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※心得6 「客に惚れてはいけない」
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腕を持ち上げられて揉まれている。
目を開けると。
カイが笑っていた。
「お前、寝すぎ」
「す、すみません!」
お客様を放っておいて熟睡するなんて
「大丈夫、身体は冷めてないから」
腰の辺りをさすられて声が出る。
「え、なんで」
「あちこち揉んでたからちゃんと身体は覚えてる」
軽く触られる度に身体が泡立つように快感が生まれる。
頭を抱えられて深いキスをされて、もう思考が溶けていく。
「もうそろそろ俺も我慢しないから」
そこからはまた喘がされて、リナは翻弄されても何度も腕を首に回して抱きついた。
「お前これ好きか」
うん、と頷くと頭を撫でられる。
「でも一回離してな」
リナを寝かせて舌で身体をとろとろに溶かしていく。
ぐったりしたリナの様子を見ながら、身体を繋げようと蜜を擦り付けた。
それまでよりも高い声でリナが求めて、カイも煽られる。
そのまま進みたいくらいだが、もう一度身体の力が抜けるようにいかせようと思った。
少し呼吸が落ち着いたから、
次は良いだろうと進めたら、
リナが泣いていた。
「どうした?」
キスをして聞くと、顔を覆って泣いている。
やりすぎたか、今になって怖いとかないだろう。
手をどけて顔を見ると子供のようにグスグスと泣いている
「どうしたんだ」
熱はほどけて、さっきまでの雰囲気はない。
「嫌になったか?気持ちよくなかったか?」
首を横にふる。
「なあ、怒らないから言えって。」
肩を抱いたらビクッと身体を震わす。こんなに仕上がって快感を拾うくらいになってるのに。
「だって、……こんな、……なっちゃう、無理」
小さい声で、リナは泣きながら言った。
「……お姐さんみたいに、なれない、私なんかちゃんとした娼婦になれない」
ぼろぼろ泣いている。
カイは、リナが何も知らないからやり過ぎたと思った。長く時間をかけすぎた。
でも反応も悪くないしお前は多分客もついて人気もでるだろうから大丈夫、
って言って宥めてやろうとしたら、イラッとした。
もう一度ドロドロにして明日も明後日もずっと客を取れないようにして、痕が消えないうちにずっと指名して他の客が取れないようにしてやろうか。
浮かんだそのドス黒い妄想の方が、まだしっくりきた。
でも目の前で泣かれている。
宥めるのも抱くのも、こいつにとって最適解ではない。
頬に手をおいて、視線を合わせると、怯えている。
とりあえず布団をかけてやる。
鼻をすすり上げるリナは、目も赤い。
「ごめんなさ、い、ごめんなさい。
だって、こんなの、ぜったい」
布団越しに肩を抱いて、背中をさすってやる。
また泣き出した。
なんでだよ
これ以上どうしろっていうんだ
「だって、こんなの絶対、好きになっちゃう、から、無理……」
泣きじゃくるリナを見て、
ぴしっと固まったあと、さっきの思考がまたぐるぐると始まって、またドス黒い衝動が沸き上がったが、押さえこんだ。
なんだこれ。
恐怖に近い。
なんだよこの女。
油断してた、
ちくしょう、そうきたか、いやマジでなんやねんこいつ、
今までにないことだった。
とりあえず、離れよう。
ふらふらと寝台から出て、服を着た。
水を飲む。
リナが怒らせたかと怯えた目で見てくる。
「怒ってない。ちょっと落ち着きたい」
「でも」
「怒ってたら続けてる。わかったら服着ろ」
渡してやると、布団の中でもぞもぞしていた。
「下りて、30分したら来るように旦那に言え。」
「はい」
「歩けるな?もう連れていかないぞ。」
「はい」
また泣きそうになっている
頭をポンポンとしてやる。
それだけで、またからだを身体を熱くして息も変わるくせに。
「もう行け。抱けねえ女に触れる気はない。今日はもう見ない。温かくして休め」
「は、い」
またグスグスと泣く。
戸に手を掛けたときに、背中に向かって言った。
「お前、やっぱり娼婦向いてへんわ」
戸が閉まって、リナは居なくなった。
気配が完全になくなり、一人きりになると、虚しさと疲れが押し寄せた。
髪をほどいてグシャグシャとかきむしり、床に寝た。
「はーっ、なんやねんこれ」
