【完結】前世も今世も婚約者に裏切られた私

9 恥ずかしい本

そして、シェルティは王妃になった。

クリストファーはシェルティに無理に魔法を使わせることは生涯させなかった。その代わり、魔法に変わる科学を発展させた。

二人は力を合わせ国を繁栄させていった。

王に即位してすぐに大魔女シルビアの本は虚偽ばかりだと廃版にしたクリストファーだったが、晩年、退位した後『最愛の我が妃シェルティ』という、とっても恥ずかしい本を出版した。

クリストファー自ら執筆したその本は、シェルティの功績を忠実に讃えるものではあったが、妃との馴れ初めからのことも事細かに書かれていて、さらに、王自ら隠し撮りした『王妃の寝顔』や『ケーキを頬張る王妃』や『箒に跨がって飛ぶ王妃』などの様々な王妃の写真に『かわいい寝顔』『私もケーキになり食べられたい』『いっそ箒になりたい』などの王の痛すぎるコメントが掲載されており、王妃に対する愛と惚気がだだ漏れまくった本だった。

発売日に『サプライズだよ』と熱い眼差しでクリストファーから渡されて、初めて本の存在を知ったシェルティ。

まず、本のタイトルにドン引きして、慌てて中身を読み『こんなっ！う、嘘でしょぉおおお！こんな（恥ずかしい本）誰も買わないわよ～！！』と顔を真っ赤にして、上機嫌なクリストファーの胸をポカポカ叩いた。

そして、そんなシェルティの予想（願い？）も叶わず、その恥ずかしい本は売れに売れて大ベストセラーになった。

国民からの生温かい目に耐えられなくなったシェルティは『離婚する！』と言って箒に乗って家出して、それをクリストファーがジェット機で追いかけて、またプロポーズして仲直りして、そのまま世界一周旅行をしたとかしないとか……。




めでたしめでたし