皆でおばあさまの葬儀に参列しましょう」
と言った。
「そうだな。じゃそうするか」
お父様はそう言って、全員で参列することになった。
おばあちゃんのお墓にお花を供えたら、私も逝くからね。おばあちゃん。
※※※※※※
アリー 妹
アニー 姉(主人公)
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
貴方もヒロインのところに行くのね? [完]
風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは
アカデミーに入学すると生活が一変し
てしまった
友人となったサブリナはマデリーンと
仲良くなった男性を次々と奪っていき
そしてマデリーンに愛を告白した
バーレンまでもがサブリナと一緒に居た
マデリーンは過去に決別して
隣国へと旅立ち新しい生活を送る。
そして帰国したマデリーンは
目を引く美しい蝶になっていた
ハイパー王太子殿下の隣はツライよ! ~突然の婚約解消~
緑谷めい
恋愛
私は公爵令嬢ナタリー・ランシス。17歳。
4歳年上の婚約者アルベルト王太子殿下は、超優秀で超絶イケメン!
一応美人の私だけれど、ハイパー王太子殿下の隣はツライものがある。
あれれ、おかしいぞ? ついに自分がゴミに思えてきましたわ!?
王太子殿下の弟、第2王子のロベルト殿下と私は、仲の良い幼馴染。
そのロベルト様の婚約者である隣国のエリーゼ王女と、私の婚約者のアルベルト王太子殿下が、結婚することになった!? よって、私と王太子殿下は、婚約解消してお別れ!? えっ!? 決定ですか? はっ? 一体どういうこと!?
* ハッピーエンドです。
その日がくるまでは
キムラましゅろう
恋愛
好き……大好き。
私は彼の事が好き。
今だけでいい。
彼がこの町にいる間だけは力いっぱい好きでいたい。
この想いを余す事なく伝えたい。
いずれは赦されて王都へ帰る彼と別れるその日がくるまで。
わたしは、彼に想いを伝え続ける。
故あって王都を追われたルークスに、凍える雪の日に拾われたひつじ。
ひつじの事を“メェ”と呼ぶルークスと共に暮らすうちに彼の事が好きになったひつじは素直にその想いを伝え続ける。
確実に訪れる、別れのその日がくるまで。
完全ご都合、ノーリアリティです。
誤字脱字、お許しくださいませ。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる