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三食昼寝、家族付き

第1034話

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 騎士様の良いパパアピールがアー君に盛大にスルーされていることが発覚した。

「徹夜で頑張ったのに!!」
「ん?」

 邪神一家専用の肉焼きマシーンから解放された騎士様がふらふらしながらアー君の隣に座り、午前は何をしていたのか話を聞くうち、水遊びの話を聞いて項垂れてしまった。

「騎士様、遊んでほしいなら今のうちにアピールしないと、デザート食べ終わったら子供達また遊びに行っちゃいますよ?」
「アスレチックと宝探しゲーム仕込みました!」
「俺、午後は水に飛び込みする予定なんだ」
『どぼーんよ』
「その遊びは俺の重量に耐えられるのか?」
「ママ、アスレチックってなんですか?」
「僕の記憶が正しければ、障害物を乗り越えるアトラクション?」

 運動能力が低いとアトラクションというより罰ゲームに近いよね、あれって。

「僕やってみたいです」
「イネスちゃんありがとう!!」
「じゃあわたしもやっちゃる!」
「楽しみですねネヴォラ」

 喜んだ騎士様がイネスに抱き着き、猫パンチを食らった。
 でも幸せそうなので特に問題ないと思う。

「朱と青も行こう! 勝負すんの!」
「うん、いいね」
「朱って本当に目が見えないんだよね? 僕より動き疾いし、身体能力が高いんだけど!?」
「前世で培ったあれこれ」
「なんでも前世って言えばいいと思ってない?」
「青ちゃん、細かいこと考えると胃に穴ぽっこりしちゃいますよ」
「ひぃ!」

 最近気付いたのだけど、もしかして青藍ってエルフなのに運動神経実は低いんじゃ?
 それとも兄弟が突き抜けすぎて低くみえるだけなのかな?

 その時だった、風上から漂ってきたのは目に来る刺激臭。
 悶え苦しむ獣人団、匂いに引き寄せられる邪神一家、遊んでくるといって子供達は逃げ出し、銀狼親子も保護者だからと言い訳しながら逃げた。
 邪神一家強いな!

 カオスの発生源は刀雲です。
 異臭の発生源はまさかの地獄カレー、あれを持ってきているとは思わなかったなぁ。

「なんで持ってきちゃったの?」
「青空の下、皆に振舞いたかったんだ。激辛カレー愛好会の有志で完成させたこいつを」

 普段は良いパパ、良い旦那様、頼りになる家長なんだけどなぁ。
 あと激辛の域は通り越してると思います。僕はほら、えっちゃんが結界張ってくれたんだよ、お陰で刀雲に普通に近付けるんだ。
 逃げ遅れたともいう。

「野外訓練で魔除けに使えると好評なんだ、まぁ一部引き寄せられる魔物もいるけどな」
「大盛で」

 ご飯を大盛にしたお皿を持って並ぶ邪神一家、え、食べるの? もはや毒みたいなものなのに……って、邪神だから毒平気ですね。

「騎士様も食べますか――って逃げるの早いな」

 振り向いたらさっきまでいたはずの騎士様がいなかった。
 どさくさに紛れて騎士様も逃げたようです、カレー好きだけどあれは限度を超えてるってことか。
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