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三食昼寝、家族付き
第1081話
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帝国に残した僕の四人の子供は元気にやっているようです。
帝室の三人は今のところ突然成長することもなく、大人しく一般的な赤ちゃん時代を送り、教会のロンちゃんは休日の礼拝で教皇の横に立ち、市民に笑顔を振りまいて心を鷲掴みしているらしい。
樽腹司祭の部下を巫女見習いとして教会から派遣させ、女神様の神気に慣れるためという名目で皇子殿下の子守も兼ねて日中はいつも女神様と一緒にいるそうな。
そして皇帝は皇子に会うという名目を使い、恋人に会いに来る。
「後宮実録レポートは潰されたから、二人を題材に恋愛小説執筆してる。出版は地球だから安心してほしい」
「書籍化されるといいですねー」
こんな女神様でも地球では有名BL作家として成功しているというから分からない、分かりたくないから適当に流すに限る。
その辺ツッコミ入れると語りが長いからね、付き合いたいとは思わない。
「……で、日中は一緒にいると言いながら、なんでここにいるんですか?」
「暇で」
「帰れ」
「あと帝国は食い物の文化が進んでなくてさー、たまには美味いもの食べたいんだよー」
あぁ地球に好きに行き来でき、我が家でドリちゃん飯を食べ慣れている女神様には異世界定番の食事事情は辛いだろうなぁ。
だからと言って胡坐かいて丼ものかっこむのはどうかと思う、乙女心とか女子力はどこにあるのだろうか。
「帝国は娯楽もほとんどなくてさー」
「女神様の妄想と偏見の結果だから仕方ないですね」
潰しても次の帝国がいつの間にかあるとか、帝国の定義がよく分からなくなる現象だけど、全部女神様のせいだしなぁ。
つまり文化の進み、食事事情、そういったものの進化は女神様の妄想次第なんだよね。
「中世だと処刑も娯楽の一環なんだけどさ、刀国はそんな娯楽なくても面白おかしく過ごしてるだろ」
「わかってはいても、僕その考え方苦手です」
いつか僕の子がそれを飲み込まなきゃいけないのも嫌だなぁ。
「その処刑が大幅に変更されるんだよ、提案したのはアムール、イツキが子供達の守護に指定したアイツ」
「刀国出身の貴族なのに発言権あるなんて凄いなぁ」
死神くんもしや権力者のお家柄だったのだろうか?
なんて思っていたら女神様にため息をつかれた。
「権力チートを与えたのはイツキだろ」
「え!?」
「神々の母だからなお前、そのイツキが直接守護者に指定して、かつ子供達を諫める権利を与えたんだ。重鎮達がいる目の前でな」
「だって……あのお兄さん、女神様に対するスルー力を持ってるし、意見がまともで、判断力もずば抜けて、何より大家族の一員だから子育て得意かなぁって」
もちろんあの場でそんな細かいこと考えてません、でも頼りになると思ったのは本当、あれだ母の勘。
そうか、あれ権力与えたことになるんだー、ほぁー。
「神々の怒りに触れないため、アムールに意見を求める行列が連日途切れないぐらいだ。処刑方法の変更もその一環」
「疲労で倒れないといいですけど……」
「時間外労働はしないって宣言して、時間を決めて相談に乗ってる」
「良かったぁ」
「ちなみに今までは定番のギロチン」
「ああ市民の娯楽なのは異世界ファンタジーの定番ですね」
女神様が定番だと思っている限り無くすのは難しいやつですねー、でも僕の介入があったから変更できてしまったのか。
「これからは邪神の餌」
「んん?」
「あと奴隷同士を戦わせるのも教育に悪い、そもそも奴隷制度自体が教育に悪いと奴隷制度も廃止。犯罪奴隷とか借金奴隷はどうすんのかと思ったら、鉱山送りならぬダンジョン送りにしてはどうかって提案して受け入れられてた。他の事情で奴隷になって、今回路頭に迷う羽目になった奴隷は商業ギルドに丸投げ、闘技場は奴隷の消費場から戦士育成の機関に、奴隷商は商業ギルドに吸収されて『人材派遣課』に強制就職」
