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恋愛蜜度のはかり方 蜜度2.5
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あなたのことをもっと知りたい。
そして、何かしてあげられたらいいのにって思った時、改めて自覚する。
……好き、なんだなぁって。
* * *
「あのですね、高倉主任……じゃなくて」
ぺちっと、わたしは頬を軽く叩いた。
すんなり出てこない名前を、出すために。
もう二年近くも「高倉主任」と呼んできたんだもの。そうそう慣れるもんじゃない。
それにワイシャツとスラックス姿でいる時は、やっぱり会社の上司って目で見てしまう。
たとえ今居るここが、高倉主任のマンションであっても。
しかも、とうに夜も更けた時間であっても。
「えぇっと、い、維月さん」
言葉が詰まり、頬が火照る。差し出されたレモン味のチューハイを飲んでみたのだけど、喉を潤すだけで、声が滑らかに出てくる効果はないみたい。というか、かえって熱くなる。
そんなわたしを見て、高倉主任は嬉しげに笑っている。そして、こともなげにわたしの名を呼ぶのだ。「美鈴」、と。それはもうさらりと、照れもなく。
ううっ、何やら口惜しい。
高倉主任……じゃなくて、維月さんはわたしの照れ顔を楽しがってる。
オトナなのかコドモなのか、維月さんは本当につかみ所がない。
「何、美鈴?」
ネクタイを緩めながら、わたしを見つめ返してくる高く……じゃなくて、維月さんの目は笑っている。何か期待するみたいに。
余裕の欠片もないわたしは思わず身構えてしまう。これはほとんど条件反射だ。
けど、挫けずに訊く。
「維月さんの誕生日って、いつですか?」
意気込んでまで訊く質問じゃないんだけど。
だけど知りたいことだった。今まで訊く機会がなかったから。
「誕生日?」
維月さんは拍子抜けといった顔をして、だけど小さく笑った後、「六月七日」だと教えてくれた。
「えっ、じゃ来月っていうか、もうすぐじゃないですか!」
「そうだね、そういえば」
うわ、あと一ヶ月ないよ、どうしよう?!
同じふたご座なんだぁ、なんて悠長なこと思ってる場合じゃないよ、わたし!
「もしかして何かしてくれるつもりだった?」
維月さんは目を細めて笑う。穏やかな瞳の色がさらにやわらいで、甘やかムードがそこはかとなく漂ってくる、……ような気がする。……気がするんじゃなくて、確実に甘い色が濃くなったよ!
「そ、そりゃぁ……一応は」
「そっか」
維月さんは持っていたグラスをテーブルに戻した。中身のブランデーはまだ少し残っている。氷がカランと涼しげな音をたてて、揺れる。
「それよりも先に、美鈴の誕生日があるよね? 五月二十五日、だっけ?」
「え、なんで知ってるんですかっ」
ぎょっとして、わたしは大袈裟なリアクションを示してみせた。
そりゃぁ、月一の割合で飲みにいく間柄だったけど、誕生日とかって、教えた記憶ないよ。
「履歴書見て、憶えてたから」と維月さんは答えたけれど、素直じゃないわたしはそれを鵜呑みになんてしなかった。
だって履歴書なんてそう度々見るものじゃないし、それに誕生日なんて仕事上まったく関係ない事柄じゃない。記憶に留めておくべき事項じゃない。
「疑りぶかいね、美鈴は」
「…………」
軽く唇を噛んで、少し俯いた。
だって、わたしなんかをこんなにも気にかけてくれるなんて、まだちょっと信じられない。
維月さんのことを信じてないわけじゃない。だけど、どうしても「わたしなんかのどこが」と思ってしまう気持ちも拭いきれない。
「美鈴、もしかして、怒ってる?」
「は、……えぇっ?」
維月さんの不安げな声に、わたしは慌てて顔を上げた。
「怒ってって、なんのことですか?」
「いや、履歴書で個人情報を確かめたのを怒ってるのかな、と」
「そんなことで怒ったりしませんっ! そりゃ、維月さん以外の人だったら嫌だって思うかもしれませんけど」
「じゃ、怒ってない?」
「まったくもって、全然怒ってません。というか、……すみません、わたしの方こそ」
「ん?」
維月さんは小首をかしげ、わたしを見つめ返す。
「不快な思いをさせてしまって、すみませんでした」
わたしの独りよがりな逡巡のせいで維月さんに気を遣わせてしまった。
情けなくて、また落ち込んでしまいそうになる。
だけどこれ以上維月さんに心配をかけたくないし、それよりも先ず、維月さんに言っておくべきことがある。
「わたし、維月さんのこと信じてますから」
わたしのことはさておき、維月さんのことは信じているから。
維月さんの「心」は。
「うん」
維月さんは口元をほころばせ、優しく笑った。
伸びすぎた感のある前髪をうっとうしげに掻きあげる仕草ときたら、目がチカチカするほど艶っぽい。
酒のせい? ああ、もうっ、酒のせいってことにしておこう! 心臓が炙られて焦げそうなのも、酒のせいってことで!
