フットサル、しよ♪

本郷むつみ

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5人目候補の先輩です♪

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 次の日の昼休み、早速4人は遠藤舞の所へ向かった。どんな人柄かも分からない。
 鼻で笑われて追い返されるかも知れない。そんな不安を理沙は首を振って追い払った。

(ダメで元々。話を聞くだけだし、大丈夫だ)

 舞の教室に着いた4人は舞の姿を探したが、その姿は見当たらなかった。

「見当たらないな」

(コクコク)

 自分の言葉に柚季が同意してくれる。

「仕方がないですわ。誰かに聞いてみましょう。ランチの時間は限られて……」

 教室を覗く亜紀がそう言いかけると

「あの~すいません。遠藤舞先輩を探しているんですけど、どこにいるか知りませんか?」

 と、志保が2年生の教室に入り込み、すでに舞の所在を聞き始めていた。
 その姿を見た亜紀と柚季は驚きで言葉が出なくなった。

「あ、あの方は遠慮とか配慮などの言葉を知っていますの?」

(コクコク)

 堂々と2年生の教室で舞の居所を聞きまくる志保を見て、2人は顔が引きつっていた。

「あ~、あの子、ああいう子だから。早く慣れてね」

 保育園からの付き合いのある理沙だけは全く動じず、いつも通り冷静であった。
 こんな事ぐらいで驚いていては志保とは付き合えない。志保は天然でかなりのマイペース。
 常識を持って一緒にいると志保の行動は絶対に理解できない。それは理沙の確信であった。

「わかったよ~。パンを買いに行ったからもうすぐ戻ってくるってさ。って、どうしたの?」

 天然全開で場の空気を読まない志保が、理沙達の元に戻ってくる。亜紀はそんな志保を見ながら呟いた。

「この方の行動に慣れるという事は、なかなかのハードルの高さですわね」

(コクコク)

 その隣で亜紀の意見に乗っかる柚季だったが、

「あなたもちょっと違いますけど、ほぼ同類ですわ」

 と、亜紀にツッコミを入れられた。
 そんな亜紀に意見しようと柚季が口を開こうとしたが、結局、口を開かず、黙ったまま亜紀を睨むだけだった。

(まあ、確かに志保とは違うタイプだけど、柚季ちゃんもある意味同類だな)

 心の中で亜紀の意見に思わず頷いてしまう。そんな時、舞が戻ってきたのに気づいた柚季が自分の袖を引っ張り、指を指した。亜紀も舞の姿を確認する。
 しかし、確認したのは舞の姿だけではなく、舞に話しかけている志保の姿まで視認出来たのだった。

「えぇぇ~。戸崎さんは人見知りとかないのですか? ごめんなさいですわ。私、戸崎さんの行動に慣れるにはかなり時間がかかりそうですわ」

「うん、分かっている。私もかなり時間がかかったから。ゆっくりでいいよ」

 志保を見ながら疲れ果てる亜紀に対して柚季だけは無表情のまま「僕はもう慣れたの」と小さな声で呟いた。そんな中、志保が舞を連れて理沙達の元にやってくる。

「とりあえず話を聞いてくれるってさ」

「私に何か用?」

 遠藤舞が2年生らしく少しだけ大人の態度で理沙たちに歩み寄ってきた。栗色の髪にボブヘアーが良く似合って、大人の雰囲気をさらに一層引き出していた。
 しかし、それよりも志保達が目を引いたのは舞の胸の大きさだった。明らかに標準の高校生を超えている豊満な胸に志保達の目線が自然に行く。

「お、大きい」

「これが高校2年生」

「ま、負けましたわ、ここまで完璧に打ちのめされるとは」

(コクコク)

「あの~皆さん、思っている事が声に出ていますよ」

 少し汗をかき、困った顔をしながら舞が4人に話しかける。

「おっぱいの大きさだけが女性の魅力じゃないんだからね! おっぱいは、おっぱいは形が大事なんだから! ね、柚季ちゃん」

 胸にコンプレックスを持つ志保が捨て台詞を吐き、柚季に泣きついた。
 抱きつかれた柚季は志保の頭を撫でて慰める。

「こんな所でおっぱいを連呼するな!」

「皆さんは私の胸に文句を言いに来たのですか?」

 理沙のツッコミに戸惑いながら舞が4人に再び聞いた。

「ご主人様、目的が全然違っているの」

「そうですわ。こういう事は単刀直入に言った方がいいのですわ。あなた、ハンド部を辞めてフットサル部に入部しなさい。あと、もっと運動して胸を小さくした方がいいと思いますわ」

「失礼な言い方な上にさらに失礼だな。って、おい!」

 ツッコミに忙しそうな理沙を見ながらクスクスと舞が笑う。

「なんだ、部活の勧誘ですか? 確かに私はハンド部を辞めましたし、特待生も辞めました。でも、もう部活はしません。残念ですが、他の人を当たって頂けますか?」

 舞はそう言って4人に頭を下げる。そして会話は終わったとばかりに、自分の教室へ戻ろうとする。

(えっ、これで終わり? 引き止めないと。でもなんて言って引き止めたら)

 理沙が迷っていると、志保が舞の腕を掴み帰るのを引き止めた。そして何とか場を繋ごうと質問をする。

(志保、ナイス!)

 こういう時の志保は頼りになる。自分には出来ないことを志保はしてくれる。誰にでも自然体で接せれるのは志保の長所の1つだ。

「とりあえず時間がないので……どうやったらそんなに大きなおっぱいになるんですか? あと、なんでハンド部を辞めたのかだけ教えていただけませんか?」

「私の感心を返せ! そして重要な質問の方が後回しになっているし!」

 亜紀と柚季が質問にずっこけている間に、志保のボケに慣れている理沙がツッコミを入れる。
 しかし、舞は嫌な顔1つせず、脚を止め簡潔に理由を教えてくれた。

「膝を痛めたの。これでいいかしら。ごめんね、力にならなくて」

 そう言いながら舞は自分の教室に入っていった。
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