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三食昼寝、家族付き
第1109話
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アー君が帝国で何やら無双をしたらしく、シャムスと涼玉が羨ましがっている。
『アー君ばっかりずるいの』
「俺も、無双してこようかなぁ、砂漠に森とか出現させちゃう?」
「涼玉様、それだと生態系が狂ってしまいます」
「ちぇー」
そこのドラゴンの幼児、我が家の果樹園を思い出してほしい、黄金の果実が各種揃うあれはチート以外の何物でもないと思うんだ。
「帝国遊びに行こうと思ったけど、まさかあのキノコハウスが花ちゃんの新居になってるなんて」
『愛の巣だったの』
元生贄の王子、花ちゃんにデロンデロンに甘やかされ、あっという間に絆されて今じゃ夫婦として仲睦まじく暮らしています。
「帝国の裏組織はイグが元締めになったって」
『イグちゃんもやりたい放題よね』
「裏も表も我が家の関係者が仕切ってるよね、本職さんもびっくりだろうなぁ」
裏組織に介入した最大の理由が「俺も信仰心を集めてみたかった」だなんて、人生を渋く決めているおじ様たちに若干申し訳ない気がしないでもない。
「でもイグちゃんってどこで活動してるの?」
「うっかりかあちゃが近場に来ないように、この国から一番遠い場所でハードボイルド世界を楽しんでる」
『ママが近付くと闇がふわんって浄化されちゃうもん』
世界地図で場所を見てみたい好奇心に駆られたけれど、場所を把握したら謎能力が悪戯する可能性が高すぎるという理由で見せてもらえないんだよね。
地図を見るだけで影響与える可能性があるって……無茶苦茶だな。
「セティの国や帝国に行くのは大丈夫なの?」
「にいちゃが言うには、影響を与えるものがいっぱいありすぎて、他国にまで影響与える余裕がない感じ?」
『意外と内政改革好きよね』
「あ、これイグが春日に頼んで記念撮影したやつ」
「へぇ?」
涼玉が卵の殻の内側から取り出したのは一枚の写真。
「もしやこれ、イグちゃんの趣味?」
「おう」
『あい』
黒のスーツと帽子、揃いのロングコート、どう見てもイタリアマフィアですね。
一瞬映画のワンシーンかと思った。
いかつい顔のおっさんに囲まれ、中央でニヒルな笑みを浮かべているイグちゃんが黒いもやで周囲を囲って雰囲気も抜群です。
「魔王も真っ青な無法地帯だって」
「魔王様は為政者の鑑だもんね、魔物がこんな風になったら泣くと思うよ」
『めそめそしちゃう』
「じゃあイグちゃんは海に来ないのかな?」
「来るぞ」
『来るよ』
イグちゃんはあくまで邪神の立場で人間を焚きつけているだけであり、殺し合いをするのは人間の勝手って……記念撮影までしてちょっと無理がないかな?
