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意外な選択です♪
しおりを挟む基礎練習が終わり、少しの休憩時間に入る5人。
「やっぱり監督とかコーチがいるのかな?」
志保がそう言ってぼそりと呟くと、隣でスポーツドリンクを飲んでいた理沙が
「うん、確かに必要かも。昨日の試合で戦術、戦略の重要性を思い知った」
と、ため息を付きながら相槌を打つ。
「あと、チーム名も」
「もの凄くどうでもいいことだな」
理沙が志保に冷たいツッコミを入れると、亜紀がタオルで顔を拭きながら2人の会話の間に割って入ってきた。
「理沙さん、チーム名はとても重要な議題ですわ。この私、相原財閥次期党首の相原亜紀が所属しているのですから。当然、それにふさわしいチーム名は必須であり、早急に決めるべきだと思いますわ」
「だよね、だよね。亜紀ちゃんもそう思うでしょ。ほら、理沙。亜紀ちゃんもこう言っているじゃない」
志保が亜紀に便乗してそう言うと。呆れて何も言えなくなる理沙。そこに柚季と舞も入ってきた。
「まあ、確かにコーチもチーム名も重要だから決めるなら早く決めたいよね」
(コクコク)
「そうなんだけど、コーチもチーム名も全くとっかかりがないのが問題なんだよな」
ため息を大きく1つ付く理沙。
「とりあえず、この議題は練習後にしよう。水分補給はみんな大丈夫?」
そう言って周りを見渡すと、亜紀だけがスポーツドリンクを持っていなかった。
心配になった志保が亜紀に聞いてみる。
「亜紀ちゃん、スポドリを忘れたの?」
志保がそう聞くと亜紀が高笑いをしだした。
「お~ほっほっほ。そんな何が入っているか分からない市販のスポーツドリンクなんて私の口にはあいませんわ。三橋!」
亜紀がそう言いながら手を2回叩いた。
「はい、こちらに用意しております」(プルプル)
いつの間にか志保と理沙の後ろに立っている老人。
「うぉ~びっくりした! なんでゆかり先生といい、みんなこういう登場の仕方なの?」
心臓を押さえつつ、志保と理沙が後ずさりする。舞と柚季も同じように驚いて2人で抱き合っていた。
「いつもながら良い手際ですわ。三橋」
「ありがとうございます」(プルプル)
三橋と呼ばれる老人が亜紀に頭を下げた。亜紀が手を挙げると三橋は「失礼します」と短く言って、その場を立ち去ろうとする。その瞬間、志保が声を上げた。
「あっ! 私達でチーム名が決められないなら第3者に決めてもらえばいいんだよ」
笑顔全開でドヤ顔を決める志保。突然の志保の提案にメンバー達からどよめきが起こる。
「第3者って、もしかして」
理沙がそう言って三橋に視線を移す。舞や柚季、亜紀までもが三橋に視線を移した。
指名を請けた当の本人、三橋は(何の事でございましょう?)と、そんな顔をしながらも、今にも頭が落ちそうなぐらいプルプルと震えていた。
「確かに……このままメンバーで話し合っていてもチーム名は決まりそうもないの」
「柚季ちゃんの言うとおりかもしれないね。なら、第3者にゆだねるのも面白いかもしれない。もちろん、全員が賛成する名前が出ればだけど」
柚季の意見に舞も同意する。そんな様子を見た理沙が亜紀に目配せを行うと、亜紀は理沙の目配せを理解し
「三橋。私達、フットサル部のチーム名を考えなさい。ここにいる5人が納得するような理由も説明しなさい」
そう言って三橋に命令した。顔色1つ変えずに三橋は無言のままプルプル震えている。
が、その沈黙はすぐに破られた。今までプルプルと揺れていた身体の震えが止まり、はっきりとした口調で喋りだした。
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