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三食昼寝、家族付き

第1048話

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 稲刈り大会を開催するにあたり、一番問題は参加費の捻出らしいです。
 国によっては高い金を払う価値があるか決めかねて、いまだ参加を迷っている所もあるらしい。

「まぁ参加してもしなくても俺らには関係ないけどな」
『お祭りするのが大事なの』
「そうそう、大事なのは屋台」
「だぅだぅ!」
「アテナも分かってきましたね! 早く大きくなって屋台巡りするです!」

 収穫量によっては参加費以上の稲が手に入るけど、もたついたり手際が悪いと大損する恐ろしい大会です。
 アー君の知り合いの子はその辺をキチンと理解しているので、特訓に余念がないってイグちゃんが言っていました。
 あとおやつくれる相手には裏技や攻略法を伝授してるとか、もちろんアー君も承知済み。

 食糧難を前にした人間への救済はおまけ、本題はそれに乗じてお祭りをすること。
 いつの間にか本題とおまけが逆になっているけど誰もツッコミ入れないよね。

「でもどうせならお前らも参加してみるか?」
「!!!!」

 アー君からの言葉に黒子……じゃなくて親衛隊の人達がぷるぷる震え始めた。
 声をかけてもらえた感動と、頼られた感激で振動しているらしいですよ、よく分からないけど。

「マシューの所も人を出すらしいぞ、それでその日収穫した分は量を採れなかった相手に高く売りつけるとか言ってたなぁ」
『財政潤っちゃう』
「イベントの売り上げってどこに入れるんだ? 俺待機してる! 金貨噴水!!」

 涼玉の期待にアー君が動きを止めた。

「やべ、大臣たちとの打ち合わせほとんどしてないや。え、代わりに参加してくれてるのか? 助かる」

 さすがアー君親衛隊、準備に忙しいアー君に代わってお城やギルドの会議に参加してくれているようです、隠密スキルの熟練度が高すぎて気配ないからたまに驚くけど、さすがSランクレベルの集まり、有能な人達ばかりのようです。
 幼児の願いを叶えるために身命を賭すだけの変人集団じゃなかった!!

「回収された参加費はいつものように涼の寝床に転送されるみたいだな、空間拡張もかかってるからさすがに宝物庫が爆発することもないはず」
『どうだろ?』
「刀国また潤っちゃうな、にいちゃの稼いだ金を消費するのに苦労してるのに!」
「金の使い道を考えろって言われてる。使用用途はばあちゃんも目を通すから、国として建前が成立する案じゃないとダメっていう注文付き」

 国がとうとうアー君に国家予算の使い道を要求し始めた。
 そこはせめて王太子やってる双子に言うべきじゃないだろうか、この調子で千年以上国家を保っているんだからある意味凄いよね。

「魔境開拓しましょう!」
「あぁいいかも~、冒険者からももっと拠点増やしてくれって要望が多いんだよな」
『イネスがお怪我させちゃったから、お詫びにもなるの』
「魔境に挑む冒険者が増えれば、魔王様の負担も減るしな!」

 イネスのぺかーーの威力が強すぎて魔王様寝込んじゃったからね、普段のお仕事を補うためと今後の負担を減らすためにも開拓はいい案だと思う。
 しかもマシュー君の領地ができる前は、ここから魔王様のお城まで拠点の一つもなかったらしい。
 それなのに魔物が増えすぎなかったのは神薙さんの威光と、好き勝手食べ放題してたからだっけ?
 
「拠点運営する気ないか魔境の生き物に声かけてみる」
『お仕事いっぱい』
「俺らの人生、充実してるぜ!」
「お祭り終わったらまたパパと一緒に遊び行きたいです!」
「飛び込んだまま体力尽きたのは黒歴史」
『カレーも足りなかったね』
「今度は大鍋持っていこう」
「アスレチックも楽しみです」
 
 ドリちゃんにお願いして飯盒炊飯に使うあれ、大きいの作ってもらっておこう。

「おやつは一人二種類までね」
「ママが俺らの思考を先読みした、だと!?」
『マシュマロとチョコ』
「肉はおやつに入りますか?」
「エビはー?」

 肉もエビもおやつではなくおかずだと思います、あといいこと思いついたと手を挙げているアー君、バナナは森に群生していたのでわざわざ持っていかなくても食べ放題だからね。
 おやつとして持っていったら損をするのはアー君です。
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