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その後。淫魔たちといばらの迷路の魔族たちが話し合い、魔王城はパルマの父親が管理することになった。事実上の魔王襲名である。ヴォルナール率いる勇士たちは元魔王幹部のレリトを捕縛したことと、人間に好意的な立場の新しい魔王の誕生の報を携えて竜骨街に帰還。王たちは会合を繰り返し、戦の元凶であった元魔王の一派を根絶したことによる戦の終結を宣言した。
人間側から「モンスターを多く産み出し人間の女性を苗床にするという行動で戦の終結を妨げていたレリトを処刑しろ」という声も多く上がったが、現魔王の息子であるクレデントの証言で彼女が元魔王セブレイスに洗脳されて協力させられていたこと、実の父親をセブレイスに殺されていること、セブレイスがいなくなったあとも彼女を保護、治療するものがいないまま放置されていたことなどが考慮され、さらに勇士の一人であるアスティオが「褒美はいらないからレリトを処刑しないでほしい」と申し出たことにより、彼女の覚醒を待って沙汰を出すのでそれまでは保留という判断がなされた。
レリトは今も魔王城の彼女の部屋で眠り続けている。クレデントは彼女の見ている夢を一緒に見て、その中で根気よく対話を続けているらしい。彼は苗床になった人間の女性たちを助けて、その治療方法を見つけ、実行した功績を考慮してその生活を送ることを許されている。迷路を徘徊していた植物モンスターはレリトの眠りと同時にとてもおとなしくなったので今はひとところに集められ、苗床の呪いの特効薬として栽培を続けられている。
「レリトさんが目覚めた後に洗脳が解けているかどうかは、クレデントさんの頑張り次第ってところですね」
「そうだな」
そう呟くぴあのの声はあの時吸い込んだ爆弾の花粉の後遺症で低くハスキーな声に変わっていた。初めは高い声が出なくなっちゃった、としょげていたが、今の声も魅力的で好きだとヴォルナールが言ってくれたので最近はそれを受け入れ始めている。ヴォルナールがぴあのを気にし始めた理由はフィオナと声がそっくりだったからだが、今となってはそんなのは関係なくぴあのの声が好きだった。それは彼が心から思っていることだ。
「その声で歌う子守歌は前より落ち着いて眠れる。これからもずっと俺のために歌ってくれ。ぴあの」
「はい! 喜んで!」
ヴォルナールとぴあの婚姻のお祝いは、ぴあのが手伝いをしていた酒場で行われた。白いドレスを纏ってヴォルナールと共に歌い踊る彼女は誰から見ても世界一幸せな花嫁で、店のおばちゃんも常連の酔っ払いも上機嫌で二人を祝福してくれた。
二人に続いて、アスティオとパルマも婚姻した。勇士同士かつ魔族と人間の正式な夫婦ということで、二つの種族の新しいありかたの象徴として担ぎ上げられてたまらないとパルマはぼやくが、大好きなアスティオの妻になれてとても幸せそうだった。
戦にピリオドを打った勇士の代表であるヴォルナールは二人目の勇者と呼ばれるようになった。彼はエルフの里には帰らないことを選択したので、王からの褒章としていばらの迷路の近くの土地の領有権と爵位が与えられた。今後のヴォルナールは辺境伯を名乗り、ぴあのはその夫人ということになる。彼らが治める新しい領地の名前は二人で話し合って「フィオナ」と名付けた。
フィオナでは人間の街に避難していたコボルトたちなどが新しく街を作っている最中だ。土木作業をする大人たちをよそにコボルトの子供たちがアスティオに剣の稽古を受けている。迷路での戦いで何度もぴあのを守ってくれた男嫌いの妖精剣はコボルトの少女チピの手に握られて心なしか嬉しそうだった。
「戦い、終わったけど全然暇にはならない、ですね」
ヴォルナールに寄り添ってつっかえつっかえ話すぴあのの首にはもう例の首輪は嵌っていない。こちらの言葉でヴォルナールと話したくて、自分で言葉を学んでいる最中だった。苗床の呪いも地下茎による治療のおかげで快方に向かっており、突然の発作を起こすことはなくなって今はただ愛情のままにヴォルナールと抱き合う日々を送っている。
「随分言葉がうまくなったな、ぴあの」
「ふふ、毎晩いっぱい、ヴォルナールさんがお話、してくれるから」
