上 下
1,035 / 1,127
三食昼寝、家族付き

第1024話

しおりを挟む
 アー君が涼玉とネヴォラを率いてダンジョンに向かった後、騎士様はまだカレーを食べていた。

「すみません、量多かったですか?」
「大丈夫、アー君達を警戒しながら食べてたら遅くなっただけだから」

 隙あらば騎士様のカツを奪おうとしてたもんなー、テーブルの上にカツがあるにもかかわらず。

『ねむねむよ』
「シャムスもいっぱい食べたもんね、今日はクッションの外と中、どっちにする?」
「ひにゃた」
「じゃあスライムにベッドになってもらおうね、ふふ、お腹まんまる」
『うふふー』

 背中をリズムよく叩きながら移動したら、クッションコーナーに辿り着く前に眠っていた。

「じゃあスラちゃんお願いね」
「あぅ」
「アテナにはカレーはまだ早いかなー?」

 シャムスをスラちゃんの上に寝かせると、近くで寝ていたアテナがハイハイで近寄ってきて、一心不乱にシャムスの全身の匂いをかいだ。
 アテナはまだ離乳食にすらなってないから、カレーは食べれません。

「……ねぇ樹」
「はい?」
「気のせいか今、闇の、それも最悪な部類の闇の気配がしたんだけど」
「そうなんですか?」
「うん、えっちゃんも感じたよね?」

 答えはNOでした。
 巨大花ならいるけどあいつは多分土属性だと思う。

「仕事行ってる場合じゃないと思うんだ」
「世界の危機を呼ぶ闇の気配より、アー君が持ち込むだろう金銀財宝対策の方が大事だと思います、せっかく改装してもらったのに、また宝物庫が崩れますよ」
「え、いや、世界の危機の方が大ごとだと思ってるの俺だけ!?」
「えっちゃんが大丈夫と言っているから大丈夫ですよ」

 見た目闇属性っぽい巨大花だけど、性格は陽気、気質はオカンでした。

「えー、俺がおかしいの??」

 最後まで首を傾げながら午後の仕事に向かっていった。
 さて、今日の夕食は何にしようかな、アー君親衛隊もサラッと席に座るから、人間向けの食事も用意しないとね。

 そう言えばあの巨大花、どうやって調理器具を用意したんだろうか。
 ……あ、謎の子供のことだったのかな、騎士様が言ってた相手って。

 あらやだ、巨大花に脳内占領されて思い出さなかったよ。
 帰ってからでいいか。

「せっかくえっちゃんに桜植えてもらったのになぁ、あの巨大キノコは誰の案なんだろ」

 容疑者が多すぎて分からない、絶対にアー君は絡んでると思うんだよね。
 せっかくファンタジーっぽい空中庭園を造ろうと思ったのに、片っ端から子供達が好きなように干渉してくるので今や立派なカオス庭園ですよ。

「あらら、可愛い」

 脳内思考から戻ってきて視線を下げたら、スライムをベッドにして眠るシャムスにアテナがしがみついて仲良く眠っていた。
 可愛い、永久保存したい。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。

竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。 溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。 みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。 囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。 サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。 真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。 ☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正 ⭐残酷表現あります。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

【完結】もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。 本編完結しました! おまけをちょこちょこ更新しています。 第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!

処理中です...