「そっ、それより、よく憶えてましたね。男の人ってそういうのすぐ忘れるもんだと思ってたけど。あ、でも維月さんは几帳面ですもんね、わたしなんかよりずっと。気が利くっていうか、目端が利くっていうか」
高倉主任の細やかな気配りは、わたしだけじゃなく他の派遣社員の人達にもちゃんと向けられていた。些細なミスを知らぬうちに訂正してくれたりする一方で、失敗を叱ることもある。けれど叱り方まで気を遣っていて、さりげなくフォローするのも忘れない。器用な人だなぁって、感心してた。
ほんとに高倉主任って、底の知れない人だと思う。
「もしかして俺、褒められてる?」
「え? もちろんですよ。みんなにもっと気づいてほしいって思ってるくらいなんですよ? 陰から支えてくれてる『高倉主任』のこと」
「…………」
維月さんは顎をかき、何やら困った風な微笑を浮かべた。
返答に窮し、きまりの悪そうな顔をしてる。
……あれ? めったに見ない表情だけど、もしかして、……照れてる……のかな?
うわぁ、新鮮だ!
ちょっと……可愛い……かも。
なんだかわたしまで照れくさくなってきちゃうな……。
けど、ちゃんと言わなくちゃ。肝心なことだもの、わたしにとって。
「それから、誕生日憶えててくれて嬉しかったです。しかも同じふたご座なんですよね。なんだかそれも嬉しかったりして」
言ってから、さらに気恥ずかしくなった。
顔、熱っ! 維月さんの顔が見れませんけどっ。
「美鈴」
維月さんの、いつもより低い声が耳を撫ぜる。
全身が粟立つ。アルコールのせいだけじゃない、この熱。
顔を上げると、そこには優しく微笑んでいるオトナの男の人がいる。
会社の上司じゃない、わたしにとって「特別な」男の人。
……恋してる、人。
「俺こそ嬉しいよ、美鈴」
「は? え、と、何が、ですか?」
「…………見ていてくれて」
「え?」
わたしは首をかしげ、目を瞬かせた。
何が嬉しいのかな? 褒められたから? 同じふたご座だから?
……わからないけど、そうじゃない気がする。
維月さんは答えない。代わりにわたしの頭に手をおき、ポンポンと軽く叩いた。
「そのお礼も兼ねて。誕生日、何かしてほしいこととか、ほしい物とか、希望あるならきくよ?」
「そんないきなり言われてもっ」
「あぁ、まぁ、そうだよね。けどあと何日もないし」
どうしようかと訊かれ、わたしも困ってしまう。
だいたい、わたしのことより、わたしにとって大事なのは、維月さんの方なんだからして。
「あのですね、維月さん」
「うん?」
「それ、わたしも訊きたいんですけど。維月さんの誕生日、わたしも何かお祝いしたいから。欲しい物とかそういうの、何かあります? わたしができることで何かあれば、それでも」
「それは嬉しいね」
にっこりと、維月さんは笑った。悪戯を思いついた子供みたいに。
……あ、しまった。こういう顔する時の維月さんは、キケンだ、キケン!
