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翌日、ハンナが出掛けたのを見届けてから、わたしは急いで着替えをした。
取り出しますは、ハンナのメイド服一式だ!
寮の侍女服は決まっていて、深い紺色のワンピースに、フリル付きの白いエプロンだ。
シンプルではあるが、上質の生地が使われている。

「問題は髪よね…」

わたしの金髪は、上等な光があり、恐ろしく目立つので、
メイドたちの中に紛れるなど、とても無理というものだ。
だが、わたしには秘密兵器があった___!

「こんな時の為に、ジャジャーン!髪色を変える薬~!!」

わたしは小瓶を掲げ、前世で言う所の《ふりかけ》の如く、頭に振り掛けた。
呪文を唱えると、それは髪全体に広がり、みるみる茶色に変わっていく。
わたしは茶色に変色した髪を、後ろで纏め、シニヨンに結った。
そして、ふわふわと白いフリルの付いたカチューシャ、ホワイトブリムを着けると…

「可愛い!完璧ね!お帰りなさいませ、ご主人様♡」

完璧なコスプレに、誰しも《メイドさんごっこ》をせずにはいられないだろう!
わたしは姿見相手に、両手を合わせ、しなを作ると、いつもより数段高い声を出した。

「ご主人様、ご注文はお決まりですか?」
「美味しくな~れ♡」
「萌え萌え♡キュン♡」
「んー…これだと、メイドというより、メイドカフェよね?」

前世の記憶だと、メイドカフェのイメージが強く、
今世の記憶だと、メイドは喋る事は無い…
そんな事に頭を悩ませていたが、はたと、我に返った。

「いけない!遊んでいる暇は無いわ!急がなくちゃ!」

わたしが部屋を出て、足早に向かったのは、寮の一階にある、調理場だ。
寮の調理場には、調理人は勿論だが、侍女も好きに出入り出来て
使える為、変装して潜り込む事にしたのだ。

メイド服を着ていれば、誰も気に留めない。
擦れ違う女子生徒たちは、侍女など空気だと言わんばかりに、無表情で歩いて行く。
わたしはすんなりと、調理場へ入る事が出来た。

小麦粉らしき粉、卵、砂糖、塩、木の実と柑橘系の果実…

「ベーキングパウダーって、あるのかしら?」

わたしが棚を物色していると、侍女の一人が声を掛けてきた。

「あら、あなた見掛けないけど、誰の侍女をしているの?」

わたしは侍女になりきり、「アラベラ・ドレイパー公爵令嬢です」と答えた。
相手は、「ああ!」という顔をし、肩を竦めた。

「あなたも大変ね、アラベラ様は酷い方なんでしょう?
気に入らない事があれば物を投げつけるし、口が悪い上に、我儘が過ぎて…
前の侍女が我慢出来ずに、逃げ出した位だもの!
きっと、人を虐める事が生き甲斐なのよ!
お給金が良くても、あの意地悪娘の面倒はみたくないわよねー」

失礼極まりないが…事実である。
勿論、前世を思い出してからは、そんな事はしてないわ!

「ハンナも、何か言っていた?」

「ああ、あの子はイイ子ちゃんぶってるから!噂話にも入らないし、
あの意地悪娘の事を、『とっても良い方です』なんて言うんだもの!
頭がどうかしているんじゃない?
侍女の中でも浮いてるし、人との付き合い方を知らないのね!
そういえば、妹が学園に居るらしいけど、
姉が働ていても、妹は貧乏寮にしか住めないなんて!悲惨よね!」

むむむ!
聞いたのはわたしだけど、ムカつくわね!

「主人の悪口を言い合う付き合いなら、しなくて良いと思うわ。
ハンナのそういった美点を、アラベラ様は良くご存じよ。
他の侍女たちが自分の悪口を言っている事もね、あの方は地獄耳なの、
プライドが高いし…何か仕返しを企んでいるかもね?」

わたしが言うと、侍女はギョッとした顔をし、そそくさと居なくなった。
わたしは「フン!」と鼻を鳴らし、棚に向き直った。
手を伸ばし、奥を漁っていると、手が何かに当たった。
掴んで取り出すと、その小さな容器のラベルには、《ふくらし粉》と書かれていた。

「ふくらし粉…これは当たりね!」

わたしはそれに決め、早速調理を開始した。

木の実を煎り、小さく刻む。
柑橘系の果実の皮を摩り下ろす。
ボウルに粉類を入れ、スプーンでぐるぐると掻き混ぜる。
そこに溶いた卵を流し入れ、混ぜてから、胡桃と摩り下ろした皮を入れて混ぜる。
打ち粉をした台の上で、生地を二等分して、長方形にする。

「こんなものかしら?」

鉄板に乗せ、石窯オーブンらしき物に入れて焼く。
焼き色が付いたら取り出して、少し冷ましてから2センチ程度に切っていく。
鉄板に並べ、今度は少し弱火で焼く…

「ああ!いい匂い!美味しそう~♪」

甘い匂いが広がり、食欲をそそった。

石窯から取り出すと、薄く焼き色が付いていた。
わたしは焼き上がりに満足し、皿に盛ると、薄い布を被せて部屋に持ち帰った。
完全に冷めるのを待てば、《ビスコッティ》の出来上がりだ。
レシピは前世の記憶頼りで、材料も有り合わせだが、中々良く出来たと思う。

