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国境を越え、ヴァンボエム王国に入って一日足らずで王都に着いた。
山脈があり、長閑な田園地帯が至る処に見え、海もあるので、港町もあるのだろうが…
国中を回っても三日で済みそうだ。

「すっごい、田舎!」

リーズがズバリと言う。
歯に衣着せないのは、子供の特権だ。
それに、わたしとリーズは生まれた時から王都に住んでいたから、大きな町を見慣れている。
逆に、田舎は珍しかった。

「追放するにはピッタリな場所って事ね!」
「まぁ!素敵な土地じゃないの~♪自然の匂いだわぁ~」

リーズのは嫌味だが、母のこれは、強がりでは無い、本気で喜んでいる。
母は一族が住む《竜の谷》がお気に入りの、自然派だった。

「それより、わたしたち、何処に向かってるのかしら?」
「追放の民向けの宿舎でもあるんでしょ!」
「まぁ!楽しそう~♪」

危機感ゼロの母を横目に、わたしとリーズは肩を竦めた。

馬車の窓から外を眺める。
母が言う通り、自然の匂いがする。
風が気持ち良いと感じたのは初めてかもしれない。
わたしの内の竜の血が喜んでいるのだろうか?

気持ち良くなり、すっかり眠り込んでいたらしく、
リーズに「お姉様!起きて!着いたよ!」と揺すられるまで、それに気付かなかった。

「ふああああ…良く寝たわぁ」

伸びをするわたしに、リーズは目を細め、唇を尖らせた。

「もう!お母様もお姉様も!危機感ってものが無さ過ぎなのよ!」
「眠気には勝てないでしょう…それで、何処に着いたの?」

馬車を降りたわたしは、周囲を見て、目と口をポカンと開けていた。

目の前に聳えるのは、寂れた古い城…
然程大きくは無い、はっきり言うと、王都のアベラールの館とそう変わらないだろう。
だが、何ともいえない、不気味な存在感がある…

「魔物でも棲んでるの?退治しろって事かしら?」

それはそれで良いけど…

「そんな訳無いでしょ!ここ、ヴァンボエム王国の王城よ!」
「王城…追放者でも王に挨拶するものなのかしら?追放者の顔を知っておこうとか?」
「焼き印されたらどうしよう!サミーの処にお嫁に行けないよ!」
「リーズ、サミーとは別れたんでしょう?」
「永久にさよならとは言ってない!」
「まぁ!お城!何て味のあるお城かしらぁ!」

母娘三人で城を眺めていると、玄関がギギギと音を立てて開き、衛兵を従えた臣下が現れた。
国から付いて来た衛兵は臣下に書状を渡し、荷物とわたしたちを置いて、
用は済んだとばかりに、さっさと帰って行った。

「こちらへどうぞ…ご令嬢方」

わたしたちの素性を知らない臣下は、何と呼べば良いのか迷ったらしい。
だが、母は『令嬢方』と呼ばれ、歓喜していた。

「いやだわぁ~、私、夫人ですのよ~」
「それは失礼致しました、どうぞ、こちらへ…」

臣下に連れられ向かった場所は、謁見の間だった。
中央に王座があり、痩せて顔色の悪い王が座っていた。
王座の脇に立つのは、王子服を着ているが、これまた、痩せて顔色の悪い青年だった。
銀髪に灰色の目…何とも生気が見られない。
だが、わたしと目が合うと、僅かに微笑んだ…気がした。

臣下が王に書状を渡す。
王はそれに目を通すと、脇の青年に渡した。
青年もそれに目を通し、それから王に向かい、小さく頷いて見せた。

何が書かれているのかしら?
驚いていないって事は、一応、事前に知っていたって事よね?
それにしても、追放者を送られるって、どんな気持ちかしら?
穏やかそうに見えるけど、内心、迷惑千万よね?
わたしなら、相手国に殴り込むわ…

