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第十章:力を求めて
153.ギルドクエスト:追放連合の復讐戦を受けてみた
しおりを挟む「イスティさま、どうするなの?」
「まずはギルドに行く。得体の知れない連中でもギルドのクエストという名分を立てとけば、ラクルの連中にも迷惑をかけずに済むだろうしな」
「わらわたちも戦うなの!」
「……フィーサはともかく、アレで戦えるか?」
「そ、それは~」
ルティと始めとして、シーニャ、ミルシェは食べすぎで横になっている。
訪問者が来たことには気付いたらしいが、苦しくて起き上がれなかったらしい。
「フィーサとおれだけで十分だ。彼女たちはここでゆっくりしててもらう。おれを名指しで来ているわけだしな!」
「そ、そういうことなら、わらわも頑張るなの!」
ルティとシーニャはまだ本調子じゃないだろうし、ミルシェは戦うタイプでは無くなった。
そうなれば、ここで待っててもらった方が都合がいい。
ギルドに行く前に、三人に声をかけることにした。
「ウ、ウニャ……」
「シーニャ、大丈夫だ。ここで留守番しててくれ」
「アック様~たっぷり食べてごめんなさいです……お気を付けてぇぇ~」
「効果を期待してるぞ」
「はいい~」
「……あたしとしたことが、申し訳ございません」
「ミルシェは戻って来たばかり。今は、休んでていいぞ」
「――かしこまりましたわ」
大した連中では無いだろうが、今一度ここの防御強化をしておくことにする。
そのままおれとフィーサは、ラクル倉庫街のギルドに足を向けた。
◇
鞘に収めたフィーサとともに、ギルドに来た。
相変わらずの寂れっぷり……ではなく、交易が盛んになったせいか人の出入りが激しい。
さらには釣りギルドも出来たことで、昔のような光景では無くなってるようだ。
これには、何となくの違和感を覚えてしまう。
自分が働いていた時は確かに寂れた町だったが、独特の雰囲気があって好きだった。
それが今では誰でも行き交う町となっているのは、何か気に入らない。
「倉庫番のアックだ……」「あいつが手配書の――」などなど、勝手に有名になっているようだ。
気にすることなく依頼リストを眺めていると、確かに特殊なクエストが追加されている。
相変わらず倉庫に関する依頼ばかりの中に、≪追放連合の復讐者募集中≫というリストがあった。
依頼者の名前を見ると、そこにはヘルガ・コティラと書かれている。
どこかで聞いたような、そうでないような……。
この名前の奴が、倉庫に来た者に違いなさそうだ。
復讐戦の日時は夕方としか書かれておらず、戦闘場所も外としか書かれていない。
どうやらギルドクエストしたことで、手続きを面倒にさせたようだ。
募集中ということは、おれと戦う奴を募っているということになる。
それも追放連合とか、よほどラクルから追い出したい連中同士が多いらしい。
ラクルという町はおれにとって故郷でも何でも無く、単に拠点にしているだけだ。
しかし使い勝手がいい町だけに、二度目の追放は勘弁して欲しい所ではある。
「イスティさま、戦いはいつなの?」
「今が昼だから、あと数時間後といったところだな」
「すぐじゃないなの?」
「ギルドを通せと言ったからな。そもそもまだ募集中だし、挑発して来た割には集まってないかもな」
「それでも、イスティさまなら何人来ても無駄無駄なの!」
「……追放はともかく、戦いたいなら戦わせてやるつもりだ」
――と、フィーサと会話しているだけで注目を集めていたので、ギルドを出ることにする。
ギルドには依頼した連中の姿は無く、突っかかって来る奴らしき者の姿は無いようだ。
「さて、と。フィーサ、釣りギルドを見に行ってもいいか?」
「時間が余っているなら、それもいいかもなの」
「じゃあ行こう」
フィーサと船乗り場に向かうことにした。
それにしても、誰かに復讐されるような覚えがあまりない。
そう思いつつ、ラクルを拠点とすることにこだわりが無いのも事実。
面倒な連中が出て来たのをいい方向に考えれば、いよいよ国に帰る時が来たのかもしれない。
そうすればここの連中に迷惑をかけることもなくなるが、その時が来たらルティに謝らねば。
「イスティさま、あそこに人だかり!」
「……ん?」
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