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34 断罪

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「アラベラ・ドレイパー!これまでのおまえの行いには、目に余るものがある!
公爵令嬢の立場を笠に着、学園を我が物にしてきたであろう!
教師を軽視した授業態度、他の生徒たちに対する傲慢な態度、
男子生徒を追い回す淫らな行為!
それだけでも十分だが、最も憎むべきは、
《聖女》であるエリー・ハートへの、執拗なまでの嫌がらせだ!」

アンドリューは朗々と述べ、《聖女》の件では、殊更声を張り上げた。

「おまえは、ドロシア・ソープ、ジャネット・べインズと共に、
《聖女》エリーを罵り、嘲笑い、私有物を破壊しただろう!」

不味いわ!
ドロシアとジャネットの名を出されてしまった___

「おまえや取り巻きたちなど、即刻退学させてやりたい所だが、
残念ながら、学園側の許可が下りなかった。
だが、おまえたちのした事は、絶対に許されないと心しておけ!
学園にいる限り、皆がおまえたちを監視し、軽蔑し、嘲笑うだろう、
卒業するまで、生き地獄を味わうが良い!」

「お言葉ですが!」と、わたしは腹筋を使い、大声で遮った。

「ドロシアとジャネット等、わたくしの下僕に過ぎませんわ!
あの者たちに限らず、爵位の低い者は、皆わたくしの下僕ですの!
下僕に意思などございません、わたくしの命じるまま、操り人形になるだけ、
その様な者たちを、わたくしと同列にされては困りますわ!おーほほほ!」

責められるのは、わたしだけでいい。
アンドリューは嫌悪を顔に表した。

「狂ったか?それに、どこまでも、腐りきった奴だ…
おまえの罪状はその程度ではないぞ!《聖女》エリーに対する暴行を忘れたか!
先の《ラピッドシュート》の大会での事は、皆も覚えているだろう!
この者は、危険球を投げ、《聖女》エリーに危害を加えようとしたのだ!
それだけではない、エリーは何度も階段から突き落とされている!」

階段から、何度も突き落とされた?
わたしは違和感に頭を捻った。

階段から突き落とそうとして失敗した事が、一度だけあるが、
それ以降、わたしはそんな事はしていない。
そんな事をしなくても、これまでの悪行で、婚約破棄や断罪は成り立つと思っていた。

それが、どうして___?

エリーの嘘だろうか?
それとも、他の誰かが?

わたしが考えている間にも、断罪は進んでいた。

「___王は、おまえを『王子妃に相応しくない』と判断された!
依って、アラベラ・ドレイパー公爵令嬢、おまえとの婚約は破棄となった!」

アンドリューが高らかに言い、周囲がどよめいた。
アンドリューは見せ付けるかの様に、エリーの肩を抱いた。

「二度と、俺やエリーに近付く事は許さん!」

泣き崩れるべきかもしれないが、その後の退散が難しくなるので、それは止めた。
代わりに、わたしはツンと顎を上げ、冷たい目で傲慢に言い放った。

「フン!精々、後悔なさるといいわ!」

わたしはサッと踵を返すと、ツンと顎を上げたまま、堂々とホールの中を進んだ。
周囲は呆気に取られてか、何も言葉を発しなかった。


無事、ホールから出たわたしは、「ふう…」と息を吐き、体の強張りを解いた。

「流石に、緊張したわ…」

予想はしていたが、全て成り行き任せ、アドリブ劇だ。
どうなる事かと緊張したが、無事に断罪され、婚約破棄も成立した。
見事に《悪役令嬢》の務めを果たしたと言えるだろう。

「中々、良い出来だったわよね?」

自分で自分を褒めていた所…

「アラベラ様___!」

後ろからバタバタと足音がし、わたしは振り返った。
クララがスカートを抱えて走って来た。
その後ろには、パトリック、他にも、ブランドン、ドロシア、ジャネット…
ジェロームにファンダムの子たちも居た。

「どうしたの、皆、パーティはまだ終わっていないわよ?」

「でも、アラベラ様が!」

「ああ、わたしが居たら、折角のパーティに水を差してしまうでしょう?
皆は最後まで楽しんで!わたしは大丈夫だから」

わたしは笑って見せる。

「アンドリュー様は酷いです!パーティで、あんな事をなさるなんて…」

「いいのよ、皆に知らせたかったんでしょう、虐めは良く無いもの。
身に覚えのある者たちは、今頃冷や冷やしているわよ!」

「でも、アラベラ様は…私を助けて下さいました!
毎日、虐められて、辛くて…でも、恥ずかしくて、誰にも言えなかった…
知られたら、軽蔑されるって…
アラベラ様だけが気付いて、助けて下さいました!
そのアラベラ様が、悪く言われるなんて、私、耐えられません!」