こういう時のわたしの直感って、当たるんだ。経験的な「直感」ではあるんだけど。
「いきなり言われても、思い浮かばないな」
わたしの頭に置かれていた維月さんの手が、滑るように下へ移動し、髪と耳先をつままれた。
ひゃっ、と声が漏れる。
「けど、欲しいものなら今目の前にあるから、前倒しして、もらっていい?」
「――……っ!!」
慌てふためくわたしなど、維月さんはお構いなしだ。というか、明らかに面白がってる。
わたしばっかりなんでいつもこう余裕ないのかな、もぉっ。
しかえし……というか、ちょっとはわたしの方からって、思ってるのに。
「ちょ、ちょっと待って」
顔を迫らせる維月さんに、わたしは慌ててストップをかけた。
「ん?」
維月さんの前髪が、わたしの額にかかる。そのまま、維月さんは動きを止めた。
「誕生日、わたしの方が先なんですけど」
「あぁ、うん」
維月さんは目を瞬かせた。
砂糖を山盛りに入れたコーヒーみたいに甘い色をした瞳に、くらくらする。
顔が火照って、耳まで赤くなってるのが自分でもわかる。
維月さんは静かな微笑を浮かべたまま、焦っている様子もない。ただ少しだけ、……お酒のせいかもしれないけど、吐息は熱かった。手も、温かい。
わたしは維月さんの胸元を、きゅっと掴んだ。
「えぇっと、だからですねっ」
でぇぇいっ!
気合いで、恥じらいを吹き飛ばした。
そして、首を伸ばし、顎をあげて。
ちゅっ、と。
――わたしから先に、キスをした。
その後維月さんがくれたキスは、ちょっぴり苦くて、とびきり甘い、ブランデーの味がした。
そして、何かしてあげられたらいいのにって思った時、改めて自覚する。
……好き、なんだなぁって。
* * *
「あのですね、高倉主任……じゃなくて」
ぺちっと、わたしは頬を軽く叩いた。
すんなり出てこない名前を、出すために。
もう二年近くも「高倉主任」と呼んできたんだもの。そうそう慣れるもんじゃない。
それにワイシャツとスラックス姿でいる時は、やっぱり会社の上司って目で見てしまう。
たとえ今居るここが、高倉主任のマンションであっても。
しかも、とうに夜も更けた時間であっても。
「えぇっと、い、維月さん」
言葉が詰まり、頬が火照る。差し出されたレモン味のチューハイを飲んでみたのだけど、喉を潤すだけで、声が滑らかに出てくる効果はないみたい。というか、かえって熱くなる。
そんなわたしを見て、高倉主任は嬉しげに笑っている。そして、こともなげにわたしの名を呼ぶのだ。「美鈴」、と。それはもうさらりと、照れもなく。
ううっ、何やら口惜しい。
高倉主任……じゃなくて、維月さんはわたしの照れ顔を楽しがってる。
オトナなのかコドモなのか、維月さんは本当につかみ所がない。
「何、美鈴?」
ネクタイを緩めながら、わたしを見つめ返してくる高く……じゃなくて、維月さんの目は笑っている。何か期待するみたいに。
余裕の欠片もないわたしは思わず身構えてしまう。これはほとんど条件反射だ。
けど、挫けずに訊く。
「維月さんの誕生日って、いつですか?」
意気込んでまで訊く質問じゃないんだけど。
だけど知りたいことだった。今まで訊く機会がなかったから。
「誕生日?」
維月さんは拍子抜けといった顔をして、だけど小さく笑った後、「六月七日」だと教えてくれた。
「えっ、じゃ来月っていうか、もうすぐじゃないですか!」
「そうだね、そういえば」
うわ、あと一ヶ月ないよ、どうしよう?!
