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自分に出来る事、自分にしか出来ない事です♪
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(私に出来る事、私にしか出来ない事)
コーナーキックを防いだフローラルは、そのあと何回もスクラッチのゴールに迫った。
だが、試合巧者のスクラッチは慌てることなくシュートに対応する。まだまだ余裕のある証拠だった。志保は何度もドリブルで仕掛けたり色んな攻撃を試してみたりするがスクラッチのディフェンスを崩せない。
スタミナは無尽蔵のように動き回りプレッシャーをかけ、時折繰り出される鋭いカウンターを見せるスクラッチ。
(残り時間2分を切っているのにまだ集中力が続いてる。ジャンルは違っても、やっぱり凄い選手だった人達が集まっただけあるな。でも私達も負けてないはず)
スクラッチメンバーの集中力に思わず脱帽する志保。しかし、このまま手を拱いている訳にはいかない。フローラルはこの試合に懸けている。恐らく次の試合からは全員のスタミナが切れて試合にならないだろう。
(どうすれば……)
ボールをキープしながら周囲の状況を確認すると亜紀と目があう。すると亜紀が軽く顎を振って、志保に(こっちに動いて)と指示を出してきた。軽くフェイントを入れて、亜紀の指示通りの方向にダッシュで動き出した。
だが、やはり奈央のマークは外せない。しっかりドリブルコースもパスコースも潰される。
その時だった。亜紀が動き出し、わざとらしくないように奈央の進路を塞いでぶつかった。
「あっ、ごめんなさいですわ」
バスケで言うスクリーンプレイ。味方が相手を押さえ込んでマークを外す。亜紀とぶつかった奈央は進路を邪魔され志保についていけなくなった。
★★★★★
(私は私の出来ることをしますわ)
亜紀は自分の出来る事を試合中にずっと考えていた。残念ながら自分の技術ではスクラッチのディフェンスを崩す事は出来ない。ならばフローラルで1番得点の可能性がある志保を生かす。それがいまの自分に出来る事。そう思った亜紀は身体を張って志保を生かす方法を取った。
亜紀は試合では得点した事がない。練習では何度かゴールを決めた事はあったが、試合では全く決めきれないでいる。エースは自分だ。自分が得点を決める事が出来ないからフローラルは勝てない。ずっとそう思っていた。
(私に志保さんの技術の半分でもあれば……)
そう思わずにはいられなかった。しかし、ここで悔やんでもすぐに志保の技術が身に付くはずもない。ならば今の自分でも出来る事をフローラルの勝利の為に。残り少ない時間、亜紀は力を全て出し尽くす事を心に誓った。
★★★★★
(僕に出来る事。僕に出来る事は少ない。でも、力になりたいの)
志保が奈央のマークを外した事を確認した柚季は、その場からダッシュをして移動する。すると柚季に引っ張られるようにスクラッチの聡美が追ってきた。
技術もなく競り合いにも弱い。ならば自分に出来る事は少しでも志保が自由に動けるスペースを作る事。パスを要求してスクラッチの選手達の注意をこちらに引く。普段あまり大きな声を出す事のない柚季が必死に大声を出し色んな場所に移動する。
(僕に亜紀ちゃんぐらいのキープ力があれば……)
自分に亜紀ぐらいボールを保持出来る力があったら。いや、亜紀ぐらいの身長があればもっと戦術に幅が広がるはず。フットサルはサッカーと違ってコートが狭い為、スピードしか取り柄のない自分にはどちらかと言えば不向きなスポーツ。ならば少しでも勝利の為に自分が出来る事を。疲労で震える膝を強い意志で押さえ込み、柚季はコート内を縦横無尽に走り回った。
★★★★★
(私がこのチームのキャプテンなんだ。みんなを支えるのは私にしか出来ない事)
亜紀の頭脳プレーで完全にフローラルの攻撃のスイッチが入った。柚季が相手のゴール前で動き回って完全にスクラッチの守備を崩している。ならば自分はと理沙は志保のフォローに入る。
キャプテンである事にコンプレックスを感じていた。フットサルどころかサッカーのルールさえ曖昧で技術もない。
こんな自分がキャプテンをしていて良いのかと何回も自問した。何も文句を言わずに自分に着いて来てくれる志保達の期待に答えたいと強く思っている。
(自分に柚季ぐらいの速さがあれば……)
スピードがあればもっと早くみんなのフォローにいける。
しかし、そのスピードが足りないためにみんなのフォローに素早く入れない。だったら少しでも早く展開を予測してみんなのフォローに入るしかない。自分の能力をフルに生かして理沙は志保達のフォローに入った。