とりあえず身体を拭いて服をきちんと着る。
旦那と女将がやってきた。
「カイ様、リナではご満足いただけませんでしたか」
「あいつの代金を明後日まで払うから、ゆっくり休ませてやってくれ
別に不快な思いをしたわけじゃない」
女将がお金をつき戻した。
「これはいただけません」
旦那が女将を止めようとする
「抱けない女に情けは不要です。お金は必要なときに必要な使い方をなさいませ」
きっぱりと言う姿は、さすがにこの世界の女だ。
「そうか。しばらくはここには俺は来ない方がいいと思う。また、ほとぼりが冷めたら」
来るかもしれない、とは言えない。
「いつでもお待ちしています」
ーーーーーーー
リナが泣きながら部屋に戻るのを他の娼婦たちが囲む。
「大丈夫?お風呂いこ」
「辛かったんだね、おいで」
抱きしめて、湯の用意ができるまで交替でついていてやる。
「あたし、リナをこんなにして、カイ様に言ってくる!」
止める間もなく一人が走って言ってしまう。
「やめなよ」
追いかける者もいる。
ーーーーーー
カイは、墨の間を出て玄関に降りるところだった。
「カイ様、リナに何をしたんですか」
振り向くと、女に睨まれている。
後ろから止めている二、三人が見えた。
「あいつ、向いてない。さっさと田舎に帰してやる方がいんじゃないか」
「あの子に帰るところなんか無いわよ」
「どういうことだ」
「あの子にはここしかないの。」
女将が間に入る
「退きなさい。お客様に無礼は許しませんよ」
「女将、どういうことだ、あいつはここしかないって」
「どの娘にも事情があります。お客様には関係のないことです。もしあの子が娼婦になれなくても、使い道はありますのでご心配なく」
にっこりと笑って追い出された。
ここ以外に行くところがないのか、あいつ。だから必死に一人前になろうとして
しばらく来ないであろう場所を振り返り見上げた。
ーーーーー
リナは、窓からカイを見ていた。
ぼろぼろ泣いて窓枠にすがり付いていた。
誰も、そっとしておくことしか出来なかった。
「どうだった?」
戻ってきた女たちに聞く。
「女将さんがさっさと追い返したわ。
カイ様、悲しそうな顔をしていたから、何も言えなかったわ」
「リナも、ずっとこの調子よ。何があったのかしら」
目を開けると。
カイが笑っていた。
「お前、寝すぎ」
「す、すみません!」
お客様を放っておいて熟睡するなんて
「大丈夫、身体は冷めてないから」
腰の辺りをさすられて声が出る。
「え、なんで」
「あちこち揉んでたからちゃんと身体は覚えてる」
軽く触られる度に身体が泡立つように快感が生まれる。
頭を抱えられて深いキスをされて、もう思考が溶けていく。
「もうそろそろ俺も我慢しないから」
そこからはまた喘がされて、リナは翻弄されても何度も腕を首に回して抱きついた。
「お前これ好きか」
うん、と頷くと頭を撫でられる。
「でも一回離してな」
リナを寝かせて舌で身体をとろとろに溶かしていく。
ぐったりしたリナの様子を見ながら、身体を繋げようと蜜を擦り付けた。
それまでよりも高い声でリナが求めて、カイも煽られる。
そのまま進みたいくらいだが、もう一度身体の力が抜けるようにいかせようと思った。
少し呼吸が落ち着いたから、
次は良いだろうと進めたら、
リナが泣いていた。
「どうした?」
キスをして聞くと、顔を覆って泣いている。
やりすぎたか、今になって怖いとかないだろう。
手をどけて顔を見ると子供のようにグスグスと泣いている
「どうしたんだ」
熱はほどけて、さっきまでの雰囲気はない。
「嫌になったか?気持ちよくなかったか?」
首を横にふる。
「なあ、怒らないから言えって。」
肩を抱いたらビクッと身体を震わす。こんなに仕上がって快感を拾うくらいになってるのに。
「だって、……こんな、……なっちゃう、無理」
小さい声で、リナは泣きながら言った。
「……お姐さんみたいに、なれない、私なんかちゃんとした娼婦になれない」
ぼろぼろ泣いている。
カイは、リナが何も知らないからやり過ぎたと思った。長く時間をかけすぎた。
でも反応も悪くないしお前は多分客もついて人気もでるだろうから大丈夫、
って言って宥めてやろうとしたら、イラッとした。
もう一度ドロドロにして明日も明後日もずっと客を取れないようにして、痕が消えないうちにずっと指名して他の客が取れないようにしてやろうか。
浮かんだそのドス黒い妄想の方が、まだしっくりきた。
でも目の前で泣かれている。
宥めるのも抱くのも、こいつにとって最適解ではない。
頬に手をおいて、視線を合わせると、怯えている。
とりあえず布団をかけてやる。
鼻をすすり上げるリナは、目も赤い。
「ごめんなさ、い、ごめんなさい。
だって、こんなの、ぜったい」
布団越しに肩を抱いて、背中をさすってやる。
また泣き出した。
なんでだよ
これ以上どうしろっていうんだ
「だって、こんなの絶対、好きになっちゃう、から、無理……」
泣きじゃくるリナを見て、
ぴしっと固まったあと、さっきの思考がまたぐるぐると始まって、またドス黒い衝動が沸き上がったが、押さえこんだ。
なんだこれ。
恐怖に近い。
なんだよこの女。
油断してた、
ちくしょう、そうきたか、いやマジでなんやねんこいつ、
今までにないことだった。
とりあえず、離れよう。
ふらふらと寝台から出て、服を着た。
水を飲む。
リナが怒らせたかと怯えた目で見てくる。
「怒ってない。ちょっと落ち着きたい」
「でも」
「怒ってたら続けてる。わかったら服着ろ」
渡してやると、布団の中でもぞもぞしていた。
「下りて、30分したら来るように旦那に言え。」
「はい」
「歩けるな?もう連れていかないぞ。」
「はい」
また泣きそうになっている
頭をポンポンとしてやる。
それだけで、またからだを身体を熱くして息も変わるくせに。
「もう行け。抱けねえ女に触れる気はない。今日はもう見ない。温かくして休め」
「は、い」
またグスグスと泣く。
戸に手を掛けたときに、背中に向かって言った。
「お前、やっぱり娼婦向いてへんわ」
戸が閉まって、リナは居なくなった。
気配が完全になくなり、一人きりになると、虚しさと疲れが押し寄せた。
髪をほどいてグシャグシャとかきむしり、床に寝た。
「はーっ、なんやねんこれ」
とりあえず身体を拭いて服をきちんと着る。
旦那と女将がやってきた。
「カイ様、リナではご満足いただけませんでしたか」
「あいつの代金を明後日まで払うから、ゆっくり休ませてやってくれ
別に不快な思いをしたわけじゃない」
女将がお金をつき戻した。
「これはいただけません」
旦那が女将を止めようとする
「抱けない女に情けは不要です。お金は必要なときに必要な使い方をなさいませ」
きっぱりと言う姿は、さすがにこの世界の女だ。
「そうか。しばらくはここには俺は来ない方がいいと思う。また、ほとぼりが冷めたら」
来るかもしれない、とは言えない。
「いつでもお待ちしています」
ーーーーーーー
リナが泣きながら部屋に戻るのを他の娼婦たちが囲む。
「大丈夫?お風呂いこ」
「辛かったんだね、おいで」
抱きしめて、湯の用意ができるまで交替でついていてやる。
「あたし、リナをこんなにして、カイ様に言ってくる!」
止める間もなく一人が走って言ってしまう。
「やめなよ」
追いかける者もいる。
ーーーーーー
カイは、墨の間を出て玄関に降りるところだった。
「カイ様、リナに何をしたんですか」
振り向くと、女に睨まれている。
後ろから止めている二、三人が見えた。
「あいつ、向いてない。さっさと田舎に帰してやる方がいんじゃないか」
「あの子に帰るところなんか無いわよ」
「どういうことだ」
「あの子にはここしかないの。」
女将が間に入る
「退きなさい。お客様に無礼は許しませんよ」
「女将、どういうことだ、あいつはここしかないって」
「どの娘にも事情があります。お客様には関係のないことです。もしあの子が娼婦になれなくても、使い道はありますのでご心配なく」
にっこりと笑って追い出された。
ここ以外に行くところがないのか、あいつ。だから必死に一人前になろうとして
しばらく来ないであろう場所を振り返り見上げた。
ーーーーー
リナは、窓からカイを見ていた。
ぼろぼろ泣いて窓枠にすがり付いていた。
誰も、そっとしておくことしか出来なかった。
「どうだった?」
戻ってきた女たちに聞く。
「女将さんがさっさと追い返したわ。
カイ様、悲しそうな顔をしていたから、何も言えなかったわ」
「リナも、ずっとこの調子よ。何があったのかしら」
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