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第十一章:滅亡公国
184.ノートリアスモンスターとの激戦・シーニャパート
しおりを挟む「うわぁ~……あんなにおっきい魔物が、どこから入ったんだろ~?」
「そんなの知らないのだ! そんなことより、ドワーフは何匹倒したのだ? シーニャ、負けていられないのだ!」
「え、え~と、さっきので25匹くらい?」
「そんなんじゃアックが褒めてくれないのだ! もっともっとやっつけまくるのだ!!」
「ええ~? でも、もう近くには見えないですよぉぉぉ? 見えるのはおっきい魔物だけで~」
魔物のニオイを感じ別行動を取ってから数分後、シーニャとルティはうっそうとした森林にまで魔物を追いかけて来ていた。
現時点では、数にモノを言わせた獣集団との戦闘を繰り返している最中のようだ。
ノートリアスと呼ばれるハイクラスの魔物とは、未だ戦ってもいない。
「残っているのはアレだけなのだ! ドワーフはどれからやっつけるのだ?」
「え、え~……見渡す限り、全部おっきいですよ~? どれと言われても~」
シーニャとルティは、それぞれで猪やグリズリーといった獣を、倒しまくって競っていた。
彼女たちは実力を全然出し切れてもいなかったところに、大きさが明らかに異なる魔物の群れと遭遇する。
二人が徐々に近づくにつれ、天をも覆い尽くさんばかりの巨体であることが判明。
これにはさすがのルティも、戸惑いを隠せずにいる。
「あんなの、ただおっきいだけなのだ! シーニャ、ツノが長い奴をやるのだ。ドワーフは上にいる奴を叩き落とせばいいのだ。ウニャッ!」
「う、上~……ワイバーンじゃなくて、どう見てもドラゴンというやつなのでは~」
「ごちゃごちゃうるさいのだ! 上から先にやっつけて来いなのだ!!」
「はへぇぇぇ!? わ、私がお先に~!? で、でもどうやって空にいる相手を……って、シーニャ!? まだ攻撃もしていないのに、早すぎですよぉぉ!!」
連携が取れているようで取れていないシーニャは、地上を闊歩している巨躯に向けて駆けだす。
山のような巨体と特徴的なツノと牙を持つ、ゾウとも羊とも取れる獣の足元にシーニャは意気揚々と先制攻撃を仕掛けた。
「ウウニャッ!! 図体だけで大したことが無いのだ!」
シーニャが手にした爪により、巨躯の足からは滲むような鮮血がほとばしる。
攻撃を受けていることを認識しながらも、シーニャの攻撃は獣が反応するよりも素早く、鈍足の動きをさらに鈍くした。
『ガグォォォォォ……!!』
巨躯の獣は、攻撃して来るシーニャを捉えられずに野太い足を揺らし、振りほどこうと足掻くだけだ。
憤怒の叫びをあげ、悲鳴に似た声を洩らしているが、小刻みに切り傷をつけるシーニャの攻撃は休まることを知らない。
主人であるアック・イスティの強さに及ばないシーニャだが、獣や魔物相手では本来の強さを発揮。
足下から、右に左に近接攻撃を繰り返す。
『グゴアァァァァァァアァァ……!!』
獣の咆哮とも呼ぶべく叫びが、うっそうとした森林に衝撃を与え始めた。
すでに獣の四肢は、バランスを崩しまともに立っていられなくなっている。
「ガウゥ……息絶えの時なのだ! アックの為に、シーニャがやっつけるのだ!! ウニャッ!」
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