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夢の異世界転生 1-8
しおりを挟む「そこまでですわ!!」
突然響いた凛とした声。
その瞬間、豹とダークエルフの動きが止まった。
何が起こったのか分からず混乱する俺の前に颯爽と現れたのは、純白の鎧に身を包んだ美しい女性騎士。腰まで伸びた髪は金色に輝き、宝石のような碧眼で冒険者を睨みつけていた。
俺を庇うように立つ後ろ姿にきゅんとした。
「あ、聖騎士」
「ごきげんよう陛下! 正々堂々と遊びに参りましたわ!」
どうやらこの人は聖騎士という職業らしく、王様と知り合いのようだ。
そして正々堂々の意味を知っているだろうか。俺には分からない。
「さぁ、貴方たちはすでに負けた身、ダンジョンから去っていただきますわ!」
「負けていない!」
「そうだ! まだこれから――」
「オーーホホホホホ! 片腹痛いですわぁ!!」
「ぐはっ」
「ひぃ」
「ふぎゃ」
聖騎士様は笑いながら剣を一振りすると、三人の冒険者はあっけなく部屋の外へと飛ばされてしまった。
「さぁこれで邪魔ものはいなくなりました! 今日こそ貴方に勝ちますわよ!」
「なにすんの?」
「新しい遊びもありますよ?」
「何をやるか決めておいてくれ、その間にお茶の用意をするからな」
王様、顔がだらしなくなってますよ。
なんだあれ、まるで孫を溺愛するじいちゃんみたいじゃないか。
「黒と白の駒を使う勝負も捨てがたいですわね」
「リバーシは私負け知らずなんよ」
「新しいカードゲームを買ってもらったんです、次にこれやりましょう」
ぽん。と豹が取り出したのは前世でやったことがある「にゃんにゃんゲーム」だった。
テーマを決めて猫言葉で伝え、何と言ったか相手に答えてもらうゲームだったかな?え、あの豹、転生者なの?
「ネヴォラにはいつか勝ちますわ! でも今日はあのスケルトンキングになんとしても勝利したいです!」
「じゃあイネス、わたしたちは五目並べするんよ」
「はぁい」
「今日は可愛いお客が来ているからボス戦はお休みだと看板出しておいてくれ」
「あ、はい」
王様に言われてボス部屋の外に出ると、扉のかげに隠してある看板を取り出して通路に置く。
俺がスケルトンとして転生したこの世界、ダンジョンだけでも謎が多すぎて良くわからん。
いつか俺も外の世界に行ける日が来るのだろうか、いや無理だな、出たら秒で死ぬ。
あの聖騎士の女みたいなのがゴロゴロいる世界なんて怖くて歩けない、俺は下っ端スケルトンとしてこのダンジョンで掃除スキルを極めよう、うん。
「あっ、腕取れた」
発光する豹の近くに居すぎたせいだろうか、ただでさえ繊細な骨が崩れ落ちた。
……外の世界以前に、俺ら雑魚スケルトンにとって安全なはずのダンジョンで死にかけているんだけど、これどうにかなるのかな。
俺の戦いはこれからだ!とか言うべきか、これ?
後日、腕はその辺に積み上げられていた骨を削って新しいのを作ってもらえました。
やったぜ王様最高!
でもあの豹には二度と近寄らない、絶対にだ!
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