21 / 168
第二章 〜水晶使いの成長〜
第20話 始めまして
しおりを挟む「…………ん……くぁ……。朝か……」
時間は……まだ6時か。6時半からご飯食べるって約束したから、もう起きるか。
顔を洗い、昨日ドアの前に置かれていた制服に着替えた。
……少しシャワーして行こうかな。
さっき着た制服をまた脱いで、シャワーを浴びた。
洗顔だけじゃ目は覚めなかったけど、シャワーを浴びたら覚めるな。これからは朝にシャワーを浴びるようにしよう。
シャワーを浴びたら、時刻は6時20分。少し早いけど、もう行こうかな。
食堂に着くと、ちらほらと人がいた。
あら、もうロイズがいた。さっさと朝ごはんを取ろうか。
サラダ、野菜スープ、パンを3つと、オルオの実1/8を2個、牛乳(もどき)。
「おはよう、ロイズ。早いな」
「おはよう、ライン。楽しみで目が覚めた」
「そうか。今は25分……そろそろ3人も来る頃かな」
オレとしては、牛乳(もどき)がどんな味なのか気になるところだ。
もう一個の、この学校に食料を提供している村が牛型の魔獣の育成に成功したらしく、こうやって牛乳が飲めるのはラッキーだ。
牛型の魔獣の家畜化に成功した数少ない事例で、ここで人に慣れた牛型の魔獣──バモを他の村に送り、繁殖させる計画があるらしいが……そこまでたくさん増えないから遅々と進んでいるらしい。
……と、ロイズから聞いた。
「全然知らなかったな。オレの村じゃ、バモなんかいなかったし、オレも見たことないし」
「私はその村に行ったときに教えてもらった。肉にもなるし、雌は乳がとれる。ただ、とても力が 強くて気性が荒いからなかなか難しいところ」
気性が荒いのは困りものだな。
でも、牛ってそもそも気性が荒い生き物だった。確か、野生化した牛はとても凶暴って聞いた。
それと同じか。
「おはようございます、ロイズ、ラインさん」
「おはよう、二人とも」
「……おはよう」
ノヨ、ミルはいつも通りだが…………ゴース、お前……朝弱いのか。
朝ごはんはそこそこ盛ってるから、食べれば目が覚めるのかな。それか、これでも少なめなのか……。
ノヨは昨日と比べると少なめだな。昨日も少なかったけど。
ミルは……肉多いな。朝からなんで肉が食えるのか……。
あれ、米ももどきなのか? 見た目も味も変わんないけどな。
「食べよう」
「そうだな」
「「いただきます!!」」
ん~! やっぱり美味い!! 牛乳(もどき)も美味い! 牛乳と変わらない! もう、もどきは付けないでおこう。
「みなさん、明日はどうするのですか?」
「ああ、バイトはないだろうから、ダラダラとしようかと……」
「オレは森で体を動かそうかと……」
「私も、ダラダラする」
「なにしよう……」
ゴース、少しは目が覚めてきたかな。オレ以外ダラダラ派かよ。
「なら、みんなで領都に行きませんか? 服などの生活用品を買いたいのですが……」
あ~、そういや、そうだった。バイトの帰りに買おうかとか考えてたが、ここで買うのもありか。
「オレは行きたいな。服が欲しいから。あと小物も」
「ラインがそう言うなら、僕も」
「私も」
ゴースは頷いた。
朝飯食っても目は覚めないのか……? 時間経過によって覚めるのかな。
意思疎通はできてるからいいけどさ。
「なら、早速明日行きましょう! 朝ごはんはここで食べて……、昼は向こうでいいですか?」
全員、同意の印として頷いた。
休日は、昼も食堂は空いているが、町で食べるのもいいだろう。
「なら、明日の朝は今日と同じ時間で。休日も平日と時間は変わりませんからね」
「了解」
「わかった」
楽しみだ。明日が待ち遠しいぜ。何買おうか。
確か、手持ちは銀貨3枚、半銀貨6枚、銅貨、半銅貨が数枚か。銀貨、半銀貨は、出発前に近衛騎士と冒険者たちがくれたものだ。
服の予算は半銀貨数枚か。2、3着ほど買おうか。
選んでもらおう。オレのファッションセンスは絶望的だからな。ドヤ。
「「ごちそうさまでした!!」」
「今日は私が集める」
みんな、ありがとう、と礼を言ってから重ねる。
「9時から授業が始まるから、それまで部屋にいろってことか」
「教室にはいつ行ってもいいらしいよ?」
いつ行ってもいいと言われても……することないしな。
とりあえずは部屋に戻って、ゆっくりとしておこうか。
「それじゃ、オレは部屋に戻るよ。それじゃ」
部屋に戻り、とりあえず、8時までゆっくりすることにした。
今はちょうど7時。自己紹介で言うことでも考えておくかな。
シンプルでいいよな、こういうのは。
8時か。そろそろ行こうかな。
部屋を出て、鍵をしてポケットに入れた。鍵はベルトと繋がっているため、そうそう失くさない……はずだ。
10分ほど歩いて、ようやく教室に着いた。
どうせ食堂と同じで、ほとんど人はいないだろ。そう思っていた。
──多分オレ、1番最後だわ。
え~と、前に、どこに座ればいいのか、書いてある。
最後列の、窓から2番目……番号順か。席替えとかするのかな。頻度は月一でお願いします!
とりあえず、座っておくか。
他の奴らは何人かグループを作って打ち解けている。
オレと同じく、席に座っているだけのやつも何人かいるけど。
隣の──40番の──方は座ってるわ。気まずいなぁ。
座ってるだけならともかく、寝てるし……。女子だし。
そして、この地獄のような1時間を、なんとか乗り切った。
忍耐力がカンストするんじゃないかと思ったわ。そんなんないけど。
まあでも、過去1番耐えた気がするな。
「はい、みなさんおはようございます。初日から遅刻ゼロ! 素晴らしいですねぇ。えー、今日の予定なんですけど、なんと、午前だけで終わりです。自己紹介をして、いろいろ質問に答えたり、連絡事項を伝えて解散となります。では早速自己紹介からしましょうか」
ラッキー!
午前で帰れるんだ。あー、でも、帰ったところですることないしな。
領都は明日行くし。
「えー、では、僕から。名前はクーラ・デインです。歳は24歳。得意な武器は剣で、攻撃魔法は使えません。独身、彼女なしです。1年間よろしくお願いします」
へー、彼女なしか。どうでもいいけど。でも、あの顔で彼女なしは……どうなんだろ?
結構モテそうだけどな。ほら、女子の何人かはハイエナの目をしてるし。
ハイエナは言い過ぎか。狙えたら狙おうか、ぐらいの目だから、罠を仕掛ける密猟者かな? よくわからんけども。
「では、1番の方から順番にどうぞ! 何を言ってもいいですからね。時間制限もないので。では、どうぞ」
1番の奴から順に名前を名乗り、戦闘型を言い、一言二言程言って終わり、の流れだった。
戦闘型は五分と五分だな。近接型の女子も、遠距離型の男子もいた。
オレと同じで、両方できるやつはいなさそうだな。
「20番、スゥ・フォナイ。遠距離型で、火の属性特化です。よろしく」
紫の髪、紅い瞳。間違いない。
遠距離試験にいた、凄いやつだ。
目の色はわからなかったが、あの髪の色、髪型は間違いないな。
火の属性特化というのも記憶と結びつく。スゥ・フォナイと言ったか。覚えておこう。
それからまた何人か自己紹介をし、オレの番になった。
……にしても、美形が多いんだな、この世界は。気づいてはいたけど。まあ、いいや。
あ……喉がカラカラだ。
「あ゛あ……ん゛ん! ライン・ルルクスです。水晶の属性特化で、近接も遠距離も戦えるけど、魔法も使った近接戦が1番得意です。よろしくお願いします」
スゥ・フォナイが驚いた顔を一瞬だけしたのが見えた。属性特化のお仲間がいて驚いたのだろうか。
この後、少し声をかけてみるかな。向こうもオレに興味を持ったようだし。
「はい、全員終わりましたね。では、少し休憩をして、いろいろ話そうと思います。休憩時間は、30分です」
さてさて、話を……。……無理だ、囲まれてら。
今のところは諦めよう。
すると、オレのもとにも1人、やって来た。
「えと、ラインって言ったよな」
「ん? ああ。確か……ターバ・カイシ……だったか?」
「おお、よく覚えてたな」
そりゃ、メモしてるからな。顔付きで。
ターバ・カイシ。白色の髪、若干ツンツンヘアー。硬そうな髪だ。
踊りが得意そうな見た目で、実は踊りが好きらしい。見た目が先か、趣味が先か。
「で、何か用?」
「いや、他の人らはもうグループができてるから。そこで、一人でおったから、俺も話す人いないし、話しかけてみようかな、と」
ぼっち+ぼっちはぼっちではない。話しやすそうだし、いいか。
話してみると、結構気が合った。ノリがいいやつで、楽しかった。
クラス最初の友達ができた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。
心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。
「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。
「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる