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第1部 仮初めの婚約者
あの言葉の真実
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「して、そなた随分とあの娘に入れ込んでいるようだが、よもや朕との約束を忘れてはおらぬだろうな」
ガーデンパーティーの後、アーサーは皇帝に呼び出され、現在は皇帝の執務室で皇帝と向き合い立っていた。
皇帝は執務椅子に腰掛けているが、その椅子がまるで玉座のように見えて背筋が冷える。
「はい」
「あの娘を決して愛してはならない。その上であの娘と婚約をすること。それらの条件で、そなたを皇太子に指名をしたのだ。それを破ることがあれば、そなたの皇太子位を剥奪することも考えねばならない」
「…………はい」
クレアと婚約し、かつ彼女を愛してはならない。
それがアーサーが皇太子に就任をする際の条件であった。
とはいえ、彼は元々皇太子になりたい訳ではなかったのだが、母親である第三の妃のことが気にかかったのでその申し出を受けたのだった。
(俺は彼女を愛せない。それが、こんなにも歯がゆく思うとは……)
アーサーはクレアの姿を思い浮かべると、胸が締め付けられるように感じた。
クレアの笑顔が浮かんでは消えていく。
「それではもう行ってよい」
「はい」
速やかに退室しながら、ふと疑問が思い浮かんだ。
(何故、父上はクレアを愛してはいけないなどという条件を出したんだ。それに、あの様子では明らかに衣装に関して何かを勘付かれているはず)
そう思案をすると、ぎゅっと手のひらを握り締めた。
(彼女を愛してはいけない……。分かってはいたが、厳しい条件だ)
人の気持ちは常に移り変わるもの。
アーサーはこれから彼女と接する上で、自分は非情になり切れるのだろうかと思ったのだった。
ガーデンパーティーの後、アーサーは皇帝に呼び出され、現在は皇帝の執務室で皇帝と向き合い立っていた。
皇帝は執務椅子に腰掛けているが、その椅子がまるで玉座のように見えて背筋が冷える。
「はい」
「あの娘を決して愛してはならない。その上であの娘と婚約をすること。それらの条件で、そなたを皇太子に指名をしたのだ。それを破ることがあれば、そなたの皇太子位を剥奪することも考えねばならない」
「…………はい」
クレアと婚約し、かつ彼女を愛してはならない。
それがアーサーが皇太子に就任をする際の条件であった。
とはいえ、彼は元々皇太子になりたい訳ではなかったのだが、母親である第三の妃のことが気にかかったのでその申し出を受けたのだった。
(俺は彼女を愛せない。それが、こんなにも歯がゆく思うとは……)
アーサーはクレアの姿を思い浮かべると、胸が締め付けられるように感じた。
クレアの笑顔が浮かんでは消えていく。
「それではもう行ってよい」
「はい」
速やかに退室しながら、ふと疑問が思い浮かんだ。
(何故、父上はクレアを愛してはいけないなどという条件を出したんだ。それに、あの様子では明らかに衣装に関して何かを勘付かれているはず)
そう思案をすると、ぎゅっと手のひらを握り締めた。
(彼女を愛してはいけない……。分かってはいたが、厳しい条件だ)
人の気持ちは常に移り変わるもの。
アーサーはこれから彼女と接する上で、自分は非情になり切れるのだろうかと思ったのだった。
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