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三食昼寝、家族付き
第934話
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山菜を食べたいとごねた女神様、食べたいだけでどんな所で採取できるかという細かい事までは当然把握していなかった。
イメージが「なんか川の近くにありそう?」という曖昧さ。
海に続く大河は涸れ、雨上がりの水が大河の跡地をちょっとだけ流れるだけ、肝心の川が街の周辺になかった。
この辺の土地、呪われてませんか?
それとも異世界系によくある瘴気とかそういう問題かな?
まぁ刀国の人間には関係ないんですけどね。
生まれた時から邪神と隣り合わせで生きてるので何か知らない間に耐性できているらしい、全国民瘴気耐性持ちとか凄いな。
瘴気とかそう言った類のものとこれほど上手く生きている人間も珍しいんだろうなぁ。
「森の中なんて危ないから帰ろうぜ」
「神子様がいれば怖い魔物なんて存在しないって!」
びくつく冒険者、森の恵みを採取しつつ山菜を探す孤児院の子供達。
相変わらずセリフが逆だなぁ。
「あっ、小さいリンゴ! あれ酸っぱくて美味しいんだ、とってとって!」
「いやいやあれ毒りんごだろ!?」
「火を通せば毒なんて飛ぶよ! アップルパイ向きリンゴなの!」
「毒って言っても舌が痺れるだけ!」
「そっちの青いのだめ、お腹ぐるるーってなる! 赤いの!」
冒険者の立場はここでも弱いようだ。
中には子供を肩車して高いところにある植物を採る手助けをしたりと、連携が取れている人もいる。もしや孤児院出身者?
「静かにしないと魔物が寄ってくるだろうが」
「それだ!」
「え?」
「神子様、魔物呼び寄せて山菜に案内してもらいましょう!」
そう来たか。
「でも寄ってくるかなぁ? 俺とマールスいるから警戒して近付いて来ないんじゃないか?」
「……涼玉様、ドラゴンだもんなぁ」
「気配が強過ぎるのか?」
「うーん、女神様のふわっとしたイメージが川だろ、でも川がない。あれか、イメージで環境をいじれる場所にあるんじゃないか?」
「なるほど、ダンジョンか!」
いつ何が襲ってきてもおかしくない森の中、子供達がダンジョンを探そうと言い始めた。
確かに可能性は高そうだけど、これってサーチ使えるアー君に来てもらった方が良かったんじゃ……って騎士様がいた。
「あれ、騎士様は?」
「あそこでキノコ採ってる」
涼玉に言われた方に視線を向けたら騎士様が地面にしゃがみ込んで何やら探し、周囲の子供達が手元をのぞき込んで声をかけてた。
「騎士様それ毒です」
「そっちは痺れ」
「この辺は毒キノコしか見当たらない」
「食べれるのは街の人間が食べつくした感じだなぁ」
「毒キノコも症状が弱いのは採取された跡があるよ」
神様のトップに君臨するお方も、刀国の子供達の前では「ただの騎士様」、ちょっと困ったお人扱いです。
僕が声をかける前に子供達が群がり、騎士様にダンジョンを探してとおねだりしている。
さすがに危険だと止める騎士様、山菜愛に燃える子供達、口を出せずハラハラする冒険者、毒キノコをモリモリ食べる涼玉。
「涼玉!?」
「コリコリ食感」
「煮物にして食べたいですな」
止めるポジションのマールスが一緒になって毒キノコを食べている。
「かあちゃ、俺に毒は効かない」
「ああそうか状態異常無効」
「おう」
そしてマールスは神薙さんの息子だった、強力な毒持ちにとってこの程度の毒はおやつ代わりのようなものらしい。
「だからと言って生で食べるのはどうかと思う、あと普通に心臓に悪かった」
「そうだな、せめて炒めるべきだったな!」
「採取して父上に献上しましょう、酒のつまみに良さそうです」
食感が好みだったらしく、ウキウキとマールスが毒キノコの採取を始める。
お願いだから調理する時は解放感のある庭でお願いね。
イメージが「なんか川の近くにありそう?」という曖昧さ。
海に続く大河は涸れ、雨上がりの水が大河の跡地をちょっとだけ流れるだけ、肝心の川が街の周辺になかった。
この辺の土地、呪われてませんか?
それとも異世界系によくある瘴気とかそういう問題かな?
まぁ刀国の人間には関係ないんですけどね。
生まれた時から邪神と隣り合わせで生きてるので何か知らない間に耐性できているらしい、全国民瘴気耐性持ちとか凄いな。
瘴気とかそう言った類のものとこれほど上手く生きている人間も珍しいんだろうなぁ。
「森の中なんて危ないから帰ろうぜ」
「神子様がいれば怖い魔物なんて存在しないって!」
びくつく冒険者、森の恵みを採取しつつ山菜を探す孤児院の子供達。
相変わらずセリフが逆だなぁ。
「あっ、小さいリンゴ! あれ酸っぱくて美味しいんだ、とってとって!」
「いやいやあれ毒りんごだろ!?」
「火を通せば毒なんて飛ぶよ! アップルパイ向きリンゴなの!」
「毒って言っても舌が痺れるだけ!」
「そっちの青いのだめ、お腹ぐるるーってなる! 赤いの!」
冒険者の立場はここでも弱いようだ。
中には子供を肩車して高いところにある植物を採る手助けをしたりと、連携が取れている人もいる。もしや孤児院出身者?
「静かにしないと魔物が寄ってくるだろうが」
「それだ!」
「え?」
「神子様、魔物呼び寄せて山菜に案内してもらいましょう!」
そう来たか。
「でも寄ってくるかなぁ? 俺とマールスいるから警戒して近付いて来ないんじゃないか?」
「……涼玉様、ドラゴンだもんなぁ」
「気配が強過ぎるのか?」
「うーん、女神様のふわっとしたイメージが川だろ、でも川がない。あれか、イメージで環境をいじれる場所にあるんじゃないか?」
「なるほど、ダンジョンか!」
いつ何が襲ってきてもおかしくない森の中、子供達がダンジョンを探そうと言い始めた。
確かに可能性は高そうだけど、これってサーチ使えるアー君に来てもらった方が良かったんじゃ……って騎士様がいた。
「あれ、騎士様は?」
「あそこでキノコ採ってる」
涼玉に言われた方に視線を向けたら騎士様が地面にしゃがみ込んで何やら探し、周囲の子供達が手元をのぞき込んで声をかけてた。
「騎士様それ毒です」
「そっちは痺れ」
「この辺は毒キノコしか見当たらない」
「食べれるのは街の人間が食べつくした感じだなぁ」
「毒キノコも症状が弱いのは採取された跡があるよ」
神様のトップに君臨するお方も、刀国の子供達の前では「ただの騎士様」、ちょっと困ったお人扱いです。
僕が声をかける前に子供達が群がり、騎士様にダンジョンを探してとおねだりしている。
さすがに危険だと止める騎士様、山菜愛に燃える子供達、口を出せずハラハラする冒険者、毒キノコをモリモリ食べる涼玉。
「涼玉!?」
「コリコリ食感」
「煮物にして食べたいですな」
止めるポジションのマールスが一緒になって毒キノコを食べている。
「かあちゃ、俺に毒は効かない」
「ああそうか状態異常無効」
「おう」
そしてマールスは神薙さんの息子だった、強力な毒持ちにとってこの程度の毒はおやつ代わりのようなものらしい。
「だからと言って生で食べるのはどうかと思う、あと普通に心臓に悪かった」
「そうだな、せめて炒めるべきだったな!」
「採取して父上に献上しましょう、酒のつまみに良さそうです」
食感が好みだったらしく、ウキウキとマールスが毒キノコの採取を始める。
お願いだから調理する時は解放感のある庭でお願いね。
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