「保存もきくし、お茶菓子にピッタリなのよね!」


日が暮れる頃に、ハンナが帰って来た。
わたしは着替えを済ませ、何事も無かったかの様に、澄まして勉強をしていた。

「ただいま戻りました、アラベラ様」
「おかえりなさい、どうだった?楽しかった?」
「はい、アラベラ様のお陰で、楽しく過ごさせて頂きました、妹もお礼を言っていました」
「それなら良かったわ、クララの武勇伝を聞いた?」
「はい、アラベラ様が編み出した魔球の話も聞きました…」

だが、その後のゴタゴタは、姉には話さなかったのだろう。
ハンナは屈託なく話していた。

「クララの魔法があっての事よ、凄かったんだから!」
「ふふ、私も観たかったですわ」

残念な事に、学園生でも無ければ、観覧は出来ない。

「ああ、すみません、アラベラ様、お品はこれでよろしかったでしょうか」

ハンナが思い出した様に、紙袋を出した。
中には、然程大きくはない淡い紫色の箱と、艶のある鮮やかな紫色のリボン。

「可愛い!ハンナはセンスが良いわね!頼んで正解だったわ!」

ハンナはうれしそうに微笑んだ。

「今日は食事をして、休んでいいわよ」

わたしはハンナを下がらせ、箱を取り出した。
箱にビスコッティを詰め、リボンを巻いた。

「可愛い!」

残ったビスコッティは、三本をリボンで結び、
後は再び紙で包み直し、袋に入れた。


◇◇


翌朝、朝食終わりに、リボンで結んだビスコッティを、ハンナに渡した。

「わたしが焼いたの、お茶の時間に食べてね。
そのまま食べてもいいけど、紅茶かコーヒー、ホットミルクに浸して食べるといいわよ」

「まぁ!アラベラ様がお作りになられたのですか!?
この様な大切なものを、私が頂いてもよろしいのですか?」

ハンナは頻りに恐縮しているが、大した物ではない。
調理場は勝手に使わせて貰ったし、材料費すら自分で出してはいない。
内心冷や汗ものだが、それは隠し、笑みを作った。

「沢山作ったのよ、ハンナにも是非食べて欲しいの!
クララとは昼休憩に食べるつもりよ!」

それでハンナは納得したらしく、「ありがとうございます」と受け取ってくれた。





教室に入ると、既にパトリック、ブランドンが席に着いていた。
以前は、教師が来るまで、エリーの席に集まり話していたが、
最近では自分の席に居る事が多い。良い傾向だ___

「おはよう、パトリック、ブランドン」

わたしはいつもの様に声を掛けた。
パトリックからは直ぐに「おはよう、ドレイパー」と返って来たが、
ブランドンは岩の如く、動かない。少し、異様なものを感じる…

ブランドンはまだ怒っているのかしら?
無視するつもりなら、それはそれでいい、他の手を考えるわ…と思っていたが、
わたしが座ると同時に、ブランドンがこちらを向き、頭を深く下げてきた。

「この間は、悪かった!」

意外過ぎて、「え?」と声が漏れてしまった。

「パトリックから聞いた、あの危険球、おまえの魔法じゃなかったんだって?
それなら、そうと、早く言えばいいだろう?」

「どうせ、信じないでしょう?」

「ああ、まー、そうだけどさ…」

やっぱりね!
わたしは「むっ」としたが、それに気付く様なブランドンではない。
彼は乱される事無く、神妙に胸の内を話した。

「俺、エリーを虐める為に、おまえがチーム作って、試合に出たと思ったら、
カッとしちまって…神聖な大会を穢された気がしてさ…」

「ふん!エリーをチームに入れたのはあなたじゃない!
わたしは当日まで、知らなかったわよ!」

ベンチにエリーを見つけて、どれだけ驚いたと思ってんの!
わたしは命一杯、睨み付けたが、ブランドンは気付いていないのか、
眉を下げ、しきりに赤色の髪を掻いていた。

「だよなー、けど、なんか、そう思っちまったんだ…俺って、馬鹿だよなー」

わたしは澄ました顔をして流したが、内心では大きく頷いていた。
ええ、馬鹿ね。

「考えてみれば、試合を駄目にしたのは、俺たちの方だよな…
酷い試合しちまった…自分が情けないぜ…」

逞しい肩を落とすブランドンは、鮭を取り逃がした熊の様に見え、
流石に少し気の毒になってきた。

騎士を目指しているブランドンにとって、《正々堂々》が《正義》なのだろう。
自己嫌悪が滲み出ている。

「この間、おまえが言った事も、正しいよな…
危険球なんて、珍しくもねーし、エリーだったら防御出来たよな、
咄嗟の事で出来なかったんだと思うけど…
それでも、誰かがフォローすりゃいい話で、それがチームってもんだよな」

エリーが防御出来なかったのが、『咄嗟だったから』ですって?
ふん!どうかしらね!
エリーの事で、ブランドンを気の毒に思う気持ちも吹き飛んでしまったわ!

「おまえにも、《百花繚乱美しき薔薇》チームにも、本当に申し訳なかった!」

ブランドンが再び深く頭を下げた。

「ドレイパー!いい加減に許してあげてよ!」

パトリックが『我慢できない!』とばかりに、赤い顔で割り込んできた。
ええ、分かっているわよ!
パトリックは、《百花繚乱美しき薔薇》って、大声で連呼されたくないだけでしょう!

「分かって貰えたならいいわ、今回の事は、お互い水に流しましょう。
雪辱は次の大会で晴らせば良いもの。
友情復活でいい?」

ブランドンは顔を上げ、大きな笑みを見せた。

「ありがとう!おまえって、イイ奴だよな!友情、万歳!!」

イイ奴と思われるのは不本意だけど…
これも、ブランドンルートを阻止する為よ!
この位、いいわよね?

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