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三食昼寝、家族付き

第969話

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 なぜこんな事になったのか、僕も良く分からない。

「君を愛することはない」

 お昼を食べようと入ったカフェで料理が来るのを待っていたら、突然前の席に男の人が座り、深刻な表情をしてそう言った。
 いや、貴方誰ですか?

 女神様関係だとは思うけど、こんな訳の分からない事になるなら神薙さんの神社の食事処にすれば良かったかなぁ。
 でも自宅から数分だから遊びに行った気になれないんだよねぇ。

 アカーシャは学園、刀雲と騎士様はお仕事、アー君達がラミアちゃんの所に遊びに行き、もふもふズも出払い、イネスは本日は初級ダンジョンのボス役の日。だから思い立って城下に遊びに来たんだ。
 以前なら迷子の不安もあったけど、今はほら、僕にはえっちゃんがついているから!!

 空いてる席に案内され、メニューを開いて料理の豊富さに驚いたよ。
 迷いに迷ってカレードリアを注文、料理を待っていたらこの男性が座ったんだよね。
 席間違っていませんか?

 愛されても困るのでとりあえず無視してメニューをじっくり見よう。
 パスタやお米料理を中心としたカフェのようだ、ドリンクもなかなか豊富、デザートのアイスに使用されているミルクは契約農家で栽培しているんだって。
 ……ミルクを栽培?

 ちょくちょく出てくる疑問にツッコミつつ読み進めたら、最後のページに「当店は桜通りにある茶屋の姉妹店です」と大きく書いてあった。
 その下には文字のサイズを小さくして開店秘話が。

 どうやらこちらの店は洋風料理も出したくなった春日さんが、茶屋の常連だった店長を見出して開店したらしい。
 店長さんは元々冒険者だったけどケガが原因で引退、せっかくだから茶屋で雇ってもらえないか面接に行ったらこの店を任されたらしい。

 なお、店のメニュー開発はヘラ母さんとネヴォラの食育担当のゴブリンが関わって、子供の好き嫌いを一つでも減らすことを信条としているらしい。
 とんでもない二人がタッグを組んだなぁ、いえ、好き嫌いが減るのはいいことだけどね。主なモニターは孤児院の子達とネヴォラなんだろうな。

 春日さんが僕より異世界生活を堪能している!!
 でも新店オープンしたなら教えてくれても良かったのに……って、僕ら最近家にいなかったですね。

 あっドリアきた。

「熱いのでお気をつけください」
「ありがとうございます」

 お皿の上に乗ったカレードリアの器の横には、ポテトフライと焼きトマトが添えられていた。

「いただきます」

 カレーは辛さが選べて、中辛を選んでみました。
 程よい辛さ、これぐらいなら大丈夫。

 ポテトフライもサクサクしてて美味しい、トマトは店長が自宅で育てたものらしい、甘みが強くてとても美味しいです。
 ん~~幸せぇ。

 ピラフとかバーガーとかもあって、迷ったけどカレードリアにして良かった。
 ナポリタンも捨てがたい、ピザもあったなぁ、さすがに食べれないけど未練が残るので、今日の夕食はカフェ風で行こう。

「……オイ」

 どこのどなたか知らない赤の他人がいた事を忘れていました。
 青筋立てているけど、僕ら他人ですよね?
 顔見知りですらないと思うのですが、それともどこかで一度ぐらいお話したことありますか?

 首を傾げて見つめたけどイライラしてて何も言わないので食事を続行します。温かいうちに食べないとコックさんに失礼だもんね。

 このカレードリアの上にハンバーグのせて、チーズ増し増しで出したらアー君喜ぶだろうなぁ。
 シャムスはオムライスでどうだろうか、中はケチャップライスかデミグラスソースか……悩む。
 涼玉は何がいいかなー? ローストビーフのせピザとかどうかな、いっそ在庫にある肉全種使って夢の肉ピザとか喜びそう。

 食べ終えて会計をしようとしたら先ほどの男性がなぜか支払ってくれた。
 えーっと、ありがとうございます?

 店を出たらズンズンとどこかに行ってしまったので、別方向に歩きだしたら走って追いかけて来られた。
 えっちゃんが攻撃しないから無害なんだろうけど本当になんなんだろうか、しかもそのまま手を繋がれて歩き出したのですが……ええとこの人、僕の父親だっけ?

 お隣の店はパン屋なんだ、入ってみたいなぁ。
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