無頓着な彼は。

はぴたん

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帰りのホームルームが終わり、帰り支度をしているとなんだか廊下が騒がしくなってきた。

「なんか騒がしいねー。」
葵も不思議そうに廊下を見つめて話しかけてきた。

「ほんと、何かあるのかな。」
2人で会話していると、


「恭!」
突然自分を呼ぶ声が廊下から聞こえた。


「、、あ!真琴先輩!」
廊下を見るとドアに手をかけながらにっこり微笑む真琴先輩が見えて、慌てて立ち上がり近づいた。

騒ぎの原因は真琴先輩だったみたいだ。


「お久しぶりです。どうしたんですか?」

「久しぶり。
夏休み会えなくて寂しかったから来ちゃった。」

「えっ、、」

「生徒会室に行くんでしょ?途中まで一緒に行こう。」

「あ、はい!」

「ふふっ、荷物持っておいで。」

「あっ、すみません。」
そうだった、と慌てて振り返り荷物を取りに席へ向かう。

「きょうちゃん大丈夫?あの人、風紀の人でしょ?」
葵が怪しい人を見るように真琴先輩をちらちら見ながらそう言ってきた。

「大丈夫だよ、途中まで一緒に行くことになったからもう行くね。
またあとで!」

「え、ちょっときょうちゃん!」

「気をつけてなー。」
手を振る光に振り返しながらドアへと向かう。
葵はまだ納得してなさそうだが真琴先輩を待たせる訳にはいかないのでしょうがない。


「お待たせしました。」

「じゃあ、行こっか。」
スマートな仕草でそっと俺の腰に手を回す真琴先輩。

「あ、あの。腕が気になるんですが、、」

「ん?」
にっこり笑って俺の顔を見つめる真琴先輩。
聞こえなかったみたいだ。

「あの、腕が、。」
もう一度伝えてみるが、またも笑顔の真琴先輩。

いたたまれないが、何度も言う勇気が出らず結局そのまま歩く。

周りの視線が気になりそわそわしてしまう。


やっと周りの人が減り静かになってきたところで、

「ねぇ、連絡先教えてよ。
夏休み中連絡しようにも出来なくて困ってたんだよね。」

「あ、はい。」
ポケットからスマホを取り出すと、「ちょっと貸して。」と取られて何やら操作している。

「はい、登録しておいたよ。
これで何時でも連絡できるね。」
なんだか嬉しそうな真琴先輩。

「あ、ありがとうございます!
そうですね。」
俺もなんだか嬉しくなる。


「せっかく登録したし、今夜電話してもいい?」
立ち止まり俺を見つめながらそう言った真琴先輩。

「もちろんです。
じゃあ、待ってますね。」

「ふふっ時間はまた連絡するね。」
そう言いながら優しく頭を撫でてくれた。


また腰を引かれて進み、
「じゃあ、ここで。
また後でね。」

「はい、また後で。」
と真琴先輩と分かれた。

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