同じふたご座なんだぁ、なんて悠長なこと思ってる場合じゃないよ、わたし!
「もしかして何かしてくれるつもりだった?」
維月さんは目を細めて笑う。穏やかな瞳の色がさらにやわらいで、甘やかムードがそこはかとなく漂ってくる、……ような気がする。……気がするんじゃなくて、確実に甘い色が濃くなったよ!
「そ、そりゃぁ……一応は」
「そっか」
維月さんは持っていたグラスをテーブルに戻した。中身のブランデーはまだ少し残っている。氷がカランと涼しげな音をたてて、揺れる。
「それよりも先に、美鈴の誕生日があるよね? 五月二十五日、だっけ?」
「え、なんで知ってるんですかっ」
ぎょっとして、わたしは大袈裟なリアクションを示してみせた。
そりゃぁ、月一の割合で飲みにいく間柄だったけど、誕生日とかって、教えた記憶ないよ。
「履歴書見て、憶えてたから」と維月さんは答えたけれど、素直じゃないわたしはそれを鵜呑みになんてしなかった。
だって履歴書なんてそう度々見るものじゃないし、それに誕生日なんて仕事上まったく関係ない事柄じゃない。記憶に留めておくべき事項じゃない。
「疑りぶかいね、美鈴は」
「…………」
軽く唇を噛んで、少し俯いた。
だって、わたしなんかをこんなにも気にかけてくれるなんて、まだちょっと信じられない。
維月さんのことを信じてないわけじゃない。だけど、どうしても「わたしなんかのどこが」と思ってしまう気持ちも拭いきれない。
「美鈴、もしかして、怒ってる?」
「は、……えぇっ?」
維月さんの不安げな声に、わたしは慌てて顔を上げた。
「怒ってって、なんのことですか?」
「いや、履歴書で個人情報を確かめたのを怒ってるのかな、と」
「そんなことで怒ったりしませんっ! そりゃ、維月さん以外の人だったら嫌だって思うかもしれませんけど」
「じゃ、怒ってない?」
「まったくもって、全然怒ってません。というか、……すみません、わたしの方こそ」
「ん?」
維月さんは小首をかしげ、わたしを見つめ返す。
「不快な思いをさせてしまって、すみませんでした」
わたしの独りよがりな逡巡のせいで維月さんに気を遣わせてしまった。
情けなくて、また落ち込んでしまいそうになる。
だけどこれ以上維月さんに心配をかけたくないし、それよりも先ず、維月さんに言っておくべきことがある。
「わたし、維月さんのこと信じてますから」
わたしのことはさておき、維月さんのことは信じているから。
維月さんの「心」は。
「うん」
維月さんは口元をほころばせ、優しく笑った。
伸びすぎた感のある前髪をうっとうしげに掻きあげる仕草ときたら、目がチカチカするほど艶っぽい。
酒のせい? ああ、もうっ、酒のせいってことにしておこう! 心臓が炙られて焦げそうなのも、酒のせいってことで!
「そっ、それより、よく憶えてましたね。男の人ってそういうのすぐ忘れるもんだと思ってたけど。あ、でも維月さんは几帳面ですもんね、わたしなんかよりずっと。気が利くっていうか、目端が利くっていうか」
高倉主任の細やかな気配りは、わたしだけじゃなく他の派遣社員の人達にもちゃんと向けられていた。些細なミスを知らぬうちに訂正してくれたりする一方で、失敗を叱ることもある。けれど叱り方まで気を遣っていて、さりげなくフォローするのも忘れない。器用な人だなぁって、感心してた。
ほんとに高倉主任って、底の知れない人だと思う。
「もしかして俺、褒められてる?」
「え? もちろんですよ。みんなにもっと気づいてほしいって思ってるくらいなんですよ? 陰から支えてくれてる『高倉主任』のこと」
「…………」
維月さんは顎をかき、何やら困った風な微笑を浮かべた。
返答に窮し、きまりの悪そうな顔をしてる。
……あれ? めったに見ない表情だけど、もしかして、……照れてる……のかな?
