上 下
1,087 / 1,127
三食昼寝、家族付き

第1076話

しおりを挟む
 孤児院の子供が元気なのは素晴らしいと思います。
 ただ元気すぎて疲れた。
 花ちゃんや子供達と用意したクッキーは一枚残らず終了、うちの子の分はアー君がアイテムボックスに入れて隠してたから残っているけど、何というか鬼気迫る食べっぷりでした。

 お腹が満たされた子供達は本来の目的、庭園の花を摘みに散会していった。
 エロ教皇様もカゴを持たされ労働力として連れて行かれました。

「帝国の孤児も逞しいね」
「俺らが帝国に介入したことでシヴァが少年を守れるようになったからな。……子供の守護神としてシヴァにも声かけた方がいいのか?」
『ご利益はあるの』
「性別が限定されるのは暗黙の了解ってやつか」

 そうだよね、さすがに神様の説明文に「未成年の絶対的な守護神です、ただし男児に限る」って書くわけにもいかないだろうし……スルーしたいよね。
 ご利益だけはあるから考え物です。

「ちょっと遅くなったけどお昼にしようか、串焼きでいいかな?」
「腹減ったぁ」
『へったの』
「体がおっもい!」
「エビの串焼きあります?」

 マールスがサッと焚き火台を設置、花ちゃんと協力して串焼きをせっせと並べ、アー君らは出来上がるのを待つ間シヴァさん談議が再開していた。

「帝国って広いからなぁ、難儀している子供も多くて、保護したらポイポイ孤児院に放り込むからあっという間に財政難になったみたいだな」
『あっちゃー』
「それを解決したのもシヴァだからたち悪いよなー」

 賃金と経営資金はダンジョンで稼ぎ、余ったお金で周囲の土地を購入、孤児院を立て直してるらしいです。
 どうやらシヴァさん、刀国基準でものを考えているらしく、でっかい孤児院を作ってそこに孤児を集めて育てさせようと思いついたみたい。
 それを始めとしたあまりに無茶な要求に、雇われた人が教会に助けを求めることもしばしばあるんだって。

 刀国の孤児院は国営だから事情が違うと思うんだよね、いやシヴァさんのことだから国に金を出させるつもりかもしれない、なんたって皇后となるのうちの女神様だし。
 お金がなきゃ稼げばいいだろと言って、皇帝をダンジョンに放り込んでもおかしくない気がする。未成年だからそんな暴挙はしないと言い切れないんだよなぁ。

「経営者をイグちゃんに片付けさせて、代わりに子を亡くした親を雇いいれる。表面は取り繕っていますけれども、ただの乗っ取りですよね」
「のっとり!」
「キッシャァ」

 イネスの言葉にロンちゃんとオプちゃんが同意している。
 そして何気に手をつないでいるんだけど……ラブなのか友情なのか、判断に迷うところです。

「子供にもっと肉を食わせろっていうのも、当たり前のことを要求しているだけのつもりだからなぁ」
『ばーばのレシピ集を参考にするのは無茶よね』
「花ちゃんもう焼けたか?」
「キッシャ」

 涼玉の催促に葉っぱを一枚千切り、出来上がった串焼きをのせて差し出す。
 最近気付いたんだけど、気軽に千切っては便利に使っているあの葉っぱ、減らないんだよね。

「おおいい匂い」
『ドリちゃんのタレなの』
「ウマー」

 バクバク食べる幼児三人の横で、ロンちゃんとオプちゃんは互いに食べさせあっていた。
 なんだろう、女神様の笑顔が背後に見えが気がした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

処理中です...