わたしは想像し緊張した。
だが、王が見せたのは、殊更に愛想の良い笑みだった___

「我がヴァンボエム王国へようこそお越し下さった、王のフィリップです。
これは、私の息子、王太子のルネです」

王は細い垂れ目をしていて、笑うと益々柔和に見えた。
追放者の受け入れというのに、何故、こんなに愛想が良いの?
それに、何処か浮ついて見える…
わたしには奇妙に思え、ある種恐怖を覚えた。
だが、天然母は、変に思う事無く、丁寧な挨拶に対し、美しいカーテシーを持って答えた。

「アベラール家女主人のベラにございます、王様」

わたしとリーズもそれに習った。

「長女ヴァレリーにございます」
「次女リーズにございます」

王が満足そうに頷いたので、取り敢えずは安堵したのだが…

「我が国に、この様な美しい花嫁を送って下さった事を感謝する、
それでは、早速、婚約の儀に移らせて貰うとしよう___」

花嫁??
婚約??

わたしたちがポカンとしている間に、何処からともなく、年老いた司教が現れた。
そして、状況が把握出来ていない内に、わたしはルネの隣に並ばされ…
司教から祝福の言葉を受けていた。

「ヴァンボエム王国王太子ルネとヴァレリー=アベラールの婚約が成立致しました事を、
ここに宣言致します___」

そんなの、勝手に宣言してるんじゃないわよ!!
知らない国に着いたばかりで、何で、突然、婚約になるの!??
わたしたち、確か、追放されたのよねえ!???

大いに不満はあった。
だが、身に着いてしまった妃教育がそれを許さなかった。

ルネがわたしに向ける微笑みに、わたしは《妃の微笑み》で応えてしまっていた…





「結婚の儀は、古くからの風習に則り、行う事となっております故、
暫し時間が掛かる事をお伝えしておかなくてはなりません。
お互い知り合う時間と思って下さると有難い、そうだね、ルネ」

場所をパーラーに変え、お茶が用意された。
当然の様に、わたしの隣には痩せた王太子ルネが座っている。
そして、当然の様に、わたしに穏やかな笑みを見せる…
わたしは内心暴れていたが、どうしても、身に着いた妃教育には反抗出来ず、
作った笑みを返してしまっていた。

そんなわたしを、母やリーズは心配してくれて…いれば、まだ良かった。
リーズはというと、目の前に並べられた、彩豊でお洒落な菓子たちにすっかり心を奪われている。
リーズは、普段はしっかり者だけど、お菓子には弱いのよね…
そして、母はというと…降って湧いた娘の結婚に、怪しむ気配など微塵も無く、
ただただ、浮かれ、歓喜していた。

「まぁ!古くからの風習だなんて!何てロマンチックなのかしら~♪
ええ、ええ、知り合う良い時間になりすわ~運命で結ばれた相手とはいえ、
愛を深める時間はそれなりに必要ですわよね~、王様ぁ」

「そう思われますか!いや、ご理解頂けて有難い、
他の国から花嫁を迎える事は滅多に無い事ですが、風習は面倒だと嫌がられるのですよ」

「まぁ!風習を蔑ろにしてはいけませんわ!私共も歴史ある一族の末裔ですので、
良く理解出来ますのよぉ」

「ほう!その様な方を花嫁に迎えられるとは!真に有難い!」

「まぁ!おほほほ~」

母と王はすっかり打ち解けている様だ。

それにしても、母は…
百年周期の契約結婚が破綻した事で、ショックを受けたとばかり思っていたけど…
その事はどうでも良かったのかしら?
ただ、娘の結婚が破綻したから、気落ちしていたのだろうか?
『運命で結ばれた相手』だなんて、調子良い事を言ってる位だものね…

だけど、お陰で、少し気が楽になった。
今まで、百年周期の契約を、重い鎖の様に感じていたから…

わたしは息を吐き、紅茶を飲んだ。

は~、美味しい…

国は小さいし、城も小さく薄暗いが、紅茶や菓子は驚く程美味しい!

パーラーというのは、普通だと和やかに団欒する場なので、明るい雰囲気があるものだけど、
ここは、雨の日の様な憂鬱さが漂っている。
壁紙の色の所為かしら?何故、どれもくすんだ色をしているのだろう?
本当に魔物なんじゃないかしら?

