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第19話 東京都立ダンジョン育成学校。

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 東京都立ダンジョン育成学校。
 それが、この学園の正式名称だ。略して『ダンコウ』と呼ばれることが多い。

 俺たちのクラスは、全員が能力を持っている。
 美琴は身体能力の向上「怪力」風華さんは「光」

 俺は身体能力の強化(ということになっている)
 まだ高校が始まって数カ月しかたってないが、序列でいうと、大体下から二番目、三番目くらいだろう。

 ごんぞうは結構上のほうだった気がする。

 もちろん、美琴と風華さんはトップクラス。
 体育館へ向かう途中、美琴が声をかけてくる。

「え、黒斗って能力あったの?」
「あ、ああ。ちょっとだけな。ほんのちょっとだけ早く動けるんだ」
「ふーん……後天的に授かる場合もあるんだ。知ってる? 風華さん」
「聞いたことないかも……」

 何だかバレそうなので、早歩きで歩く。一応、高速移動っぽく少しだけ早く。

 今日の授業は、シンプルな基礎体力を調べるらしい。
 俺たちの担任先生は女性で、見た目はお姉さんって感じでキレイだ。
 長い黒髪に、体育ジャージ。

 名前は朱音りん先生。

『下の名前で呼んだら殺す』

 ちなみにそれが初めての自己紹介だった。

 りんちゃんおそろしっ!

「じゃあ、順番に図ってくれー」

 今もなんか凄い適当だ。この人、本当に先生か?

「よっしゃあ、握力150ぅ!」
「さすがごんぞうさんっす!」
「しゅごおぉい!」

 ごんぞう一派は元気がいい。見ていて割と好きかもしれない。
 てか150って凄いな。

「ハッハー! どうだ黒羽ェ!」
「凄い」
「お、おう。ありがとな」

 後、意外といい奴かも。

「黒斗、ほら」
「あ、う、うん」

 美琴に促され、ほんのちょっとだけ力を入れる。
 すると、60と表示された。
 大体平均くらいだろう。

「え、意外とあるんだね?」
「そうかな?」

 よく考えると、俺はだいぶひょろく見える。
 平均以下でも良かったか。

 するとその横で、歓声が上がった。

「ぬおおおおおおおお、我が右手よおお弾けろシナプスウウウウウ!」

 水面川ローザだ。転向初日から目立つな。
 なんかこう、香ばしい。

 ちょっとブラックとキャラ被ってないか?

「ハァハァ……ふふふ、ははは! この学園は、我が手に!」

 相変わらずなんかこう、痛い感じだ。
 やはり力も凄いのか――。

「水面側ローザさん、握力8ね。記載しといてー」
「……力が欲しいか……欲しけりゃあくれてやる……」

 いや、どうやら全然ダメらしい。
 なんかぶつぶつ呟いている。俺のブラックイアーには聞こえてしまうのでやめてほしい。
 うん、あいつはもう間違いない。中二病患者だ。

 だがちょっと俺とシンパシーを感じる。

「飛べ、我が身体よ! 羽根のように!」
「はい、直立ジャンプ10センチ」

「いくぞ我が反復横跳び、パンプティダンティ!」
「はい、五回ねー」

「我は……まだ変身を二回も残しておるのだ……」

 そしてその日、ローザはほぼ最低と呼べる身体能力だった。

 そして最後に、少しだけ自己紹介がてら手合わせがあるとのことだ。
 その前に、ついに朱音先生から発表された。

 入学前の売り。
 いや、俺は入学後に知ったが。

 ほとんどの学生が、それを楽しみにしていただろう。

「じゃあ、今日から配信・・が始まるぞ。嫌になった場合はクラス替えの希望が通るから、気軽に言ってくれ」

 そういって、先生がドローンを飛ばす。

 すると大きな画面に、コメントが映し出された。
 ホログラム「東京都立ダンジョン育成、授業風景」と公式マークで書かれている。

 そして――。

 ”初配信1コメ”
 ”革新的な学校!”
 ”初めまして”
 ”楽しみです”
 ”うわあああああ”

 そこには、コメントが表示された。
 そう、生配信だ。

 この学校は配信クラスと非配信クラスがあり、希望者は配信を通じて名前や顔を売ることができる。
 インフルエンサーやダンジョン配信者が多い昨今、そういった革新的なプログラムがこの学校の売りだ。

 俺はのちのち非配信クラスに移動する予定だが、ひとまずどの程度か様子を見てみようと思っている。
 ノウハウは大事だ。
 学校だということもあって、危険なコメントや過度な煽りはブラック(ブロック)される。

 一応コメントリアルタイムではなく遅れているらしく、チェックしている人もいるらしい。
 お金もかかっているが、学校の知名度もあげれるので広告費も抑えらえているとのことだ。

 新しい発想で面白はと思う。まあ、俺はこの学校にいる予定ではなかったが。

 そしてさっそく、生徒同士の軽い模擬戦が始まった。
 
 ”うおおおおおお、みんなつええええ”
 ”風華ちゃんの学生服!”
 ”このコメントは学校側によってブロックされました”
 ”風華ちゃんだ!”

 やはり風華さんは人気で、明るく手を振っている。
 過度なコメントだったのか一つ消えていた。今後は表示すらもされなくなるらしい。

 ごんぞうvs君内風華。

「よお、君内ぃ! 負けねえぜ」
「……殺す」
「え、な、なんて?」

 え? 気のせいだろうか。
 小さな声で暴言を吐いたような……。

 ごんぞうが魔力を漲らせた瞬間、風華さんが駆ける。

「――フラッシュパンチ」
「え? ぬ、ぬおおおおおおおお」

 次の瞬間、ごんぞうは死んだ(生きてる)。

 よくわからないが、何か恨みがこもっているらしい。
 もしかすると、風華さんの好きな人とかがいじめられたのかもしれない。

 後なんか名前に既視感がある。

「ほげえ」
「ふぎゅう」
「黒斗に意地悪したら、許さないから」

 そして美琴が、俺にブイサイン。
 金魚、フーン、悲しみ。

 ”瞬殺w”
 ”強いこの子たち!”
 ”フラッシュパンチ!”
 
「次は黒羽と水面川だー」

 そして俺の番がきた。

 ひとまず目立たないようにして様子を見よう。
 ブラックとバレるとややこしいかもしれない。
 
「我が真の力、見せる時が来たか」

 ゆっくり現れたローザは、包帯をぐるぐる巻きにしていた。

 ”これはwww”
 ”能力者っぽくて好き”
 ”包帯www”
 ”カワイイ”

 俺は、急いで駆け寄る。

「怪我してるのか? 大丈夫か!?」
「ふぇえ!?」
「さっきグネったのか?」

 俺を助けてくれたとき、もしかしたら痛んでいたのだろうか。
 ん? なんか顔が赤いな。

「な、な、な、な//// こ、これはおしゃれなのじゃあ!」
「え?」
「そ、装飾じゃああ!」
「そ、そうか……ごめん」

 あ、そうなんだ。
 いや、普通に考えるとそうか。

 ”黒羽くん、天然ぽい”
 ”でもいい人”
 ”これは優しい”
 ”MVPです”

 ちなみに配信は好きな人を見つけてイイネを送ることができる。
 配信が終わると最終的に一位の人が表示されてランクが上がってとのことだ。

 高ランクになると、様々な報酬とかもらえるらしい(簡単なものだと、好きな席に座れる)

 試合はただ倒れたら終わりだ。
 
 俺はブラック。
 女の子に怪我をさせたくはない。
 適当に攻撃を受けて倒れることにしよう。

 仕合が開始。

 するとローザは、右手を思い切り広げて、自分の顔に当てた。

「我が力、我が邪眼で、お主の全てを包み込んでやろう」
「はい」

 前置きが長い。
 先に攻撃するわけにもいかないので一応構える。

 すると右手を俺に向けた。

 さっきの竜を飛ばす能力か?

 しかし、それは違った。
 右手の包帯がはじけ飛ぶと、黒い呪印が皮膚に浮かび上がっていた。
 そしてそれは蛇のように放たれた。

 ――か、かっけえ。

 俺もあんな黒いの飛ばしたい。

 見たい。もっと間近で見たい。どんな原理下記になる。

「――ぬぁあに!?」

 俺はそのまま回避し、横から黒い蛇を眺めた。
 目がついている。あ、なんか俺と目があってぎょっとした。
 こいつ、生きてるのか。
 羨ましい。

 しかしそのまま黒いのはとんでいき、ごんぞうにあたった。

「ぬおおおおおおお」
「ごんさん!」
「ぞうさん!」

 ”可哀想wwwwww”
 ”ネットが必要かもしれない” 
 ”流れ弾にお気をつけてください”

 ひ、ひどい。

「な、なんということだ。我の必殺技を回避するなんて」
「お、おう」

 マズイ。回避する予定ではなかった。
 ただ見たかっただけなのに。

「……私の黒斗によくも」
「黒羽くんに攻撃を……」

 美琴と風華さんから何か邪悪なものを感じる。

 よし、前に出て攻撃を食らい、そのまま倒れよう。
 名付けて調子乗りすぎたブラック大作戦。

 俺はそのまま駆ける。

「我が蛇王黒殺竜――ぬおお!?」
「悪いな。先手だ」

 それっぽい言葉を呟きながら隙を見せる。

 一撃だ。俺を一撃で倒せ。

 するとローザは、右目の眼帯を外した。
 その瞬間、俺は驚く。

 そして俺は、反射的に頭をどついた。
 女子の頭を思い切りどついた。

「へ、へけぇえ!?」

 そのまま膝をぺたんとつき、試合がの終わる。

「勝者、黒羽黒斗!」

 ”うはw 今の速度すごい”
 ”MVP決定しました”
 ”素早い動きだ”
 ”よゐこで強い”

「す、すげええええええ、黒羽の動きみたか?」
「あんなのできるのか? 隠してたのか」
「今のやべええな」

 ヤバイ。瞬殺されようと思っていたので思い切り駆けてしまっていた。
 足だけ速いけど一撃でやられるモブブラック作戦が。

「黒斗、凄いじゃん! かっこよかったよ!」
「黒羽くん、驚きました。あの動き……どうやって?」
「た、たまたまだよ。人生で一度くらい、強くなれる日あるよね」

 苦しい言い訳かもしれない。これは、マズイ。

「そうかも。一度くらいあるよね」
「確かに一度はあるかも」

 良かった。大丈夫だった。
 そしてローザは、さっと右目を隠し、俺を睨んでいた。
 
 そのとき、ごんぞうが前に現れ、歯をにかっとみせた。

「やるじゃねえか。見なおしたぜ」
「まぁまぁだな!」
「しゅごおおぃ!」

 なるほど、人を認める性格もしているのか。
 ま、でもたまにはこういうのもいいな。

 さて夕方はダンジョンだ。
 そろそろ頭を切り替えブラック。

 ちなみに今日のMVPは――。

「ごんぞうだ。良かったな」
「よっしゃあ! 流れ弾最高ッ!」

 俺ではなかった。

 まあでも、ごんぞうが喜んでいる姿は、思ってたよりかわいかった。
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