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敗因はこんな理由です♪
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「今日は凄い疲れたね……さすがに足が重い」
珍しく舞が弱音を口にする。今まで弱音を吐かずいつでも私の隣を走り、声を出してみんなを引っ張ってきた。
そんな舞の口から弱音が出る姿を見た志保は
(舞さんでも弱音を吐くんだ)
そう思いながら「私もさすがに今日は疲れたよ」と舞に同調した。しかし、志保と舞以外のメンバーは歩くのもやっとの姿で脚を引きずっている。
「絶対にこいつら人間じゃない」
「その意見には激しく同意いたしますわ」
(コクコク)
理沙が膝をガクガク揺らしながらそう言うと、今にも倒れそうな亜紀と柚季が頷いた。
亜紀達の前を歩いていた志保が突然振り返り、怪しい目で亜紀と柚季を見る。
「これからは私がボールを運ぶからね。良いパスを送るから、絶対に決めてね」
そう言いながら怪しく光る志保の目に震え上がる2人。
「ちょ、ちょっと目が恐いですわ、志保さん」
だが、そんなやり取りを全く気にせずに理沙は別のことを考えていた。
(私にゲームメイクなんて出来るのか? 守備の要だし、大丈夫なのか?)
理沙が健の説明を思い出してみる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うちのチームとの試合、何で君達は負けたか。1番の理由は志保ちゃんを1番後ろのポジションに置いたこと」
この健の言葉に理沙が、そして志保が噛み付いた。
「なんでなんですか? 志保が1番後ろにいないと守備も不安になるし、何よりパスが回らなくなる可能性があるじゃないですか」
「私はあの時、みんなの動きを見てちゃんとフォローしてゲームを作って、守備も一生懸命したもん」
2人の必死の抗議を健は右から左へと受け流す。
そして「誰も駄目だったなんて言ってない」とフォローを添えた。
「でもね、一番上手い志保ちゃんが自陣のゴールに1番近い所にいるから取られた時にはすぐに致命的になる。正直、理沙ちゃん、亜紀ちゃん、柚季の3人にはまだまだトラップもドリブルも不安がある。マークも外せてないしね。それを打開しようとすると志保ちゃんがどうしても一回仕掛けないといけない。俺があいつらに授けた作戦はそれだったの。
メンバーたちの目をしっかり見ながら健が5人に説明する。
「マークの上手い奈央さんが志保ちゃんに付く。すると志保ちゃんは苦し紛れのパスしか出せない。苦し紛れのパスならうちの選手がカットする確率も増えるし、理沙ちゃん達がトラップミスする事も多くなる。志保ちゃんからボールが奪えればゴレイロの舞ちゃんとすぐに1対1だしね」
健の説明に志保も理沙も、メンバー全員が唖然とした。あの短い時間で的確に自分達の弱点を見抜き、勝利に繋がるように健は指示を出していたのだ。
試合を思い出せば思い当たる場面はたくさんある。舞が納得したように「なるほどね」と小さく呟いた。自分が失点したシーンは1対1の場面が多く、全員で守備をしている時には危ないシーンはほとんど無かった。個人個人の技術はスクラッチとの差はそこまで無い。むしろ志保がいる分だけフローラルに分がある気がする。
しかし、ボール支配率はスクラッチの方が多く、丁寧にボールを回されていた。試合慣れしているせいなのか、プレッシャーを受けても慌てずに自分の出来る事をしっかりやってボールを奪われない。1番後ろから試合を見ていた舞だからこそ気付くこともたくさんあった。舞が周りを見渡すともはや健の提案に反論する者は誰1人いなかった。
「んじゃ、明日からの練習はそれでやってね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
健の言葉を思い出し、理沙は大きくため息をついた。
珍しく舞が弱音を口にする。今まで弱音を吐かずいつでも私の隣を走り、声を出してみんなを引っ張ってきた。
そんな舞の口から弱音が出る姿を見た志保は
(舞さんでも弱音を吐くんだ)
そう思いながら「私もさすがに今日は疲れたよ」と舞に同調した。しかし、志保と舞以外のメンバーは歩くのもやっとの姿で脚を引きずっている。
「絶対にこいつら人間じゃない」
「その意見には激しく同意いたしますわ」
(コクコク)
理沙が膝をガクガク揺らしながらそう言うと、今にも倒れそうな亜紀と柚季が頷いた。
亜紀達の前を歩いていた志保が突然振り返り、怪しい目で亜紀と柚季を見る。
「これからは私がボールを運ぶからね。良いパスを送るから、絶対に決めてね」
そう言いながら怪しく光る志保の目に震え上がる2人。
「ちょ、ちょっと目が恐いですわ、志保さん」
だが、そんなやり取りを全く気にせずに理沙は別のことを考えていた。
(私にゲームメイクなんて出来るのか? 守備の要だし、大丈夫なのか?)
理沙が健の説明を思い出してみる。
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「うちのチームとの試合、何で君達は負けたか。1番の理由は志保ちゃんを1番後ろのポジションに置いたこと」
この健の言葉に理沙が、そして志保が噛み付いた。
「なんでなんですか? 志保が1番後ろにいないと守備も不安になるし、何よりパスが回らなくなる可能性があるじゃないですか」
「私はあの時、みんなの動きを見てちゃんとフォローしてゲームを作って、守備も一生懸命したもん」
2人の必死の抗議を健は右から左へと受け流す。
そして「誰も駄目だったなんて言ってない」とフォローを添えた。
「でもね、一番上手い志保ちゃんが自陣のゴールに1番近い所にいるから取られた時にはすぐに致命的になる。正直、理沙ちゃん、亜紀ちゃん、柚季の3人にはまだまだトラップもドリブルも不安がある。マークも外せてないしね。それを打開しようとすると志保ちゃんがどうしても一回仕掛けないといけない。俺があいつらに授けた作戦はそれだったの。
メンバーたちの目をしっかり見ながら健が5人に説明する。
「マークの上手い奈央さんが志保ちゃんに付く。すると志保ちゃんは苦し紛れのパスしか出せない。苦し紛れのパスならうちの選手がカットする確率も増えるし、理沙ちゃん達がトラップミスする事も多くなる。志保ちゃんからボールが奪えればゴレイロの舞ちゃんとすぐに1対1だしね」
健の説明に志保も理沙も、メンバー全員が唖然とした。あの短い時間で的確に自分達の弱点を見抜き、勝利に繋がるように健は指示を出していたのだ。
試合を思い出せば思い当たる場面はたくさんある。舞が納得したように「なるほどね」と小さく呟いた。自分が失点したシーンは1対1の場面が多く、全員で守備をしている時には危ないシーンはほとんど無かった。個人個人の技術はスクラッチとの差はそこまで無い。むしろ志保がいる分だけフローラルに分がある気がする。
しかし、ボール支配率はスクラッチの方が多く、丁寧にボールを回されていた。試合慣れしているせいなのか、プレッシャーを受けても慌てずに自分の出来る事をしっかりやってボールを奪われない。1番後ろから試合を見ていた舞だからこそ気付くこともたくさんあった。舞が周りを見渡すともはや健の提案に反論する者は誰1人いなかった。
「んじゃ、明日からの練習はそれでやってね」
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健の言葉を思い出し、理沙は大きくため息をついた。
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