コーナーキックを防いだフローラルは、そのあと何回もスクラッチのゴールに迫った。
だが、試合巧者のスクラッチは慌てることなくシュートに対応する。まだまだ余裕のある証拠だった。志保は何度もドリブルで仕掛けたり色んな攻撃を試してみたりするがスクラッチのディフェンスを崩せない。
スタミナは無尽蔵のように動き回りプレッシャーをかけ、時折繰り出される鋭いカウンターを見せるスクラッチ。
(残り時間2分を切っているのにまだ集中力が続いてる。ジャンルは違っても、やっぱり凄い選手だった人達が集まっただけあるな。でも私達も負けてないはず)
スクラッチメンバーの集中力に思わず脱帽する志保。しかし、このまま手を拱いている訳にはいかない。フローラルはこの試合に懸けている。恐らく次の試合からは全員のスタミナが切れて試合にならないだろう。
(どうすれば……)
ボールをキープしながら周囲の状況を確認すると亜紀と目があう。すると亜紀が軽く顎を振って、志保に(こっちに動いて)と指示を出してきた。軽くフェイントを入れて、亜紀の指示通りの方向にダッシュで動き出した。
だが、やはり奈央のマークは外せない。しっかりドリブルコースもパスコースも潰される。
その時だった。亜紀が動き出し、わざとらしくないように奈央の進路を塞いでぶつかった。
「あっ、ごめんなさいですわ」
バスケで言うスクリーンプレイ。味方が相手を押さえ込んでマークを外す。亜紀とぶつかった奈央は進路を邪魔され志保についていけなくなった。
★★★★★
(私は私の出来ることをしますわ)
亜紀は自分の出来る事を試合中にずっと考えていた。残念ながら自分の技術ではスクラッチのディフェンスを崩す事は出来ない。ならばフローラルで1番得点の可能性がある志保を生かす。それがいまの自分に出来る事。そう思った亜紀は身体を張って志保を生かす方法を取った。
亜紀は試合では得点した事がない。練習では何度かゴールを決めた事はあったが、試合では全く決めきれないでいる。エースは自分だ。自分が得点を決める事が出来ないからフローラルは勝てない。ずっとそう思っていた。
(私に志保さんの技術の半分でもあれば……)
そう思わずにはいられなかった。しかし、ここで悔やんでもすぐに志保の技術が身に付くはずもない。ならば今の自分でも出来る事をフローラルの勝利の為に。残り少ない時間、亜紀は力を全て出し尽くす事を心に誓った。
★★★★★
(僕に出来る事。僕に出来る事は少ない。でも、力になりたいの)
志保が奈央のマークを外した事を確認した柚季は、その場からダッシュをして移動する。すると柚季に引っ張られるようにスクラッチの聡美が追ってきた。
技術もなく競り合いにも弱い。ならば自分に出来る事は少しでも志保が自由に動けるスペースを作る事。パスを要求してスクラッチの選手達の注意をこちらに引く。普段あまり大きな声を出す事のない柚季が必死に大声を出し色んな場所に移動する。
(僕に亜紀ちゃんぐらいのキープ力があれば……)
自分に亜紀ぐらいボールを保持出来る力があったら。いや、亜紀ぐらいの身長があればもっと戦術に幅が広がるはず。フットサルはサッカーと違ってコートが狭い為、スピードしか取り柄のない自分にはどちらかと言えば不向きなスポーツ。ならば少しでも勝利の為に自分が出来る事を。疲労で震える膝を強い意志で押さえ込み、柚季はコート内を縦横無尽に走り回った。
★★★★★
(私がこのチームのキャプテンなんだ。みんなを支えるのは私にしか出来ない事)
亜紀の頭脳プレーで完全にフローラルの攻撃のスイッチが入った。柚季が相手のゴール前で動き回って完全にスクラッチの守備を崩している。ならば自分はと理沙は志保のフォローに入る。
キャプテンである事にコンプレックスを感じていた。フットサルどころかサッカーのルールさえ曖昧で技術もない。
こんな自分がキャプテンをしていて良いのかと何回も自問した。何も文句を言わずに自分に着いて来てくれる志保達の期待に答えたいと強く思っている。
(自分に柚季ぐらいの速さがあれば……)
スピードがあればもっと早くみんなのフォローにいける。
しかし、そのスピードが足りないためにみんなのフォローに素早く入れない。だったら少しでも早く展開を予測してみんなのフォローに入るしかない。自分の能力をフルに生かして理沙は志保達のフォローに入った。
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