「しかもかあちゃ、この揃いの服はセット装備なんだ」
「裏に普通に女神様がいるんだね」
『いるよー』
「革張りソファに腰かけて葉巻を吸うとステータス大幅アップするらしい、他にも猫を膝に乗せた状態で部下に命令を下すと部下がステータスアップ」
「つまり抗争前にはわざわざセット装備に着替えて、猫とソファを用意しなきゃいけない?」
『そーよー』
イグちゃんが生き生きと活動しているのは分かった。
けれど一つだけツッコミ入れていいだろうか。
「イグちゃんってさ、謎能力の力に満ちた夢の世界で生まれ育って、骨の髄まで謎能力に汚染されてて、体の一部は常に夢の世界に在るのに、僕と物理的距離をとる意味あるのかな?」
『あ』
「あ」
恐らくだけど、本体を顕わにしたイグちゃんを囲んだ人達が人間のままなのは、謎能力がイグちゃんが発する瘴気をどうにかしているからだと思うんだよね。
そうじゃなきゃ写真の人達、一瞬で魔物化してると思うんです。
『アー君ばっかりずるいの』
「俺も、無双してこようかなぁ、砂漠に森とか出現させちゃう?」
「涼玉様、それだと生態系が狂ってしまいます」
「ちぇー」
そこのドラゴンの幼児、我が家の果樹園を思い出してほしい、黄金の果実が各種揃うあれはチート以外の何物でもないと思うんだ。
「帝国遊びに行こうと思ったけど、まさかあのキノコハウスが花ちゃんの新居になってるなんて」
『愛の巣だったの』
元生贄の王子、花ちゃんにデロンデロンに甘やかされ、あっという間に絆されて今じゃ夫婦として仲睦まじく暮らしています。
「帝国の裏組織はイグが元締めになったって」
『イグちゃんもやりたい放題よね』
「裏も表も我が家の関係者が仕切ってるよね、本職さんもびっくりだろうなぁ」
裏組織に介入した最大の理由が「俺も信仰心を集めてみたかった」だなんて、人生を渋く決めているおじ様たちに若干申し訳ない気がしないでもない。
「でもイグちゃんってどこで活動してるの?」
「うっかりかあちゃが近場に来ないように、この国から一番遠い場所でハードボイルド世界を楽しんでる」
『ママが近付くと闇がふわんって浄化されちゃうもん』
世界地図で場所を見てみたい好奇心に駆られたけれど、場所を把握したら謎能力が悪戯する可能性が高すぎるという理由で見せてもらえないんだよね。
地図を見るだけで影響与える可能性があるって……無茶苦茶だな。
「セティの国や帝国に行くのは大丈夫なの?」
「にいちゃが言うには、影響を与えるものがいっぱいありすぎて、他国にまで影響与える余裕がない感じ?」
『意外と内政改革好きよね』
「あ、これイグが春日に頼んで記念撮影したやつ」
「へぇ?」
涼玉が卵の殻の内側から取り出したのは一枚の写真。
「もしやこれ、イグちゃんの趣味?」
「おう」
『あい』
黒のスーツと帽子、揃いのロングコート、どう見てもイタリアマフィアですね。
一瞬映画のワンシーンかと思った。
いかつい顔のおっさんに囲まれ、中央でニヒルな笑みを浮かべているイグちゃんが黒いもやで周囲を囲って雰囲気も抜群です。
「魔王も真っ青な無法地帯だって」
「魔王様は為政者の鑑だもんね、魔物がこんな風になったら泣くと思うよ」
『めそめそしちゃう』
「じゃあイグちゃんは海に来ないのかな?」
「来るぞ」
『来るよ』
イグちゃんはあくまで邪神の立場で人間を焚きつけているだけであり、殺し合いをするのは人間の勝手って……記念撮影までしてちょっと無理がないかな?
「しかもかあちゃ、この揃いの服はセット装備なんだ」
「裏に普通に女神様がいるんだね」
『いるよー』
「革張りソファに腰かけて葉巻を吸うとステータス大幅アップするらしい、他にも猫を膝に乗せた状態で部下に命令を下すと部下がステータスアップ」
「つまり抗争前にはわざわざセット装備に着替えて、猫とソファを用意しなきゃいけない?」
『そーよー』
イグちゃんが生き生きと活動しているのは分かった。
けれど一つだけツッコミ入れていいだろうか。
「イグちゃんってさ、謎能力の力に満ちた夢の世界で生まれ育って、骨の髄まで謎能力に汚染されてて、体の一部は常に夢の世界に在るのに、僕と物理的距離をとる意味あるのかな?」
『あ』
「あ」
恐らくだけど、本体を顕わにしたイグちゃんを囲んだ人達が人間のままなのは、謎能力がイグちゃんが発する瘴気をどうにかしているからだと思うんだよね。
そうじゃなきゃ写真の人達、一瞬で魔物化してると思うんです。
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