うわぁ、新鮮だ!
ちょっと……可愛い……かも。
なんだかわたしまで照れくさくなってきちゃうな……。
けど、ちゃんと言わなくちゃ。肝心なことだもの、わたしにとって。
「それから、誕生日憶えててくれて嬉しかったです。しかも同じふたご座なんですよね。なんだかそれも嬉しかったりして」
言ってから、さらに気恥ずかしくなった。
顔、熱っ! 維月さんの顔が見れませんけどっ。
「美鈴」
維月さんの、いつもより低い声が耳を撫ぜる。
全身が粟立つ。アルコールのせいだけじゃない、この熱。
顔を上げると、そこには優しく微笑んでいるオトナの男の人がいる。
会社の上司じゃない、わたしにとって「特別な」男の人。
……恋してる、人。
「俺こそ嬉しいよ、美鈴」
「は? え、と、何が、ですか?」
「…………見ていてくれて」
「え?」
わたしは首をかしげ、目を瞬かせた。
何が嬉しいのかな? 褒められたから? 同じふたご座だから?
……わからないけど、そうじゃない気がする。
維月さんは答えない。代わりにわたしの頭に手をおき、ポンポンと軽く叩いた。
「そのお礼も兼ねて。誕生日、何かしてほしいこととか、ほしい物とか、希望あるならきくよ?」
「そんないきなり言われてもっ」
「あぁ、まぁ、そうだよね。けどあと何日もないし」
どうしようかと訊かれ、わたしも困ってしまう。
だいたい、わたしのことより、わたしにとって大事なのは、維月さんの方なんだからして。
「あのですね、維月さん」
「うん?」
「それ、わたしも訊きたいんですけど。維月さんの誕生日、わたしも何かお祝いしたいから。欲しい物とかそういうの、何かあります? わたしができることで何かあれば、それでも」
「それは嬉しいね」
にっこりと、維月さんは笑った。悪戯を思いついた子供みたいに。
……あ、しまった。こういう顔する時の維月さんは、キケンだ、キケン!
こういう時のわたしの直感って、当たるんだ。経験的な「直感」ではあるんだけど。
「いきなり言われても、思い浮かばないな」
わたしの頭に置かれていた維月さんの手が、滑るように下へ移動し、髪と耳先をつままれた。
ひゃっ、と声が漏れる。
「けど、欲しいものなら今目の前にあるから、前倒しして、もらっていい?」
「――……っ!!」
慌てふためくわたしなど、維月さんはお構いなしだ。というか、明らかに面白がってる。
わたしばっかりなんでいつもこう余裕ないのかな、もぉっ。
しかえし……というか、ちょっとはわたしの方からって、思ってるのに。
「ちょ、ちょっと待って」
顔を迫らせる維月さんに、わたしは慌ててストップをかけた。
「ん?」
維月さんの前髪が、わたしの額にかかる。そのまま、維月さんは動きを止めた。
「誕生日、わたしの方が先なんですけど」
「あぁ、うん」
維月さんは目を瞬かせた。
砂糖を山盛りに入れたコーヒーみたいに甘い色をした瞳に、くらくらする。
顔が火照って、耳まで赤くなってるのが自分でもわかる。
維月さんは静かな微笑を浮かべたまま、焦っている様子もない。ただ少しだけ、……お酒のせいかもしれないけど、吐息は熱かった。手も、温かい。
わたしは維月さんの胸元を、きゅっと掴んだ。
「えぇっと、だからですねっ」
でぇぇいっ!
気合いで、恥じらいを吹き飛ばした。
そして、首を伸ばし、顎をあげて。
ちゅっ、と。
――わたしから先に、キスをした。
その後維月さんがくれたキスは、ちょっぴり苦くて、とびきり甘い、ブランデーの味がした。
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