「お前の言葉なら俺はいくらだって聞いてやる。どんなに忙しくてもお前と話す時間はなくしたくないからな。何か気がかりなことや不安に思っていることはないか?」
剥き出しのぴあのの首にくちづけながらヴォルナールは優しく尋ねる。その言葉に、少し迷ったあと、彼女はハスキーな声であることを話し始めた。
「今、私は幸せいっぱいだから、不安なことなんかない、です。でも、時々気になってしまうことは、あります」
「なんだ? なんでも言ってみろ」
ぴあのは、ヴォルナールの隣でふいに目覚めた深夜や、言葉の勉強の合間に一息ついた瞬間などに、自分と入れ替わりにこの世界から出て行った元魔王セブレイスの行き先に想いを馳せることがあるのだと言う。彼はどこへ行ってしまったのか。自分と入れ替えになったということは今頃自分の元居た世界にいるのだろうかと思うことがあるとヴォルナールに打ち明ける。
「元の世界が心配か? もしかして、帰りたいとか思う時もあるのか?」
少し不安そうにそう尋ねるヴォルナールの様子を見て、ぴあのは微笑みながら首を横に振った。
「いいえ、私が今、一番居たい所はあなたの隣」
そんなぴあのをぎゅっと抱きしめながら、「お前を愛さなかった世界なんか魔王に滅ぼされてしまえばいいんだ」と言った。
「どうせどうなったかなんて俺たちには知る方法がないのだから、そういうことにしておけばいいんだ」
「……そうですね。どうなっていたとしても、私にはもう知る方法がない。だからわからない」
「俺たちは自分が見えるところまでしかよくできない。だからそっちの世界のことはそっちの奴らに任せておけ。俺たちはただ、二人で一緒にこの街を良くして行こう」
「はい……、私、あなたと一緒ならどこでだって、笑って生きていけると思う」
「それでいい。ずっと俺の側で笑っていてくれ。最後まで」
ヴォルナールはもう何度目だか数えきれないキスをぴあのの唇に落とす。死が二人を分かつまで、そのキスはこれからも繰り返しふたりのつながりを強くしていくのだろう。彼女がヴォルナールに注がれないと生きていけないのは精ではなく、今となっては彼からの愛だった。
こうしてかつて不幸に愛された女、音無ぴあのはこの上ない幸福を手に入れた。その幸福を二人で抱きしめながら、彼女の唇は未来を紡いでいく。
人間側から「モンスターを多く産み出し人間の女性を苗床にするという行動で戦の終結を妨げていたレリトを処刑しろ」という声も多く上がったが、現魔王の息子であるクレデントの証言で彼女が元魔王セブレイスに洗脳されて協力させられていたこと、実の父親をセブレイスに殺されていること、セブレイスがいなくなったあとも彼女を保護、治療するものがいないまま放置されていたことなどが考慮され、さらに勇士の一人であるアスティオが「褒美はいらないからレリトを処刑しないでほしい」と申し出たことにより、彼女の覚醒を待って沙汰を出すのでそれまでは保留という判断がなされた。
レリトは今も魔王城の彼女の部屋で眠り続けている。クレデントは彼女の見ている夢を一緒に見て、その中で根気よく対話を続けているらしい。彼は苗床になった人間の女性たちを助けて、その治療方法を見つけ、実行した功績を考慮してその生活を送ることを許されている。迷路を徘徊していた植物モンスターはレリトの眠りと同時にとてもおとなしくなったので今はひとところに集められ、苗床の呪いの特効薬として栽培を続けられている。
「レリトさんが目覚めた後に洗脳が解けているかどうかは、クレデントさんの頑張り次第ってところですね」
「そうだな」
そう呟くぴあのの声はあの時吸い込んだ爆弾の花粉の後遺症で低くハスキーな声に変わっていた。初めは高い声が出なくなっちゃった、としょげていたが、今の声も魅力的で好きだとヴォルナールが言ってくれたので最近はそれを受け入れ始めている。ヴォルナールがぴあのを気にし始めた理由はフィオナと声がそっくりだったからだが、今となってはそんなのは関係なくぴあのの声が好きだった。それは彼が心から思っていることだ。
「その声で歌う子守歌は前より落ち着いて眠れる。これからもずっと俺のために歌ってくれ。ぴあの」
「はい! 喜んで!」
