77 / 90
とある生徒の、普通とは少し違った日常。 1-15
しおりを挟む魔法の授業を終えて、昼休み。
「お前ら何やったんだ? Sクラスで噂になってるぞ?」
食堂でよく近くに座る子が興奮気味に話しかけてきた。
「先生が暴走しただけだ」
「ああなんだ、例年のあれか」
「え、そんな感じ!?」
「そりゃな、他国の人間からしたら貴族というとうと~い身分を振りかざしたら相手が公爵家の嫡男、しかも売ったつもりのない喧嘩を高い値段で買われてエリートクラスが敵に回るとかただの悪夢だろ。けどそこで引けばいいのにたまにSクラスに本当に喧嘩売りに行く奴がいてさ、恒例行事みたいになってる」
「エリートクラス?」
「俺らそんなのに目を付けられたの?」
「いや、目を付けられたとは違うな、獲物をくれてありがとう、みたいな感じ。学園の方針で優秀な学生に最高峰の教育を、ってのがあるらしくて、その被害を受けているのがSクラス、真面目に結果を出したら勉強漬けだろ、キェェェェェってなってるところに身分を盾に喧嘩を売ってくるやつがいればそりゃ八つ当たりの一つもするだろ」
「なるほど」
納得してしまった。
「先生のあの態度も作戦の一つ、とか?」
「あれは素だ」
「えー!?」
「貴族相手というか子供相手に一歩も引かないどころか煽るとか」
「あーうん、先生、邪神一族崇拝している一族って有名だからなぁ、神を敬うどころか礼の一つもせずに身分をぶん回すとキレる」
「なにそれ怖い」
「俺も最初は怖かった、今は慣れた」
「あ、はい」
先生が怖い人なのは分かった。
「で、何があった?」
「先生が貴族のお嬢さんに絡まれまして、先生がそれを返り討ち」
「先生大人げないもんな」
「大人しく公爵家の跡を継いだのも、身分の上にふんぞり返る他国の貴族の鼻を片っ端から折るためだって聞いた」
「そういや、俺も父ちゃんに『身分を振りかざす相手はさらなる権力でぶん殴れ』って言われた」
「とんでもない教育方針」
先生が怖い人だと再確認したところで、午後の実技授業。
今日のクリーンの授業は講堂で行われる。クリーンは便利だけど、熟練度によって出来ることが大きく違ってくるらしい。
うちのクラスにいる孤児院のエースは遠距離攻撃ならぬ遠距離クリーンが出来る。ちょっと意味がわからない。
「さて、これで留学生の皆さんもクリーンを最低限使えるようになりましたね、では次はクリーンを使った掃除の仕方です。まず床に膝をついてください」
はい? 俺だけじゃなく、みんな頭に「?」が浮かんでますよ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる