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過ちはいつまでも味のするガム(2)
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石原とはある歌会で出会って、というか、僕が終崎だと見抜かれてしまって。その時は作風を擬態してるつもりだったので、少々へこんだ。
彼は目立って美形というわけではないが、街中ですれ違えば十人中、六人が「あ、今の人ちょっとカッコいいな」と思うだろう。
男の場合、ここまでこぎ着けるのが難しいのだ。
女の子なら、十人中六人が可愛いなと思う子なんて山ほどいる。
場所によってはすれ違う子がみんな可愛い。
もれなく可愛い。
最低限可愛い。
男は、見られるという意識すら持たない層も多い。
僕なんて、保護色が常に欲しい。
石原は清潔感とチャラさを両立させている達人なのだ。オシャレ過ぎてもいけない。
量販店のシャツにアウトドアブランドのパンツ、印のない良い品の帆布のバック、意味ありげな小さなシルバーのピアス。
フツーの兄さんですよ、もてあそんだりしませんよ、といった空気を醸し出し、女の子を誘う。
……
雑誌に載ったときは、私服だったそうだが、もっとモード一辺倒というか、夜のオーラが出ていた。
別の雑誌には、小さなカットだったがアロハシャツを着ていた。
スカートをはいているのも見たことある。
初対面で。
なんだか派手な人がいるなと思ったら、目があって、名刺渡されて。相手の名前を詠むという遊びを彼らは仲間うちでしていたらしく、名前を聞かれた。
「ういざきやまと 初めての、崎は山に奇跡の奇、大和魂の大和です」
「俺は石原、たくみ。巨匠の匠ね」
そうして、詠みあった。
#
『ウィークリーマンション先の大和撫子を見るため迂回している』
少し笑ってしまった。目の前の派手な色男と大和撫子の組み合わせ。
僕が出した歌は
「石でさえ孕めと叩きつけるよう蜘蛛は見事な白濁を出す」
「うわあ」
石原がニヤニヤした。
あ、間違えた。
これはウケが良くない。
「君、もしかしたら『終崎』じゃない?」
あああああ。
過ちは、取り返せない。
でもまあ、
結果的に石原くんと会ってから楽しいことも多い。
僕なんかがすいませんって2日に5度は思うけど。
彼は目立って美形というわけではないが、街中ですれ違えば十人中、六人が「あ、今の人ちょっとカッコいいな」と思うだろう。
男の場合、ここまでこぎ着けるのが難しいのだ。
女の子なら、十人中六人が可愛いなと思う子なんて山ほどいる。
場所によってはすれ違う子がみんな可愛い。
もれなく可愛い。
最低限可愛い。
男は、見られるという意識すら持たない層も多い。
僕なんて、保護色が常に欲しい。
石原は清潔感とチャラさを両立させている達人なのだ。オシャレ過ぎてもいけない。
量販店のシャツにアウトドアブランドのパンツ、印のない良い品の帆布のバック、意味ありげな小さなシルバーのピアス。
フツーの兄さんですよ、もてあそんだりしませんよ、といった空気を醸し出し、女の子を誘う。
……
雑誌に載ったときは、私服だったそうだが、もっとモード一辺倒というか、夜のオーラが出ていた。
別の雑誌には、小さなカットだったがアロハシャツを着ていた。
スカートをはいているのも見たことある。
初対面で。
なんだか派手な人がいるなと思ったら、目があって、名刺渡されて。相手の名前を詠むという遊びを彼らは仲間うちでしていたらしく、名前を聞かれた。
「ういざきやまと 初めての、崎は山に奇跡の奇、大和魂の大和です」
「俺は石原、たくみ。巨匠の匠ね」
そうして、詠みあった。
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『ウィークリーマンション先の大和撫子を見るため迂回している』
少し笑ってしまった。目の前の派手な色男と大和撫子の組み合わせ。
僕が出した歌は
「石でさえ孕めと叩きつけるよう蜘蛛は見事な白濁を出す」
「うわあ」
石原がニヤニヤした。
あ、間違えた。
これはウケが良くない。
「君、もしかしたら『終崎』じゃない?」
あああああ。
過ちは、取り返せない。
でもまあ、
結果的に石原くんと会ってから楽しいことも多い。
僕なんかがすいませんって2日に5度は思うけど。
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