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第二章:魔石の秘密
23.貴族騎士国:アグエスタ
しおりを挟むルティの道案内で、ノーブルナイトが住む国に着いた。
もちろん、ルティ以外は疲れ果てて無口である。
ここに来るまでは一本道で、魔物の気配は全く無かった。
ルティが言うには低級な魔物ばかりだったので、結構な数の魔物を狩ってしまったらしい。
強すぎだろ……。
「いや~思ったより近かったです! アックさん。ここがノーブルナイトの国、アグエスタですよ!」
「は、はは……そ、そうか……ふぅ~」
「あれれ? どうかしたんですか~? 回復ドリンク飲みます?」
「そ、それよりも、宿屋に……」
フィーサは途中で剣に戻って、鞘の中で休んでいる。
スキュラに関しては、嫌味の一つですら言えそうになさそうだ。
「ではではっ! こちらですよ~」
手持ちのお金があまり無い。
ということで、一番安めの宿に泊まることにした。
『――え!? 一つの部屋!?』
せめておれと彼女たちを、分けるとかして欲しかった。
「足りないって言われちゃいまして~」
「いや、うん……」
幸いにして大きめのベッドだ。
ベッドは、フィーサとスキュラが使うことになった。
ルティはどこでも寝られるとかで、文句も無い。
どこまで頑丈で強い娘なんだろうか。
「アックさん、宿の外に出ませんか?」
「こ、これから……?」
「一緒に見に行きたいところが~……だ、駄目ですか?」
「い、行こうか」
疲れ果ての2人を部屋に残し、ルティと2人で街に出ることにした。
夕刻に差し掛かったせいか、酒場や雑貨屋などから光が灯りだす。
貴族騎士の国……ということは、裕福な国なのか。
確かにここでなら、転送士として稼げそうだ。
それには情報が欲しい。
そして、信用できる味方も作っておきたいところだ。
「アックさん。聞いてますか~? もしも~し?」
「うん? な、何かな?」
「着きました!」
「ん? 着いたって、ここは……剣闘場?」
「そうなんですよ。母さまが転送士が~って話してましたけど、わたしはアックさんのお力を、ぜひここで使って欲しいなぁと……」
もしやガチャを使わせたくないとかだろうか。
ルティは勇者たちを間近で見ているし、気になっているかもしれない。
騎士の国で剣闘場も、中々に難易度が高そうだ。
しかしフィーサがいるなら話は別か。
「そうだな。考えてみるよ」
「ぜひぜひ! アックさんなら勝てますよ!! その為にはもっとドリンクを改良しちゃいます!」
「ほ、程々に……」
剣闘場で名を高めれば、人も近づいて来るか。
ルティの心配ももっともかもしれない。
「ではでは、宿に戻りましょう!」
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