ヴォルナールとぴあの婚姻のお祝いは、ぴあのが手伝いをしていた酒場で行われた。白いドレスを纏ってヴォルナールと共に歌い踊る彼女は誰から見ても世界一幸せな花嫁で、店のおばちゃんも常連の酔っ払いも上機嫌で二人を祝福してくれた。
二人に続いて、アスティオとパルマも婚姻した。勇士同士かつ魔族と人間の正式な夫婦ということで、二つの種族の新しいありかたの象徴として担ぎ上げられてたまらないとパルマはぼやくが、大好きなアスティオの妻になれてとても幸せそうだった。
戦にピリオドを打った勇士の代表であるヴォルナールは二人目の勇者と呼ばれるようになった。彼はエルフの里には帰らないことを選択したので、王からの褒章としていばらの迷路の近くの土地の領有権と爵位が与えられた。今後のヴォルナールは辺境伯を名乗り、ぴあのはその夫人ということになる。彼らが治める新しい領地の名前は二人で話し合って「フィオナ」と名付けた。
フィオナでは人間の街に避難していたコボルトたちなどが新しく街を作っている最中だ。土木作業をする大人たちをよそにコボルトの子供たちがアスティオに剣の稽古を受けている。迷路での戦いで何度もぴあのを守ってくれた男嫌いの妖精剣はコボルトの少女チピの手に握られて心なしか嬉しそうだった。
「戦い、終わったけど全然暇にはならない、ですね」
ヴォルナールに寄り添ってつっかえつっかえ話すぴあのの首にはもう例の首輪は嵌っていない。こちらの言葉でヴォルナールと話したくて、自分で言葉を学んでいる最中だった。苗床の呪いも地下茎による治療のおかげで快方に向かっており、突然の発作を起こすことはなくなって今はただ愛情のままにヴォルナールと抱き合う日々を送っている。
「随分言葉がうまくなったな、ぴあの」
「ふふ、毎晩いっぱい、ヴォルナールさんがお話、してくれるから」
「お前の言葉なら俺はいくらだって聞いてやる。どんなに忙しくてもお前と話す時間はなくしたくないからな。何か気がかりなことや不安に思っていることはないか?」
剥き出しのぴあのの首にくちづけながらヴォルナールは優しく尋ねる。その言葉に、少し迷ったあと、彼女はハスキーな声であることを話し始めた。
「今、私は幸せいっぱいだから、不安なことなんかない、です。でも、時々気になってしまうことは、あります」
「なんだ? なんでも言ってみろ」
ぴあのは、ヴォルナールの隣でふいに目覚めた深夜や、言葉の勉強の合間に一息ついた瞬間などに、自分と入れ替わりにこの世界から出て行った元魔王セブレイスの行き先に想いを馳せることがあるのだと言う。彼はどこへ行ってしまったのか。自分と入れ替えになったということは今頃自分の元居た世界にいるのだろうかと思うことがあるとヴォルナールに打ち明ける。
「元の世界が心配か? もしかして、帰りたいとか思う時もあるのか?」
少し不安そうにそう尋ねるヴォルナールの様子を見て、ぴあのは微笑みながら首を横に振った。
「いいえ、私が今、一番居たい所はあなたの隣」
そんなぴあのをぎゅっと抱きしめながら、「お前を愛さなかった世界なんか魔王に滅ぼされてしまえばいいんだ」と言った。
「どうせどうなったかなんて俺たちには知る方法がないのだから、そういうことにしておけばいいんだ」
「……そうですね。どうなっていたとしても、私にはもう知る方法がない。だからわからない」
「俺たちは自分が見えるところまでしかよくできない。だからそっちの世界のことはそっちの奴らに任せておけ。俺たちはただ、二人で一緒にこの街を良くして行こう」
「はい……、私、あなたと一緒ならどこでだって、笑って生きていけると思う」
「それでいい。ずっと俺の側で笑っていてくれ。最後まで」
ヴォルナールはもう何度目だか数えきれないキスをぴあのの唇に落とす。死が二人を分かつまで、そのキスはこれからも繰り返しふたりのつながりを強くしていくのだろう。彼女がヴォルナールに注がれないと生きていけないのは精ではなく、今となっては彼からの愛だった。
こうしてかつて不幸に愛された女、音無ぴあのはこの上ない幸福を手に入れた。その幸福を二人で抱きしめながら、彼女の唇は未来を紡いでいく。
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