「待ってください、情報量多過ぎです」
邪神の餌の辺りからもう一回お願いします。
帝室の三人は今のところ突然成長することもなく、大人しく一般的な赤ちゃん時代を送り、教会のロンちゃんは休日の礼拝で教皇の横に立ち、市民に笑顔を振りまいて心を鷲掴みしているらしい。
樽腹司祭の部下を巫女見習いとして教会から派遣させ、女神様の神気に慣れるためという名目で皇子殿下の子守も兼ねて日中はいつも女神様と一緒にいるそうな。
そして皇帝は皇子に会うという名目を使い、恋人に会いに来る。
「後宮実録レポートは潰されたから、二人を題材に恋愛小説執筆してる。出版は地球だから安心してほしい」
「書籍化されるといいですねー」
こんな女神様でも地球では有名BL作家として成功しているというから分からない、分かりたくないから適当に流すに限る。
その辺ツッコミ入れると語りが長いからね、付き合いたいとは思わない。
「……で、日中は一緒にいると言いながら、なんでここにいるんですか?」
「暇で」
「帰れ」
「あと帝国は食い物の文化が進んでなくてさー、たまには美味いもの食べたいんだよー」
あぁ地球に好きに行き来でき、我が家でドリちゃん飯を食べ慣れている女神様には異世界定番の食事事情は辛いだろうなぁ。
だからと言って胡坐かいて丼ものかっこむのはどうかと思う、乙女心とか女子力はどこにあるのだろうか。
「帝国は娯楽もほとんどなくてさー」
「女神様の妄想と偏見の結果だから仕方ないですね」
潰しても次の帝国がいつの間にかあるとか、帝国の定義がよく分からなくなる現象だけど、全部女神様のせいだしなぁ。
つまり文化の進み、食事事情、そういったものの進化は女神様の妄想次第なんだよね。
「中世だと処刑も娯楽の一環なんだけどさ、刀国はそんな娯楽なくても面白おかしく過ごしてるだろ」
「わかってはいても、僕その考え方苦手です」
いつか僕の子がそれを飲み込まなきゃいけないのも嫌だなぁ。
「その処刑が大幅に変更されるんだよ、提案したのはアムール、イツキが子供達の守護に指定したアイツ」
「刀国出身の貴族なのに発言権あるなんて凄いなぁ」
死神くんもしや権力者のお家柄だったのだろうか?
なんて思っていたら女神様にため息をつかれた。
「権力チートを与えたのはイツキだろ」
「え!?」
「神々の母だからなお前、そのイツキが直接守護者に指定して、かつ子供達を諫める権利を与えたんだ。重鎮達がいる目の前でな」
「だって……あのお兄さん、女神様に対するスルー力を持ってるし、意見がまともで、判断力もずば抜けて、何より大家族の一員だから子育て得意かなぁって」
もちろんあの場でそんな細かいこと考えてません、でも頼りになると思ったのは本当、あれだ母の勘。
そうか、あれ権力与えたことになるんだー、ほぁー。
「神々の怒りに触れないため、アムールに意見を求める行列が連日途切れないぐらいだ。処刑方法の変更もその一環」
「疲労で倒れないといいですけど……」
「時間外労働はしないって宣言して、時間を決めて相談に乗ってる」
「良かったぁ」
「ちなみに今までは定番のギロチン」
「ああ市民の娯楽なのは異世界ファンタジーの定番ですね」
女神様が定番だと思っている限り無くすのは難しいやつですねー、でも僕の介入があったから変更できてしまったのか。
「これからは邪神の餌」
「んん?」
「あと奴隷同士を戦わせるのも教育に悪い、そもそも奴隷制度自体が教育に悪いと奴隷制度も廃止。犯罪奴隷とか借金奴隷はどうすんのかと思ったら、鉱山送りならぬダンジョン送りにしてはどうかって提案して受け入れられてた。他の事情で奴隷になって、今回路頭に迷う羽目になった奴隷は商業ギルドに丸投げ、闘技場は奴隷の消費場から戦士育成の機関に、奴隷商は商業ギルドに吸収されて『人材派遣課』に強制就職」
「待ってください、情報量多過ぎです」
邪神の餌の辺りからもう一回お願いします。
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