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三食昼寝、家族付き

第1023話

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 アー君の親衛隊が五人に増えていた。
 しかも我が家にいるのが当たり前というか、空気のように自然で違和感がない。

 あれこれ肉で巻くのに参加していたし、カレーの具を刻んだりサラダ作るのも手伝っていた。
 アー君に指定されたお仕事は大丈夫なのだろうか。

「わっ、もしかしてこの巨大カツカレー、俺の!?」
「はい、それを食べて午後も頑張って働いてください」

 騎士様の笑顔が固まった。
 おやもしかして午後はアー君らと遊ぶおつもりでしたか?
 そうはさせませんよ?

「働かないパパにはもったいないな」
『食べちゃおっか』
「ネヴォラいけー!」
「ん!」
「待って、行きます。働いてくるから俺のカツカレー定食狙わないで!!」

 お皿の乗ったプレートごと抱え込んだ騎士様が悲鳴を上げている、皆覚えているだろうか、あの人って何を隠そう神々のトップなんだぜ?
 僕はたまに忘れてます。

「寄越せやー」
「ダメだよ、これ辛口! アー君は辛いのまだダメでしょ!」
「俺は前世大人! へーきへーき!」
「そう言って辛いと俺に八つ当たりするの知ってるんだよ!」
「ケチケチすんなよー」
「はいアー君、そこまで」

 ぐいぐい攻めるアー君をとりあえず回収、スライムの上に座らせて前掛けを装備、辛さ控えめチーズカレーですよ~。
 野菜を多めに入れておいたので、チーズを絡めてお食べ。

「ふおお、チーズがとろける」
『んーま!』
「ネヴォラ、口周りがデロデロだぞ」
「わたしお口小さいからね!」

 にぱっと笑顔を振りまくネヴォラだけど、カレーが辛かったのか汗が凄い。
 サッと拭いてミルクを入れてあげると、ゴクゴク音を立てて気持ちの良い飲みっぷりを披露してくれた。

 子供達がキャッキャッしながら食べている横でもう一つプレートを取り出した。カレーは載せてないけど、こちら刀雲のための特別セットになります。
 特別すぎて鼻がいい子達にはキツイのでカレーは別に保管中、カレーや小皿は用意したけど、肉巻きはまだ載せてないんだよね、さてどれがいいかなー?
 パイナップルを巻いたのがあるけど、まぁこれはこれで美味しいだろう、他に五個ほど載せて完成。

 刀雲用のカレーって、敵にぶつければダメージ与えられそうなぐらい匂いがキツイ、目に来る。
 だから我が家では食べれない禁断のカレーになっているけど、お弁当として持たせる分にはいいはず、周囲の同僚からの苦情はスルーする方向で。

「よし、腹が膨れた! 運動のためにダンジョンに行くか!」
『僕おねんね』
「俺もダンジョン行く、寝ぼけて財宝の一部溶かしちゃってさー、補充したい」
「わたしも行く!」
「やめて!?」

 幼児の宣言に騎士様が再び悲鳴を上げた。
 まぁそうだよね、騎士様が連日お城に仕事に出てるのって、アー君らのお宝鑑定のためだもんね、ある意味終わりのない作業です。ご愁傷様。
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