「ヴァレリー、紅茶は気に入りましたか?」

ルネに穏やかに聞かれ、わたしは見られていた事を知り、反射的に身構えた。
『いついかなる時も妃として品性を保ちなさい!』
妃教育の教師の叱責が蘇ったのだ。

「はい、大変に美味しく頂いております」

わたしが背を正し、澄まして答えると、ルネは灰色の目を一瞬丸くし、
それからまた穏やかに笑みを浮かべた。

「そうですか、それはうれしい、この紅茶は我が国で育てた茶葉を使っています」

なんと!一級品の茶葉が採れるなんて凄いわ!
わたしはマジマジとカップの中を覗き込んでしまった。
隣でルネが「くすくす」と笑うのに気づき、わたしは再び背を正し、顎を上げた。

「オピュロン王国からの書状には、何と書かれておりまして?」

それとなく訊いてみた。
ずっと気になっていて、聞かなければ、この後もずっと気になるに違い無かった。

ルネは変わらずに笑みを見せたまま…

「両国の友好の証として、僕に花嫁を送ると」

くらり…
眩暈を覚えた。

友好の証!!!
《滅びの星》を持つ者を送りつけておいて、何という厚顔無恥な!!
バレないと思っているなら、即刻考えを改めなさいと言ってやりたいわ!

だが、それよりも…
政略結婚から逃れられたと思っていたのに、追放先で、政略結婚させられるなんて…
これは、わたしに対する、アンドレからの嫌がらせだろうか?
それとも、ルネに対しての?
若しくは、両方ね!

ギリギリと奥歯を噛んでいた為、ルネが不審に思ったらしい…

「あなたは、承知の上で来られたのでしょう?」

ルネに聞かれ、『そんな訳無いでしょう!』と喉元まで出ていたが、何とか抑えた。
知らなかったなど言える筈が無い…
察する処、先方は、わたしたちが追放者である事を知らないのだ…
遅かれ早かれ分かる事ではあるが…
今、ここで自分がバラせば、きっと、母とリーズに恨まれるだろう…ううう

「それとも、相手が僕では不服だったでしょうか」

ルネが残念そうな表情をしたので、わたしはつい、笑顔を返してしまった。

「まさか!その様な事は決してございません」
「そうですか、安心しました」

あああ!安心させてしまったわ!!これで良かったのかしら??
内心焦りつつも、わたしは笑顔を崩せない。
長年の妃教育の所為で、反射的にそうしてしまうのだ。
恐るべし!妃教育!!!

「ルネ様こそ、政略結婚をする事に、悔いはございませんか?」

政略結婚など時代遅れだ!横暴だ!人権無視だ!と、
事ある毎にアンドレは喚き散らしていた。それはもう、5歳児の様に。

「相手がわたしの様な者で…」

隣に並ぶと一目瞭然だが、わたしはルネよりも逞しく、背も幾らか高い。
アンドレは自分と然程身長差の無い事も嫌っていて、事ある毎に酷い言葉で詰られた…
わたしより三センチ背の高いアンドレが嫌うのだから、ルネが嫌わない筈が無い。

わたしの様な者でよろしい…筈が無いわよね…

わたしは何と罵られるかと身構えた。
だが、ルネは灰色の目を細め、感じの良い笑みを見せた。

「僕は政略結婚出来る事に喜んでいます、それも、あなたの様な方と…
僕は幸運な男です」

政略結婚を喜び、相手がわたしで幸運だと言う…
とても本気とは思えないわ…
それなら、そこに、どんな意図があるのかしら…?

これは、アンドレよりも強敵かもしれない。

アンドレは単純馬鹿なので、ある意味分かり易い人間だった。
5歳児の我儘王子と思っていれば良い。

だが、ルネは…全く理解が追い付かないわ…

理解出来ない者に対し生まれるのは、《恐怖》だ。

婚約から一時間も経たない内に、わたしはこの結婚の行方が不安になってきていた。


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