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三食昼寝、家族付き
第942話
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チラッと思うことも僕は許されないのでしょうか。
ギルドからバーベキュー会場に戻りながら、そら豆と枝豆に続き、ひよこ豆も栽培することになった黒豚君達に、つい「豆が特産品になりそうな勢いだね」と声をかけただけなんだ。
そしたらさぁ海辺から悲鳴が聞こえて、何事だとアー君の転移で飛んだんだよ。
そこで見た光景にはもう笑うしかなかった。
あっちの豆、こっちの豆、さらに刀国の冒険者がデザートに食べていた小豆から珈琲豆、大豆、落花生など食べるために加工されていたそれらが爆発して、地面に落ちたと思ったらその場で実っていたんだ。
涼玉曰く、豆が我こそはと思って自己主張したことによって起きた喜劇。だそうです。
なにそれそんな主張いらないんだけど!
僕、冒険者にめっちゃ怒られました。
アー君が春日さんの茶屋で使える食事券を配ってくたので許してもらえたけどね、笑いすぎてちょっと涙浮いてた。
謎能力さん、君何してくれてるの!?
ご縁は無理矢理作らなくていいんだよ?
「土壌が……栄養が……」
「明日は植え替えで終わりそうですね」
黒豚君が泣いている。
おっちゃんは遠い目をしている。
「仕方ない、と、特別、サービス、ふへ」
何か言おうとしているアー君だけど、視界に映る豆たちを見るたびに笑いがこみあげているようだ。
『涼ちゃんもうひと頑張りよ』
「今日の俺、スターかな?」
「夕食は豪勢にしましょうぞ!!」
今度は何が始まるんだろうか、あまりアー君を追い詰めないであげてね、笑いすぎて呼吸困難おきかけてるんだよ。
「ふんふんっ!」
マールスに下におろしてもらった涼玉が、軽く屈伸をして身体を解すと波打ち際まで移動した。
「へいラミア、お歌!」
「はい」
なんかラミアちゃんが歌を歌い始めた。
この透き通った感じの歌ってまさか……歌に合わせて涼玉がまた踊りを始めたんだけど、あれって盆踊りじゃなくてフラダンスだったの!?
「ママ、ほら見て」
『すごいでしょ』
僕はもう何に驚けばいいのか。
刀雲と騎士様呼んできて巻き込みたい思いでいっぱいです。
踊りに合わせてゆっくりと移動を始める植物たち、チラッと黒豚君を見たら顎が外れそうなほど口を開けて驚いていた。
貴族って表情を出さない生き物じゃなかったっけ? 神様相手には無理かー。
夕焼けを背に踊るドラゴンの赤ちゃん。
神秘的な光景と感動すればいいのか、うちの子可愛いで全てを受け入れるべきか迷う。
踊りが終わる頃には各種豆はそれぞれ寝床を見つけて落ち着いていたので、明日の労働は一つ減ったと言っていいだろう。
地球でも歴史ある神聖な踊りなので、現地の方々も覚えて踊ればいいと思う。
OK、特にこれと言って問題はない。
うちの子可愛い、すごい、すごい。
ギルドからバーベキュー会場に戻りながら、そら豆と枝豆に続き、ひよこ豆も栽培することになった黒豚君達に、つい「豆が特産品になりそうな勢いだね」と声をかけただけなんだ。
そしたらさぁ海辺から悲鳴が聞こえて、何事だとアー君の転移で飛んだんだよ。
そこで見た光景にはもう笑うしかなかった。
あっちの豆、こっちの豆、さらに刀国の冒険者がデザートに食べていた小豆から珈琲豆、大豆、落花生など食べるために加工されていたそれらが爆発して、地面に落ちたと思ったらその場で実っていたんだ。
涼玉曰く、豆が我こそはと思って自己主張したことによって起きた喜劇。だそうです。
なにそれそんな主張いらないんだけど!
僕、冒険者にめっちゃ怒られました。
アー君が春日さんの茶屋で使える食事券を配ってくたので許してもらえたけどね、笑いすぎてちょっと涙浮いてた。
謎能力さん、君何してくれてるの!?
ご縁は無理矢理作らなくていいんだよ?
「土壌が……栄養が……」
「明日は植え替えで終わりそうですね」
黒豚君が泣いている。
おっちゃんは遠い目をしている。
「仕方ない、と、特別、サービス、ふへ」
何か言おうとしているアー君だけど、視界に映る豆たちを見るたびに笑いがこみあげているようだ。
『涼ちゃんもうひと頑張りよ』
「今日の俺、スターかな?」
「夕食は豪勢にしましょうぞ!!」
今度は何が始まるんだろうか、あまりアー君を追い詰めないであげてね、笑いすぎて呼吸困難おきかけてるんだよ。
「ふんふんっ!」
マールスに下におろしてもらった涼玉が、軽く屈伸をして身体を解すと波打ち際まで移動した。
「へいラミア、お歌!」
「はい」
なんかラミアちゃんが歌を歌い始めた。
この透き通った感じの歌ってまさか……歌に合わせて涼玉がまた踊りを始めたんだけど、あれって盆踊りじゃなくてフラダンスだったの!?
「ママ、ほら見て」
『すごいでしょ』
僕はもう何に驚けばいいのか。
刀雲と騎士様呼んできて巻き込みたい思いでいっぱいです。
踊りに合わせてゆっくりと移動を始める植物たち、チラッと黒豚君を見たら顎が外れそうなほど口を開けて驚いていた。
貴族って表情を出さない生き物じゃなかったっけ? 神様相手には無理かー。
夕焼けを背に踊るドラゴンの赤ちゃん。
神秘的な光景と感動すればいいのか、うちの子可愛いで全てを受け入れるべきか迷う。
踊りが終わる頃には各種豆はそれぞれ寝床を見つけて落ち着いていたので、明日の労働は一つ減ったと言っていいだろう。
地球でも歴史ある神聖な踊りなので、現地の方々も覚えて踊ればいいと思う。
OK、特にこれと言って問題はない。
うちの子可愛い、すごい、すごい。
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