19 / 21
番外編⑤エドガーの求婚
しおりを挟む
「きゅうこん、ですか、えーっと王宮の園芸部門の管理は」
「違う。婚姻のための書類を用意するので一時間ほど抜ける。私用だ。」
部下が凍りついた。
「おい、オムライス事件からエドガー様が別人になってるのだが俺の目がおかしいのか」
「安心しろ、俺にも同じように見えている。脳が受け入れてないだけだ。」
「誰か、騎士のアルフレッド様に伝えてきてくれ。あの人ならなんとかしてくれるだろう」
「親友だから錯乱を止めてくれますか?
エドガー様が情に厚いとは意外」
「馬鹿、仲は悪いが一応身内だ。義理の兄弟だから最悪家門の恥になるようなことは止めて下さるはずだ」
アルフレッドはエドガーの部下から聞いた。
戻ったエドガーは通常通りに仕事をしているそうだ。それが余計に不気味だとか。
その女の子の退勤時間に迎えに行くらしい。
「早く追い付いて止めないと」
エドガーの部下から聞いたのは、エドガーが食堂の監査にいって女の子とオムライスを食べてから微笑んで、婚姻の準備をするといって仕事を抜けたらしい。
やべえ奴じゃん。
事件だ。
兄が性犯罪の容疑者だなんて、エリーゼが悲しむ。
文官の執務棟から食堂への最短ルートを考える。
騎士の体力なめんなよ
エドガーの移動速度なら追い付ける
食堂の前の通路で追い付いた。
「おい、エドガー!」
「どうした?そんな走って」
「お前がっ、オムライス食べて女の子を、結婚」
「……情報が早いな珍しく。まあまだ時間があるので座って話せ」
食堂の前は中庭になっていて、天気のいい日はテラスや、中庭のベンチで軽食を食べることもできる。
ベンチにならんで腰をかける。
「婚姻の書類を取ったのか」
「一応な」
「騙してサインさせようなんて思ってないよな」
「そんなの犯罪だろ。何言ってんだ」
良かった。エドガーはまともだった。
「まあ、違和感や直感を見逃さず隙があれば法で縛って逃げられないように書類を交わすつもりだが」
まともじゃなかった!
「それ、仕事!監査のやり方だろ!」
「人生の伴侶を精査するのに仕事より生ぬるいわけないだろう?」
再び、何言ってんだコイツ、みたいな顔をされた。
「いやいや待て。精査って。だいたいお付き合いしてるのか?まさか一目惚れとか?」
「一目惚れなんかで結婚できるか、お前じゃあるまいし」
「おれは!ちゃんと、お付き合い期間も婚約期間もありました!」
「お互いに合意の上なら早い方が良いに決まってるだろ」
「はあ?あれだけ散々エリーゼとの仲を邪魔しておいてよく言うな?」
「エリーゼは未成年の学生だったんだぞ。変態の手から守るのは当然だ。
彼女は働いているし分別もあるだろうから問題ない」
「まて、彼女の家名は?年齢は?ご両親の了承は?」
「一切知らん。」
「はああああああ?」
「大丈夫か?」
「お前こそ大丈夫か?」
なんだかよくわからないけどアルフレッドは、エドガーを刺激しないほうがいいような気がした。思い詰めた天才こわい。騎士の勘がそう告げる。
「エドガー、なぜその人が良かったんだ?」
しばらく考えてから
「なんだろうな。
ほら、俺は子供の頃から天才とか神童とか言われてきただろう。だから、賞賛や羨望の目でしか見られたことがなかった。」
「あ、うん、確かにそうだけど」
「初めて、彼女から心配されたり哀れみの目で見られて、なんか、良いなと思ったんだ。ゾクッとするというか」
「ド変態じゃねーか!」
「まあそれは冗談だが。見ず知らずの人間に優しい人なんだよ」
アルフレッドは、不本意ながら見とれた。優しい顔で笑ってるのを初めて見たから。
顔は似てるんだよな、エリーゼと。
「そんな優しい隙だらけの人だから交渉に弱そうだなって。」
書類をチラ見せするな。
「俺が逃すわけないからな」
アルフレッドは、名も知らぬ彼女とやらに同情した。
まさかエドガーも名前を知らずに求婚しようとしてるとは思わなかった。
自己紹介から始まった二人の横で、
あり得ない
なんでこんな奴に結婚反対されてたんだ、
こんなやつが義兄だなんて
と脳内をグルグルと愚痴が巡った。
「違う。婚姻のための書類を用意するので一時間ほど抜ける。私用だ。」
部下が凍りついた。
「おい、オムライス事件からエドガー様が別人になってるのだが俺の目がおかしいのか」
「安心しろ、俺にも同じように見えている。脳が受け入れてないだけだ。」
「誰か、騎士のアルフレッド様に伝えてきてくれ。あの人ならなんとかしてくれるだろう」
「親友だから錯乱を止めてくれますか?