クララが泣きながら言ってくれ、わたしも目が潤んでしまった。

「ありがとう、クララ…
わたしは悪く言われても平気よ、いいえ、悪く言われた方がいいの、贖罪だから。
でも、あなたの気持ちはうれしいわ、大好きよ、クララ」

わたしはクララの肩をそっと撫でた。
クララは泣きながら頷いていた。

「ドレイパー、あの罪状は間違っているよね、少なくとも、全部が正しい訳じゃない。
僕はその事が悔しいよ、君を陥れようとしている者が居る気がする…」

パトリックの読みは間違っていない。
だけど、そこに拘ってはいられない。

「大体は大袈裟に言うものよ、それに、落ちる所まで落ちれば、逆に安心だわ!」

「おまえ!呑気過ぎるだろう!そうやって、真面目に考えねーから、
婚約破棄なんかされるんだぞ!」

ブランドンが熱血に叫ぶ。

「真面目に考えたって、婚約破棄にはなるわよ」

「はあああ?人が心配してやってるってのに!!」

「あんまり叫ぶと、血管が切れるわよ」

「良くは分からないけど、手助け出来る事があれば、遠慮なく言って欲しい。
尤も、僕は卒業する身だけどね、僕のファンダムの子たちは、味方になってくれるよ」

ジェロームがいつも通りに、優しく言い、ウインクする。

「ありがとうございます、ジェローム様」

「アラベラ様、私たちの事、庇って下さって、ありがとうございます…」
「私たち、何も言えなくて…すみません」

ドロシアとジャネットからは、謝られた。
ゲームでは、手の平を返し、わたしに罪を押し付け、助かろうとしたのに…

「アンドリューは王子よ?誰も何も言えないわよ。
それに、あなたたちは、わたしに従っただけでしょう?」

「それは…」と、二人は顔を見合わせ、気不味そうにした。

「そうしておいて、もう、二度としないでしょう?あなたたちは悪人じゃないわ」

わたしは二人に頷いて見せた。

「皆、来てくれてありがとう、わたしは大丈夫だから、パーティに戻って、楽しんでね!」

わたしは皆をパーティへ促し、寮へ帰った。
早い時間に戻ったので、ハンナが驚いていた。

「アラベラ様、どうなさったのですか?」

「急用が出来てしまったの、着替えたら直ぐに公爵家に帰るわ。
ハンナ、あなたは当分の間、他の仕事を貰ってね。
お給金が減ると思うから、これを渡しておくわね…」

ハンナは寮付きの侍女なので、わたしが居なければ、寮内の他の仕事、
雑用に回される。
わたしは持ち合わせの現金をハンナに渡した。

「こんなに!受け取れません!」

「いいの、振り回してごめんなさい、馬車を呼んでくれる?」

「はい…」

わたしは急いで着替え、必要な物をトランクに詰めると、
呼んで貰った馬車に乗り、寮を出た。


本当は、寮の部屋に閉じ籠り、過ごすつもりだった。
だが、皆が来てくれ、優しい言葉を掛けられた事で、逃げ出したくなった。

仮病を使えば、皆を心配させてしまう。
婚約破棄されて落ち込んでいるのではないか?と、励ましに来てくれるかもしれない。
有難く思いながらも、それが辛かった。

酷い女だ!
裏切り者!
内心では何を企んでいるか分からない!

そう詰られた方が、遥かに楽だっただろう…





婚約破棄の件は、ドレイパー公爵家には、既に伝わっていた為、
わたしが帰ったと知るや否や、両親はわたしを書斎に呼び、散々に叱り付けた。

「公爵家の名を汚しおって!おまえの様な恥知らずは、我が娘ではない!
このまま、公爵家に居られると思うな!
それが嫌なら、アンドリュー様と聖女様に謝るのだ!
アンドリュー様がお許しになり、婚約破棄が撤回されなければ、修道院行だぞ!!」

アンドリューが許し、婚約破棄を撤回するなど、ある筈が無い。
それに、幾ら両親が脅した所で、修道院に入れられる未来など来ないと知っている。

「アラベラ、お願だから、アンドリュー様に謝って来て頂戴!
私たちがどれ程恥ずかしい思いをしているか、分かっているの?
もう、何処にも顔が出せないじゃないの!」

母が泣き落としに出たが、わたしの胸には響かなかった。

両親が心配しているのは、ドレイパー公爵家の評判だけだ。
そして、何を言おうと、それは、数日後には、地に沈むのだ。
糠喜びをさせる気は無い。


両親から解放されるのをじっと待ち、それが叶うと、
わたしは自室に戻り、人払いをし、鍵を掛けた。
暫く蘆城をしていれば、両親も煩くは言わないだろう。
両親の相手をする気力は無い___

「そうだわ、アレを処分しなくちゃ…」

わたしは前世の記憶を綴った用紙を引っ張り出し、暖炉に放った。
こんな物が後々見つかれば、大騒ぎになる。
魔法で火を点ける。
ゆらゆらと揺れながら燃え広がり、やがてそれは、黒い塊を残して消えた。

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