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◇◇ リアム ◇◇

愛する者との板挟みに苦しんだリアムは、結局、アドリーヌに一度会いに行く事にした。
父や家族に疑われない様、リアムは週末を、夏に使うフォーレ家の別邸で過ごす事にした。
訪れた時にはいつも、町を隅々まで見て周り、教会で話を聞き、施設等を訪問していた。
週末をいつも通りに過ごしたリアムは、馬に乗り、館へは戻らず、
そのまま手紙に書かれた住所へと向かった。

別邸からは馬で二時間程度だった。

村から少し離れた場所に、その館は建っていた。
高い塀に囲まれた古い館で、ベルトラン男爵の館よりは小さいが、十分に立派に見えた。
ただ、手入れが行き届いていないのか、至る所に蔦が蔓延り、庭も雑草で荒れている。

リアムは馬を降り、錆びれた正門を潜った。
良さそうな木に馬を括り、玄関に向かうと、メイドが現れた。

「フォーレ伯爵子息のリアムです、アドリーヌに会いに来ました」

通された先はパーラーで、ソファに座るアドリーヌの姿を目にした途端、
漸く会えた喜びに、リアムは彼女の名を呼んでいた。

「アドリーヌ!」

アドリーヌは振り返り、リアムを見て、その紫色の目を大きく見開いた。
そして直ぐさまソファから立ち上がると、リアムの胸に飛び込んで来た。

「ああ!リアム!来てくれたのね!」
「アドリーヌ、遅くなってすまない、大丈夫だったかい?」

アドリーヌは「わっ」と、泣き出した。
リアムは彼女を宥め、ソファへと促した。

アドリーヌは今までとは違い、質素な、町娘が着る様なワンピースを纏っていた。
宝石品も無く、自慢の美しいブルネットにも艶が無く…窶れた様に見えた。
それ程、悲しみの中にいたという事か___
リアムは彼女の心中を思い、胸が痛んだ。

「父が勝手に婚約を破棄してしまったんだ、父は君に会う事も許してくれない…
君と一緒になるなら、フォーレ家を出ろと言われたよ…」

もし、アドリーヌがそれを望むなら、リアムはそうしようと考えていた。
全てを捨てる事に未練が無い訳では無かったが、
このまま、アドリーヌを放って置く事は出来無かった。
婚約までした愛しい女性だ___

「でも…それでは、あなたは、伯爵になれないでしょう?」

「ああ、名を捨てる事になるからね、
貴族では無くなるけど、それは君もだし、気にする事は無いよ」

ベルトラン男爵家は爵位を剥奪され、財産も全て没収となった。
今のアドリーヌは男爵令嬢ではなく、平民に過ぎなかった。
元々、貴族社会を嫌っていたリアムにとっては、その事は構わなかった。
未練があるのは、家族や仕事の事だ___

「それは駄目よ!」

アドリーヌが強く言い、リアムは意識を戻した。

「あなたをそんな酷い目に遭わせる事は出来無いわ!
あなたは伯爵になるべき人よ!あなた以外、誰がフォーレ家を継げるというの!?
あなた程、優秀で伯爵に相応しい方はいないわ!」

「だが、それでは、僕たちは永遠に結ばれない…」

「そんな事は無いわ…」

アドリーヌはリアムの胸を撫でた。

「あなたが伯爵になれば、もう、反対出来る者はいないでしょう?」
「僕が伯爵を継ぐのは、ずっと先の事だよ、今回の事があって、父も考え直すかもしれない…」
「ずっと先でも、私は待つわ…だって、あなたを愛しているんだもの」
「アドリーヌ…君は、本当にそれでいいのかい?」

アドリーヌは二十一歳だ、結婚適齢期の女性を、約束もせずに待たせる事は出来無い。
だが、アドリーヌはいつもの様に、魅力的な笑みを浮かべた。

「勿論よ、あなたを愛しているもの」
「ありがとう、アドリーヌ、僕も君を愛している…」

アドリーヌの為に、早く伯爵を継がなければいけない。
それには、立派な仕事をし、伯爵に相応しいと父に認めて貰わなければ…
リアムの胸に熱意が蘇った。


帰り、アドリーヌは玄関まで出て、リアムを見送ってくれた。

「財産を全て取られてしまったのよ、こんな恰好をあなたに見られるなんて恥ずかしいわ…」

普段の豪華な衣装では無いが、下層階級の者を見慣れているリアムには、
恥ずかしい姿とまでは思わなかった。
それに、この状況で豪華に着飾っていたら、その方が不自然だろうし、
人々から悪感情を持たれ兼ねない。

「僕は恥ずかしいとは思わないよ、どんな恰好をしていても、君の美しさは変らない」
「そう言ってくれるのは、あなただけよ…皆、私を蔑んでるわ…」
「そんな事は無いよ、君の考え過ぎだよ、アドリーヌ」

リアムはアドリーヌを励ましたが、彼女は聞き入れず、リアムに縋った。

「お願いよ、リアム、少しでいいの、援助をして欲しいのよ。
あなたは皆に援助をしているでしょう?それを私にも回して欲しいの…
そうでなければ、私、とても生きていけないわ…」

リアムは気の毒に思いながらも、下層階級の者を見て来ている為、
それ程逼迫した状態に見えなかった。ただ、今までと違い過ぎる環境で、
順応出来ないでいるのだろう…という事は分かった。
だが、それは果たして、金で解決出来る事だろうか?

