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第二十三章:全ての始まり
525.ザーム共和国・空中戦 1
しおりを挟む「ひぇっ!! お~ち~るぇっ!?」
「う、浮いてますわね。これもあの方の仕業ですのね……っちょっと、ルティ! 落ちないから落ち着きなさい!!」
「はいいいい~バランスが難しいんですよぉぉぉ」
相変わらずだな。変な声を出させる前に浮遊魔法をかけといて正解だった。
風穴から出る直前、おれはフィーサを除き彼女たち全てに浮遊魔法を浴びせておいた。
フィーサは自分で浮けるが、ルティとミルシェ、シーニャは浮くスキルを持ってない。
上空に飛び出した途端、驚いてうろたえてしまうのが目に見えていた。
ルティとミルシェは予想通りだ。
シーニャは……、
「ガウゥゥッ!! こっちに来るな! なのだ」
――! すでに戦闘中か。
「シーニャ! 大丈夫か?」
地上戦に入る準備をと思っていたが、空中戦とはな。
浮遊魔法は念の為だったが正解だった。しかも敵のほとんどが翼持ち。
空中での小細工は通用しない。
思いきり属性をぶつけるか、それぞれ得意な戦い方をするだけだ。
「ウニャッ! シーニャ、怖くないのだ。たくさん叩き落としてやるのだ!」
かなり頼もしいな。シーニャの攻撃はほとんどが近接攻撃。
しかし元々身軽に動けるワータイガーだ。空中戦でも問題無いはずだ。
「アック、すぐ近くにいるのだ!!」
「むっ」
ブワァッ、とした羽ばたきの音が間近に届く。
そうか、こいつがそうか。
シーニャが言っていた後ろに控えていたでかい奴、そいつはドラゴン族の黒竜だった。
当然だが空中戦の覇者といえばドラゴン族。
もしここにアヴィオルがいれば……と考えてしまうが、今考えても仕方が無い。
ここでの戦い方は近接ではなく間接攻撃。
ルティはともかく、多少の属性攻撃さえ出来ればドラゴンの気は散らせる。
地上に持ち込むことが出来ればすぐにでも決着がつく。
地上にも魔物が多数展開されてることを考えれば、巻き添えも出来る。
まずは空を制圧すれば後々楽だ。
「ひぃえっ! うじゃうじゃと来ますよぉぉぉぉぉ!! 何なんですか、何ですかあれは~」
「落ち着きなさいってば! あれはガーゴイル、それとデーモン族ね」
「えええええ? デーモン族ってアック様の仲間じゃないんですかぁぁ?」
「デーモン族全てをそうしたわけではないでしょ。とにかくあなたは防御だけでもやって! あたしが相手するから!」
ルティはやっぱり地上向けか。ミルシェなら冷静に何とか出来そうだ。
それにデーモン族といえば……。
召喚したデーモン族がキングだったはずだが。
ここにいるデーモン族は別種か?
「――! 空中浮遊の機械兵もいるのか……まぁいい。黒竜と機械兵はおれがまとめてやってやるか」
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