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事件

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エレンも潮時だと思ったように、他の令嬢も我慢の限界が来たようだった。

「エレン様、聞いてくださいませ!」

そう呼び止められて話を聞くことが増えた。

「私の兄や父が学園の様子を聞いて、彼に注意をしてくれました。
彼は反省しているフリをしていましたが、誤解だというばかりでした。
私と二人になったときに、
『浮気なんてしていない。ただの人助けだ』とヘラヘラ笑っているのです」

人助け、ねえ。

ルークからも全く同じようなことを聞いた。

アリスは友達だから単に人助けだよ、と。

一緒に街に行くのも、腕を組むのもアリスが貴族に慣れていない世間知らずなだけで悪気があるわけじゃない。

だから気にせず許してやってくれと言われた。


気にせず?
許す?

婚約者の立場は変わらないんだから細かいことにいちいち注意をするな、という意味なら呆れてしまった。

見過ごしていいものならこちらも知りたくないけれど

婚約者の悪評に何も手を打たないというのも、社交界で見下されることになりかねない。
噂の種など、大抵はつまらない憶測だ。

「仕方ありませんわね」

エレンは令嬢たちを茶会に招き、計画を話した。
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