それに、援助をするには、伯爵の許可を必要だった。
それは絶対に望めないだろう。

「援助をするには、伯爵の許可がいる…父は許可しないだろう。
それに、この生活は一時的なものだよ、最初は辛いかもしれないが、
君なら順応出来るよ、君は賢いし、逆境に強い女性だ」

リアムは力強く言ったが、アドリーヌの表情が明るくなる事は無かった。

「そ、そうね…でも、お金が無いというのは、それだけで不安になるものなのよ…」

「問題があれば言って欲しい、僕が力になるよ、アドリーヌ」

リアムはアドリーヌを励まし、館を出た。



◇◇ オベール ◇◇


フォーレ伯爵オベールは、自慢の息子リアムが「結婚したい女性がいる」と
言い出した時には喜んだが、連れて来た女性を見て、酷く落胆したのを覚えている。

ベルトラン男爵令嬢、アドリーヌ。
彼女は類稀なる美貌の持ち主だった。
その事はまだ良かったが、派手な化粧、スタイルを際立たせる魅惑的なドレス、
そして、これ見よがしの宝飾品…

何て、品の無い娘だ___

息子がこの様な、品性に欠けた、軽薄な女性を選ぶとは…
自分はその様な教育をしてきただろうか?

フォーレ伯爵家では、代々、質素倹約を良しとしてきた。
フォーレ家の者は装いに然程金を掛けたりはしない。
それは、安ければ良いという訳では無く、良い物を買い、大事にし、
出来るだけ長く使うという事だ。

それで、周囲からは貯め込んでいると思われがちだが、そうでは無い、
価値のある事…領地整備や慈善事業には殊更金を掛けた。
ただ、浪費と思える物に対しては厳しかった。

そんなフォーレ家の当主であるオベールには、アドリーヌは対極の者に映った。
一目で虚栄心が強く、浪費家だと分かる。
その上、自分の美貌を承知していて、【女】である事も利用している。
あれは、ずる賢く、男を意のままに操ろうとする魔性の女だ___

尤も、リアムに変った様子は見られないので、そこまで操られてはいないかもしれない。

リアムは事ある毎に、アドリーヌの話をし、彼女を称賛した。
孤児院から迷子になった子供を連れて来た。
孤児院に寄付をした。
孤児院の子供たちに、町の子供たちと同じ食事を与える様提案した…等々。

リアムの話を聞いている間は、アドリーヌはリアムの妻としても、伯爵夫人としても、
相応しい者の様に思えた。
だが、本人を前にすると、どうしても、一致しない。

アドリーヌは、確かに頭は良い。口も上手く、おべんちゃらが上手い。
だが、アドリーヌが他人を思いやる所など、見た事が無い。
一度でも、貴族の者以外に対し、優しい言葉を掛けた事があっただろうか?

不審に思いながらも、あまりにリアムが言うので、暴走されてもいけないと、
結婚までは清い関係でいる事を条件に、アドリーヌの婚約を許可してしまった。
だが、それが間違いだった___

オベールは、自分が判断を誤ってしまった事を後悔した。
その所為で、危うく、フォーレ伯爵家の名に傷を付ける所だったのだ。

アドリーヌの父ベルトラン男爵パトリックが、酷い悪党だという事が、この度露見した。
宰相と繋がり、その後ろ盾を貰い、異国から薬を仕入れ、美術品に隠し、
貴族たちに売っていた。
他にも、女性を薬漬けにして身を売らせていたとか、異国に売っていたとか…
ベルトラン男爵は、その爵位に似合わず大金を持ち、羽振りが良かったが、
そういった裏があったのだ。

ベルトラン男爵と親しい者は皆疑われ、調べられた。
娘アドリーヌの婚約者であるリアムは、当然の事だが、最も疑わしい立場だった。

貴族嫌いで、これまでパーティ等には顔を出さなかったリアムが、
アドリーヌと親しくなってから、積極的に顔を出す様になった事も、疑惑を招いた。

リアムが後暗い事をしていないのは、オベールには直ぐに分かった。
ベルトラン男爵が捕まった事を話した時も、リアムは自分を蚊帳の外に置いていた。
自分が疑われるなど、微塵も考えていなかったのだ。
その呑気さには呆れるが、それだけ真面目で清廉潔白だという事だ。
喜ぶべきか、もう少し視野を広く持てと叱るべきか…悩む所だ。

この事は、オベールにもリアムにも教訓になったと思い、溜飲を下げたのだが…

リアムは違った。
呆れる事に、リアムはアドリーヌの本性に未だ気付いていない。
彼女を、《父親に翻弄された可哀想な女性》と位置付け、世の理不尽に怒り、
自分が騎士となり、守ろうとしている___

「心掛けは良いのだが…」

正義感が強く、曲がった事が嫌いというのは、褒めるべき所だが、
違った方向にいくと、厄介なものだ。
オベールは額を押さえた。

「早く目を覚まさせてやらんといかん…」

アドリーヌは疑わしいというだけで、刑は免れたが、オベールには限り無く黒に見えた。
このままでは、リアムはそれとは気付かない内に、犯罪に加担させられるかもしれない。
そうなれば、本当に、リアムを失ってしまうだろう___

リアムを守る為にも、アドリーヌへの気持ちを断ち切らせなければならない。
それには…

「新しい《女神》が必要だな___」


◇◇


リアムに新しい婚約者を…と考えていたオベールは、
手始めに、貴族たちが集まるパーティに顔を出してみる事にした。

普段、オベールは浮かれた場を嫌い、どうしても外せない席以外は、
顔を見せる事は無かったので、酷く久しぶりの事だった。

ふらりと訪れたオベールに、周囲は群がった。
その理由は、他でもない、リアムの事だった。
皆、考える事は一緒で、ベルトラン男爵が失脚したと聞き、
この機に乗じて「子息に自分の娘を!」と、挙って売り込んで来た。

あんな事があったというのに、リアムは余程評判が良いらしい…
オベールは半ば感心、半ば呆れていた。

「フォーレ伯爵、ご子息はどうされていますかな?」
「最近、社交界で見掛けない様ですが、さぞ気を落とされている事でしょう」
「私の娘も心配しております」
「私の娘も毎日の様に、子息の話をしておりますぞ!」
「いや、私の娘こそ!」

争いを始める始末で、これは少し計算違いだと、オベールは内心嘆息した。
それで、「どういう娘だ」と試しに聞いてみたが…

「それはもう、器量が良く、素晴らしい娘ですぞ!」
「私の娘は、それはもう、厳しく躾けておりますので!」
「私の娘もです!教養がありますし、伯爵夫人に相応しいでしょう!」

その一辺倒の答えにうんざりした。
悪くは無いが、だからといって、興味を引かれる訳でも無い…
「これは難航しそうだ」と、辟易するオベールに、
見掛けない柔和な顔をした、自分と同じ年頃の男が、静かに寄って来た。

一連の騒動を眺めてから、何食わぬ顔で寄って来るとは、人が悪いのか、
策士なのか、ただの呑気者か…
オベールは素知らぬ振りをし、相手の出方を待った。

「初めましてでしょうか、私はルメール伯爵、ドミニクと申します」

ルメール伯爵…
オベールはその名に聞き覚えがあった。

十年位前だが、一時期、周辺の貴族の間で話題になっていた事があった。
確か、子供が不幸に遭い、母親がおかしくなったとか…
それから、社交の場には、ほとんど姿を見せ無くなったらしい。
だが、オベール自身、社交の場には滅多に出無いので、
その後どうなっているのかは知らなかった。見る限り、元気そうだ。

「初めましてですな、フォーレ伯爵、オベールです」
「少しよろしいでしょうか?フォーレ伯爵」
「ええ、ルメール伯爵は何を飲まれますかな?」

オベールがグラスを掲げると、ドミニクは笑みを見せた。

「いえ、娘が心配しますので、止めておきましょう」
「それでは、あなたも娘の売り込みですかな?」

てっきり、子供は亡くなったとばかり思っていた。
社交界での噂はあてにならないと、オベールは内心で苦笑した。

「ええ、実はそうなんですよ、御子息が破談された事を知り、
居ても立ってもいられず、こうして数年ぶりに表に出て来た訳です」

ドミニクは穏やかで、ゆったりと話す。ユーモアもある様だ。
他の貴族たちとは一風違うこの男に、オベールは興味を持った。

「それ程、うちの息子は良いですかね?
親の私から見ると、呆れる程未熟者ですが…今回の件もご存じでしょう?
お恥ずかしい事です。
ルメール伯爵の娘ならば、私の息子よりも、もっと良い相手もおられるでしょう」

オベールは相手がどう答えるか、入念に観察していた。
ドミニクは柔和な表情を崩さなかった。

「私にも息子がいましてね、親から見れば息子というのは、未熟なものですな。
ですが、その分、期待出来るという事でしょう?
私も、息子は私以上の伯爵になると見ていますよ」

「成程」とオベールは頷く。
ドミニクは、ただの呑気者では無い様だ。


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