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猫耳っ娘とのそれなりの日常
#6 どうぞ、お召し上がれ
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ツイッターにてカドルサムのイラストを頂きました。
しばらくの間、表紙絵とさせていただきます。
♢♦︎♢♦︎
女性は''ランダ''と名乗った。長年この村で茶屋を一人営んでおり、やがてはこの茶屋を城下町に出店したいという夢を持っているらしい。そこで彼女は俺に対してこの店一押しのお茶を飲んでみてほしいと申し出てきたので、一杯淹れてもらうことになった、そうして今に至る。
『……こちらが当店一押しのお茶になります。どうぞ心ゆくまで、おくつろぎ下さい』
「あっ、ありがとうございます」
ランダさんは小さく頭を下げながら、俺のすぐ真横にお盆をそっと置いた。お盆の上には丁寧にも暖かい湯気を立てる湯呑みとクッキーが添えられている。すかさず感謝の意を込めて頭を下げるとランダさんは、はにかんだような笑み浮かべ、そそくさと店の奥へと歩いていった。
「カドルサムは一体いつになったら起きるんだろう……」
そんなことを呟きながら、隣のベンチで横たわるカドルサムに視線を注ぐ。口元をちょっくら緩め、寝返りを打つ彼女はなんだか気持ち良さそうだ。それに尻尾が波打つように振れている。楽しい夢でも見ているんだろうなぁ……。
湯呑みを手に取ってお茶を飲む。胸の中心が温まったような感覚がほんのりと残ったまま、すかさずクッキーを食べた。お茶の苦味とクッキーの甘みが口の中で程よく入り混じってとても美味しい。
「カドルサムは……そっか、まだ寝てるんだった」
こういうとき、食い意地が張っているカドルサムは喉を鳴らして寄ってくるんだけどな……。いつもの騒々しさというものがなくて、うっすら物足りなさを感じる。
とはいえ、眠っていたとしてもその食い意地は健在なのでは?と思った俺はクッキーを手に取った。そうしてわざと匂いが立つようにクッキーを二つに割って、片方を彼女の鼻の前へとそっと近づけていくーー
くんかくんか……。
彼女の鼻が僅かながらに動いているのが分かる。あれ? これってビンゴなんじゃねと思った俺は試しに彼女からクッキーを遠ざけてみた。すると、彼女もクッキーの後を追うようにしてベンチから身を乗り出した。
ーーーーー
じゃあ、これならどうだ!!
ークッキーを持っている手を右にやった
▶カドルサムは右の方向に身を乗り出した!!
ーーーーー
こっ、これなら……!!
ー彼女が届かない位置へ手をやった
▶カドルサムは真上に背伸びをした!!
ーーーーー
右左右下左右上下左右上右っ……!!
ー思い浮かぶ限り適当に手をやった
▶後に続いて右左右下左右上下左右上右っ……!!
ーーーーー
「ーーなんだかウサギに餌付けをしてる気分だな」
ふと、クッキーを手で覆い隠して息をついた。結論からいえば、疲れたのである。そのまま乱れた呼吸を整えながら崩れ落ちるようにベンチへと座り込んだ。
よく分かんないけど食い意地が張っていることだけは確かだ……と脈打つ全身を休ませようと店内を見回していると、店の奥にある入口からランダさんが息を殺してこちらを視線を送っていたことに気がつく。彼女の手が覆い隠す口先からは、笑いが溢れる数秒前だった。
「……えっと、どのあたりから見ていたんですか?」
「そうですね、クッキーを二つに割ったあたりからです」
そんな前から見られてたの!? と恥ずかしさに顔を真っ赤に染め、声を荒げた俺。その膝の上ではカドルサムがはむはむとクッキーを頬張っていた。
♢♦︎♢♦︎
珍しくあとがき
右上左っ……!!ってひたすらに書いているとき、小学生の頃にやったゲームのコマンドを実行するためのボタン操作みたいだったのでなんだか面白かったです。
しばらくの間、表紙絵とさせていただきます。
♢♦︎♢♦︎
女性は''ランダ''と名乗った。長年この村で茶屋を一人営んでおり、やがてはこの茶屋を城下町に出店したいという夢を持っているらしい。そこで彼女は俺に対してこの店一押しのお茶を飲んでみてほしいと申し出てきたので、一杯淹れてもらうことになった、そうして今に至る。
『……こちらが当店一押しのお茶になります。どうぞ心ゆくまで、おくつろぎ下さい』
「あっ、ありがとうございます」
ランダさんは小さく頭を下げながら、俺のすぐ真横にお盆をそっと置いた。お盆の上には丁寧にも暖かい湯気を立てる湯呑みとクッキーが添えられている。すかさず感謝の意を込めて頭を下げるとランダさんは、はにかんだような笑み浮かべ、そそくさと店の奥へと歩いていった。
「カドルサムは一体いつになったら起きるんだろう……」
そんなことを呟きながら、隣のベンチで横たわるカドルサムに視線を注ぐ。口元をちょっくら緩め、寝返りを打つ彼女はなんだか気持ち良さそうだ。それに尻尾が波打つように振れている。楽しい夢でも見ているんだろうなぁ……。
湯呑みを手に取ってお茶を飲む。胸の中心が温まったような感覚がほんのりと残ったまま、すかさずクッキーを食べた。お茶の苦味とクッキーの甘みが口の中で程よく入り混じってとても美味しい。
「カドルサムは……そっか、まだ寝てるんだった」
こういうとき、食い意地が張っているカドルサムは喉を鳴らして寄ってくるんだけどな……。いつもの騒々しさというものがなくて、うっすら物足りなさを感じる。
とはいえ、眠っていたとしてもその食い意地は健在なのでは?と思った俺はクッキーを手に取った。そうしてわざと匂いが立つようにクッキーを二つに割って、片方を彼女の鼻の前へとそっと近づけていくーー
くんかくんか……。
彼女の鼻が僅かながらに動いているのが分かる。あれ? これってビンゴなんじゃねと思った俺は試しに彼女からクッキーを遠ざけてみた。すると、彼女もクッキーの後を追うようにしてベンチから身を乗り出した。
ーーーーー
じゃあ、これならどうだ!!
ークッキーを持っている手を右にやった
▶カドルサムは右の方向に身を乗り出した!!
ーーーーー
こっ、これなら……!!
ー彼女が届かない位置へ手をやった
▶カドルサムは真上に背伸びをした!!
ーーーーー
右左右下左右上下左右上右っ……!!
ー思い浮かぶ限り適当に手をやった
▶後に続いて右左右下左右上下左右上右っ……!!
ーーーーー
「ーーなんだかウサギに餌付けをしてる気分だな」
ふと、クッキーを手で覆い隠して息をついた。結論からいえば、疲れたのである。そのまま乱れた呼吸を整えながら崩れ落ちるようにベンチへと座り込んだ。
よく分かんないけど食い意地が張っていることだけは確かだ……と脈打つ全身を休ませようと店内を見回していると、店の奥にある入口からランダさんが息を殺してこちらを視線を送っていたことに気がつく。彼女の手が覆い隠す口先からは、笑いが溢れる数秒前だった。
「……えっと、どのあたりから見ていたんですか?」
「そうですね、クッキーを二つに割ったあたりからです」
そんな前から見られてたの!? と恥ずかしさに顔を真っ赤に染め、声を荒げた俺。その膝の上ではカドルサムがはむはむとクッキーを頬張っていた。
♢♦︎♢♦︎
珍しくあとがき
右上左っ……!!ってひたすらに書いているとき、小学生の頃にやったゲームのコマンドを実行するためのボタン操作みたいだったのでなんだか面白かったです。
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