エドガー様が情に厚いとは意外」
「馬鹿、仲は悪いが一応身内だ。義理の兄弟だから最悪家門の恥になるようなことは止めて下さるはずだ」
アルフレッドはエドガーの部下から聞いた。
戻ったエドガーは通常通りに仕事をしているそうだ。それが余計に不気味だとか。
その女の子の退勤時間に迎えに行くらしい。
「早く追い付いて止めないと」
エドガーの部下から聞いたのは、エドガーが食堂の監査にいって女の子とオムライスを食べてから微笑んで、婚姻の準備をするといって仕事を抜けたらしい。
やべえ奴じゃん。
事件だ。
兄が性犯罪の容疑者だなんて、エリーゼが悲しむ。
文官の執務棟から食堂への最短ルートを考える。
騎士の体力なめんなよ
エドガーの移動速度なら追い付ける
食堂の前の通路で追い付いた。
「おい、エドガー!」
「どうした?そんな走って」
「お前がっ、オムライス食べて女の子を、結婚」
「……情報が早いな珍しく。まあまだ時間があるので座って話せ」
食堂の前は中庭になっていて、天気のいい日はテラスや、中庭のベンチで軽食を食べることもできる。
ベンチにならんで腰をかける。
「婚姻の書類を取ったのか」
「一応な」
「騙してサインさせようなんて思ってないよな」
「そんなの犯罪だろ。何言ってんだ」
良かった。エドガーはまともだった。
「まあ、違和感や直感を見逃さず隙があれば法で縛って逃げられないように書類を交わすつもりだが」
まともじゃなかった!
「それ、仕事!監査のやり方だろ!」
「人生の伴侶を精査するのに仕事より生ぬるいわけないだろう?」
再び、何言ってんだコイツ、みたいな顔をされた。
「いやいや待て。精査って。だいたいお付き合いしてるのか?まさか一目惚れとか?」
「一目惚れなんかで結婚できるか、お前じゃあるまいし」
「おれは!ちゃんと、お付き合い期間も婚約期間もありました!」
「お互いに合意の上なら早い方が良いに決まってるだろ」
「はあ?あれだけ散々エリーゼとの仲を邪魔しておいてよく言うな?」
「エリーゼは未成年の学生だったんだぞ。変態の手から守るのは当然だ。
彼女は働いているし分別もあるだろうから問題ない」
「まて、彼女の家名は?年齢は?ご両親の了承は?」
「一切知らん。」
「はああああああ?」
「大丈夫か?」
「お前こそ大丈夫か?」
なんだかよくわからないけどアルフレッドは、エドガーを刺激しないほうがいいような気がした。思い詰めた天才こわい。騎士の勘がそう告げる。
「エドガー、なぜその人が良かったんだ?」
しばらく考えてから
「なんだろうな。
ほら、俺は子供の頃から天才とか神童とか言われてきただろう。だから、賞賛や羨望の目でしか見られたことがなかった。」
「あ、うん、確かにそうだけど」
「初めて、彼女から心配されたり哀れみの目で見られて、なんか、良いなと思ったんだ。ゾクッとするというか」
「ド変態じゃねーか!」
「まあそれは冗談だが。見ず知らずの人間に優しい人なんだよ」
アルフレッドは、不本意ながら見とれた。優しい顔で笑ってるのを初めて見たから。
顔は似てるんだよな、エリーゼと。
「そんな優しい隙だらけの人だから交渉に弱そうだなって。」
書類をチラ見せするな。
「俺が逃すわけないからな」
アルフレッドは、名も知らぬ彼女とやらに同情した。
まさかエドガーも名前を知らずに求婚しようとしてるとは思わなかった。
自己紹介から始まった二人の横で、
あり得ない
なんでこんな奴に結婚反対されてたんだ、
こんなやつが義兄だなんて
と脳内をグルグルと愚痴が巡った。
5
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】ヤンデレ公爵にロックオンされたお姫様
京佳
恋愛
魔導師で美貌のヤンデレ公爵クロードは前々から狙っていたユリアを手に入れる為にある女と手を組む。哀れな駒達はクロードの掌の上で踊らされる。彼の手の中に堕ちたユリアは美しく優しい彼に甘やかされネットリと愛される…
ヤンデレ美形ワルメン×弱気美少女
寝取り寝取られ
ある意味ユリアとサイラスはバッドエンド腹黒2人はメシウマ
R18エロ表現あり
ゆるゆる設定
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
イケメン幼馴染に処女喪失お願いしたら実は私にベタ惚れでした
sae
恋愛
彼氏もいたことがない奥手で自信のない未だ処女の環奈(かんな)と、隣に住むヤリチンモテ男子の南朋(なお)の大学生幼馴染が長い間すれ違ってようやくイチャイチャ仲良しこよしになれた話。
※会話文、脳内会話多め
※R-18描写、直接的表現有りなので苦手な方はスルーしてください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる