風が吹く丘

涙のわけ

彼女に抱きしめてられる。

二人とも裸、互いの胸が重なり合う。

男とでは絶対に味わえない気持ちよさだ。

彼女がそっとくちびるを重ねる。

すごく優しくて、柔らかい。気持ちいい。

そう感じた時、言いようのない背徳感に襲われる。

私はホントにこうなる事を望んでいるの？

男に振られたから、その代用で彼女と寝るの？

彼女が優しくしてくれる、甘えてるだけじゃないの？

訳がわからなくなってしまう。

自然に涙が出る

彼女はキスを止めて、私を見つめる。

あけみ「やっぱ無理みたいダネ、今日はもう寝ましょう」

私は彼女に背を向けて泣いた。

彼女を傷つけてしまったかもしれない。

そう思うと余計に涙は止まってくれなくなった。

彼女はそんな私を優しく抱きしめてくれる。どこまで優しいんだろう。

涙が止まらない、声を上げ、子供のように泣いた。

翌朝、私はそっとベットから抜け出し彼女には何も告げず、マンションを出る。
彼女は私に対してだけかどうかはわからないが優しくしてくれる。
その優しさに私は戸惑う。

私はどうしたらいいのかわからない。


その日は頭の中が混乱して、何も手につかなかった。
彼女あけみさんは私を好きなの？

わからない。好きって言われてない。

あけみさんからLINEが来た。

あけみ「ごめんなさい、あなたに嫌な思いさせてしまったね。あんな事もうしないから」

悪いのは私なのに、あけみさんは優しすぎる。

また涙が出てきてしまう。

翌日、出社した時、偶然あけみさんとエレベーターが一緒になった。

私を見つけた瞬間、優しく微笑んでくれた。

でも私は目を逸らしてしまった。

あぁ、またあけみさんを傷つけてしまった。

自分の行動が許せなかった。

私はあけみさんとどうなりたいの？

もう接点も持ちたくないの？

傷つけたいの？

頭の中、昨日から整理できてない。

涙が出てしまう、同僚が心配してくれた。

今日は早退させてもらう事になった。

帰ろう、どうしたらいいかわからない。とりあえず帰って考えよう。

帰り道、なぜか涙が出て帰り着くまで止まらなかった。