無頓着な彼は。

はぴたん

文字の大きさ
上 下
31 / 161

30

しおりを挟む
「以上で今日の授業は終わりだー。
気をつけて帰れよー。」
橘先生がそう言って去っていく。

と同時に廊下がざわざわしている。

なんだろう、と廊下を見ると、

「あ!いたいた!恭ちゃ~ん!
約束通り、迎えに来たよっ!
一緒にいこ~!」

大智先輩がいた。
なるほど。
それでこの騒がしさだったのか。

「はい!今行きます。」
待たせる訳には行かないので、慌てて準備をし皆にまたね。と伝えて向かった。


「すみません、お待たせしました!
本当わざわざ来てくださってありがとうございます!」

「いいんだよ~!恭ちゃんに会いたかったしねっ!」
パチッとウインクする大智先輩。

可愛いけど周りが騒ぐのでやめて欲しい。

とりあえず人も多いので2人で歩き出す。

生徒会室に向かっている間もあちらこちらから視線を感じる。


「やっと静かになってきたね~!
ねぇ、恭ちゃんは誰かと付き合ってたりするの~?」

「え、いえ。誰とも付き合っていません。」

「そうなの??良かった~!」

ん?なんで?と思いながら見つめると、ふふふっと微笑む大智先輩。

ますますなんで微笑んでいるんだろうと見つめていると、なんだかどんどん顔が近づいている気がする、、。

思わず後ずさりするとすぐ壁にぶつかる。

「ふふ、逃げ場がなくなっちゃったね~。」

さらに近づく先輩にどうしようかと頭がパンクしそうだ。
 

「おい。何してんだよ。
さっさと生徒会室行くぞ。」

ギロッと睨みつけてくる会長。

「うわ~怖かったね~。行こっか。」

さっきの近さは何だったんだろう。
意外とケロッとしながらそう告げる大智先輩について行く。


ガチャッ

重々しいドアを開くと、既に俺たち意外のメンバーは揃っていた。

「遅かったですね。
あぁ、大智と来たんですね。
大智について行くとろくな事になりませんよ。
気をつけてくださいね。」

そう言いながら微笑んでくる


「遅くなってしまってすみません。
俺、ここの場所知らなかったので大智先輩が居なかったらもっと遅くなっていたと思います、、。
でも透先輩!忠告ありがとうございます!」

イタズラっ子のように大智先輩をチラッとみながら微笑む。

「む~!なんだよぉ。俺の悪口~?」


「はぁ、お前ら。いいからそこ座れ。」

会長の声にみんなのそのそと向かい合うソファに座る。
俺の両隣は先程話していた、透先輩と大智先輩。

前にあるソファには双子先輩と夕先輩。

誕生日席のような全員が見通せる1人用ソファに居るのが会長だ。


「昨日自己紹介は済んでるんだよな。
いや、しかし昨日の今日でこんなになかよくなってるとはな。」

なんだか少し威圧的にそう話す。

先輩達が優しいからと甘えて、少し砕けすぎたかな。

どうしようかと思っていると、

「も~恭ちゃんが怖がってんじゃん!
もっと優しくしてあげてよね!」

「本当です。その無駄に威圧感のあるオーラ、しまってください。」

大智先輩、透先輩がそう言ってくれた。



「それにー!」
「僕達もー!」
「「なかよしだもんねー!!」」

にっこにこな笑顔で空先輩と海先輩が 話し出す。

「空先輩に海先輩、ありがとうございます!」

つられてにこにこしながらそう話す。

「、、、俺も、なかよくなりたい。
これからよろしくな。
光からたまに恭の事は聞いてたんだ。
この前バスケで活躍したんだろ。」

「え、そんな話してるんですか?
なんか恥ずかしい、、。
俺もなかよくなりたいと思ってますよ!夕先輩!」

2人で微笑み合う。

夕先輩って無愛想なイメージだったけど、こんなに優しかったんだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生おばさんは有能な侍女

吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀? 転生おばさんは忙しい そして、新しい恋の予感…… てへ 豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

【R18】ショタが無表情オートマタに結婚強要逆レイプされてお婿さんになっちゃう話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

新たな婚約者は釣った魚に餌を与え過ぎて窒息死させてくるタイプでした

恋愛
猛吹雪による災害により、領地が大打撃を受けたせいで傾いているローゼン伯爵家。その長女であるヘレーナは、ローゼン伯爵家及び領地の復興を援助してもらう為に新興貴族であるヴェーデル子爵家のスヴァンテと婚約していた。しかし、スヴァンテはヘレーナを邪険に扱い、彼女の前で堂々と浮気をしている。ローゼン伯爵家は援助してもらう立場なので強く出ることが出来ないのだ。 そんなある日、ヴェーデル子爵家が破産して爵位を返上しなければならない事態が発生した。当然ヘレーナとスヴァンテの婚約も白紙になる。ヘレーナは傾いたローゼン伯爵家がどうなるのか不安になった。しかしヘレーナに新たな縁談が舞い込む。相手は国一番の資産家と言われるアーレンシュトルプ侯爵家の長男のエリオット。彼はヴェーデル子爵家よりも遥かに良い条件を提示し、ヘレーナとの婚約を望んでいるのだ。 ヘレーナはまず、エリオットに会ってみることにした。 エリオットは以前夜会でヘレーナに一目惚れをしていたのである。 エリオットを信じ、婚約したヘレーナ。それ以降、エリオットから溺愛される日が始まるのだが、その溺愛は過剰であった。 果たしてヘレーナはエリオットからの重い溺愛を受け止めることが出来るのか? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ

中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。 ※ 作品 「男装バレてイケメンに~」 「灼熱の砂丘」 「イケメンはずんどうぽっちゃり…」 こちらの作品を先にお読みください。 各、作品のファン様へ。 こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。 故に、本作品のイメージが崩れた!とか。 あのキャラにこんなことさせないで!とか。 その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)

処理中です...