無頓着な彼は。

はぴたん

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テーマは"ヘンゼルとグレーテル"だった。

もちろん双子は空先輩と海先輩だ。

世界観にあった格好をしている。
背景や小道具も凝っていてとても見応えがある。


手を繋いで森を歩くシーンは双子の2人がとっても可愛かった。


大智先輩の魔女、想像以上に凄かった。
大智先輩の役はきっと魔女だろうな、と思っていたが出てきた時大智先輩と言うより魔女だと思った。


演技も凄くて、練習したんだろうなと分かる。


最後までクオリティが凄くて、終演すると拍手喝采。
しばらく鳴り止まなかった。


終演後、出演者が並びみんなでお辞儀をすると、誰からともなく立ち上がりスタンディングオベーションに。


1番前に座っていたので、空先輩と海先輩と大智先輩と目が合う。


「きょうちゃん!」
「どうだったー?」
「迫真の演技だったでしょ~?」

ステージから大声で声をかけられる。


俺の返事を待つように、拍手が止む。


「えっ、えっと、よかったです!凄く!
演技も皆さんお上手で引き込まれましたし、小道具とかも凝っていて世界観を感じられて本当に凄かったです!」
緊張しながらも思ったことを興奮気味に伝えると、


「えー!」
「そんなこと言われたら、、」


「抱きつきたくなっちゃうよね~!」


「ずるい!」「大智離れて!!」

ステージからどんどん降りてきては抱きついてきた大智先輩と引きはがそうとする空先輩と海先輩。

ステージでは残された人達が唖然としている。


「あの、ステージから降りちゃって大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ~!ね~?」
抱きつきながら振り返る大智先輩に我に返った残された人達が一礼して袖へ戻っていく。


司会の人が次のステージまで休憩と告げた。


いつの間にか抱きついていた大智先輩が離され、空先輩と海先輩が抱きついていた。


「空先輩がヘンゼルで海先輩がグレーテルなんですね。」

「そうなのー!」
「三つ編み似合うー?」

「2人とも似合ってます!」

衣装も凝っていて可愛い。
海先輩ははちみつ色の髪の毛がそのまま伸びて三つ編みにしている。

幼い顔立ちが相まってもっと幼く見える。

「俺は俺は~?」
そう言って近づいてくる大智はもとより白いがさらに青白い顔色に、目の縁を黒く覆っており、おどろおどろしい。
髪の毛も傷んだ長い黒髪だ。
黒いマントを被り、爪も黒く長い。
細かいところまで凝っている。

近くで見るとさらに怖い。
さっきは抱きつかれたことに驚き、近くで香る大智先輩の香りに怖さを感じなかったが、改めて見るとよく抱きつかれて悲鳴をあげなかったな。と思う。

「怖いです、凄いですね、、
魔女すぎです!」

「怖がってるから!」「離れて!」

「うわぁ嬉しいけど悲しい。
よし!2人とも着替えに行こ~!
きょうちゃん、いつものかっこいい俺に戻るから待っててね!」

文句を言っている双子を引きずりながら離れていく大智先輩に手を振って見送った。


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